■「内定への一言」バックナンバー編


「ホームラン王は三振王だ」

その①




今日の夕方、韓国語塾の教室に入ると、薄暗いままの部屋…。「ちょっと早かったかな」と思って部屋を見回してみると、一番前の席で男子学生2人が、ぐったりと疲れた様子で座っています。



見てみると、いつも雰囲気を盛り上げてくれる、西南4年のM地君とN田君ではありませんか…。「しょうがないなぁ。どうせまた、2人で徹夜で語り合って、寝不足で疲れたんだろう」と思って近付くと、「こじまさぁ~ん…営業って、きついっすね!」と一言。



実はお二人は、マネー塾の第④回で紹介したノウハウを元に、「卒業までに初任給を超えてやる!」と、先月末から自分たちでプチビジネスを企画し、今週から営業を開始しました。その営業が、思った以上に大変で、「一日で学生気分が吹っ飛んだ」と言うのです。



早速、韓国語塾終了後に「秘密の営業相談(じゃあ書くな)」を行うことになり、0時前に帰宅しました。元気爆発のお二人は、まだジョイフルかどこかで営業会議中でしょう。



学生時代から営業を行い、forFUNの発行部数を3倍にしたkumamotoさん(個人情報保護のため、アルファベットにしています)も、現在独立間もない状態で、日々工夫に余念がないようですが、後輩の相談を受けることで「僕の方が勉強になりました!」と言っていました。いい時間だったので、今後も定例化し、営業スキルアップを目指しましょう。



営業については、本メルマガの読者の方で、今は新社会人となった方々からも、時々相談を受けます。ということで、今日は営業について、久しぶりに考えてみましょう。その前にまず、以下の数字を見て下さい。


順位 名前  ?の数 活躍時期
1
清原 和博 1892 (1986-)
2
秋山 幸二
1712 (1981-2002)
3
衣笠 祥雄
1587 (1965-1987)
4
広澤 克実
1529 (1985-2003)
5
門田 博光
1520 (1970-1992)
6
野村 克也
1478 (1954-1980)
7
大島 康徳
1462 (1971-1994)
8
池山 隆寛
1440 (1984-2002)
9
田中 幸雄
1382 (1986-2006)
10
王 貞治
1319 (1959-1980)

誰もが知る名前がずらり。中には、往年の大選手もいます。これはもしや、ひょっとして「ホームランの数」…じゃありません。王監督が10位というのは、ホームランにしてはおかしいですよね。では一体、何の数なんでしょう?



答えは「三振」の数です。これは、「三振王ランキング」なのです。見てみると、現役時代は毎年、「ホームラン王候補」として打ちまくった選手ばかりで、強打者、大打者ぞろいです。



そんな名選手たちは、実はあまり人が注目しない、不名誉とされがちな尺度の「三振」でも、続々と上位にランクインしていたのです。これは、「ホームラン王は三振王だ」という事実を意味します。



「トップ営業マン」は、一体、何がトップなのでしょうか?成績?それは結果です。何かがトップだったから、結果がトップになったんです。では、何がトップだったから、トップ成績を収めることができたのでしょうか?



今を去ること3年前、FUNで行った第②回合宿のテーマは「目指せ、トップ営業マン」でした。その中で、「トップ営業マンがトップであること」を3つ、お話しました。覚えていますか?…と聞いても、参加者は皆、卒業して今は社会人なので、ここで復習しておきましょう。



学生さんに質問した時は、「訪問件数」、「知り合いの数」、「やる気」、「商品知識」、「セールストーク」などの答えが返ってきました。なかなかいいセンスでしたが、「確かにそれもある。ということは、結局何が一番だったのか?」と、さらに潜在的な要素を考えるように促しました。



すると、「夢」、「情熱」、「電話の数」、「営業時間」などの答えが返ってきたのを覚えています。



しかし、そのような答えは、まだまだ表面的です。ここで、さらに本質的な条件を考えてみましょう。あの時話した、トップ営業マンがトップである3つのことは…①想像、②準備、③失敗、でしたね。スポーツ選手で例えるなら、「やる気、練習、三振(エラー)数」といったところでしょう。



計画も行動も、セールストークも、全ては「想像」から生まれます。ゆえに、訪問件数が多かったり、商品説明が上手だったり、営業時間が長かったりするのは、全て「想像」のスケールの大きさに比例した結果です。



想像が決断を生み、行動が結果を出したからには、当然「最多契約件数」を実現します。最多であるとは、効率的だったということです。ゆえに、それだけの結果を受け止め、連続的に処理する「準備」が良かったのです。最初の2つは、このように説明すれば、学生さんは「なるほど」という表情で聞いてくれました。



しかし、「失敗の数が一番」という答えは、予想もしていなかったようでした。多くの学生さんは、「トップ営業マンは連戦連勝」だと思っていたようです。そんな営業マンはいません。仮に今が連戦連勝でも、過去には誰より多く、失敗を経験しています。



「想像が一番」とは、誰よりも大きく、長く、深く考えるということです。



「大きく考えることの魔術」(ダビッド・J・シュワルツ/実務教育出版)は、主にセールス心理の側面から「大きな想像」の意義を説いた、僕のお気に入りの本です。本書には、いかにして大きく考え、大きく動き、大きな結果を出すかの実例と方法が、豊富に収録されています。ブックオフには時々、100円でありますよ。



「準備が一番」とは、営業現場でなるべく早く本題を切り出し、結果を出すための下地を、誰よりも先取りし、入念に作り上げることです。「仕事の9割は準備だ」とは、内定後の4年生にはよく教えることですが、具体的に知りたい方は、「創刊男の仕事術」(くらたまなぶ/日本経済新聞社)が良いでしょう。



リクルートで新雑誌の創刊を担当し、企画や広告営業で連戦連勝の結果を出した編集マンの「仕事の心得」を楽しく書いた本で、安売りしかメリットを打ち出せない会社は、準備で既に失敗しているのがよく分かります。



では、「失敗が一番」とは、具体的にどういう意味なのでしょうか?実はこの「失敗」が一番でなければ、いくら想像と準備が一番でも、意味がないのです。 ですから、「失敗の定義」をどう持つかで、営業という仕事が大嫌いになるか、大好きになるかが分かれます。



失敗の定義を間違った営業マンは、訪問や電話が恐怖に思え、拒絶されるたびに傷付き、ますます苦しい努力に自分を追い込んでいきます。



なぜかと言えば、失敗は「毎日経験すること」だからです。毎日起こることを「プラス」と「マイナス」のどちらで処理するかで、同じ営業の仕事でも、片方は「笑いが止まらん」、片方は「涙が止まらん」となってしまいます。



では、営業における失敗の定義とは…?失敗とは、より良い「想像」をするための「準備」です。分かりますか?失敗は「準備」なのです。要するに「途中経過」だということです。できない営業マンは、失敗を「結果」だと考えます。それが「最終的な終着点」だと決め付け、それから逆算して、「自分はダメだ」と考えるから、ダメになるのです。



誰も「そこで終わりだ」とは言わないのに、その人だけが勝手に「ここで終わりだ」と決め付けるから、もう誰も、その人を応援できないのです。先を見れば、あるいは初心を忘れていなければ、「自分は当初何を目指していたか」という目標が、必ず正しい努力に導いてくれます。



例を挙げましょう。ここに、ある保険の営業マンAさんがいます。彼は営業と関係ない学科の出身で、予備知識はほとんどありません。そんなAさんが、商店街の営業に出かけました…。



あるお店を見つけたAさん、「よし、今は客がいないぞ!」(想像)と思い、セールストークを書いたノートをさらっと復習(準備)して、お店に入りました。



「こんにちは!○○生命のAです!今日は保険の営業にお伺いしました!今、どのような保険に加入されていますか?当社ではこのたび、自営業の方々に安心して加入していただける新型の…」

「うるさいんだよ、帰ってくれない?」…ガシャッ(失敗)!


Aさんは元気いっぱいで、上司に言われたように明るいあいさつから始め、丁寧な商品説明をしようと思ったのに、一見ヒマそうに見えた相手は、話を遮って自分を追い出してしまいました。これは明らかに「失敗」でした。契約が取れなかったのですから。



「う~ん、なぜだろう」と考えたAさんは喫茶店にこもり、理由を考えました。その結果、「そう言えば、相手が何の仕事をしているか、あまり考えずに飛び込んだぞ」と思い当たりました。



「よし、次は相手の業務内容を事前に調べよう!」と思ったAさん、町を歩き回って目ぼしい店舗をリストアップし、業種別の課題を想定しました。



この時点で、最初の訪問時に考えたこと(ヒマそうだ)と比べ、事前に考えること(想像)が微妙に変化したのに気付きますか?そう、つまり「準備」が変わった瞬間です。その媒介となったのは、他ならぬ、さっきの「帰ってくれない?」と言われた手痛い「失敗」でした。