■「内定への一言」バックナンバー編


「ホームラン王は三振王だ」

その②



失敗はこのように、「次を考える人」には、必ず何らかの準備となっていきます。そして、想像の精度を高めていくのです。さて、第2ラウンドはいかに…。


Aさんは、ある印刷会社を見つけました。見ると随分、古い様子。「家庭や企業にプリンタが普及したこのご時世じゃ、銀行借入にも困っているかもしれないぞ」と、さっきは考えもしなかったことを考えました(想像2)。



「よし、新商品の資産計上型保険を提案してみよう!」(準備2)

「こんにちは!私、○○生命のAと申します!実は先ほど外から拝見しましたところ、設備がかなり古く、これはもしかして、設備投資や資金繰りにお困りではなかろうかと考えました。私どもの会社では、借入の際に担保価値を持つ資産計上型保険を準備しておりまして…」

「うるさい!帰れ!」


あらあら、またまた断られてしまいました。しかも、今度は相手の業種を考え、悩みを想定して訪問したのに、感情的な拒絶を食らってしまい、Aさんもダメージを受けました。



またもやAさんは喫茶店にこもり、「どうしてまた、ダメだったんだろう?」と考えます。その結果、「借入に保険が役立つのは、間違いなく検討に値する提案に違いないのに、自分は焦ったあまり、勝手に相手の経営が厳しいと決め付け、失礼なことを言ってしまっていた…」と気付きました。



ここでもまた、Aさんの失敗は次の「想像」に良い影響を及ぼし、さらに相手の心にフィットした準備に近付いていきました。そしてこの先、回ること10件。「今は忙しいけど、良さそうだから、明日また来てくれないか?」という、待ちに待った返事をもらうことができました。



それもこれも、全ては「失敗」のおかげ。同じ失敗をしなかったことが、少しずつではあっても着実な前進をもたらし、初対面でも動じない自信と、相手の立場を大らかに考える余裕を生み出したのでした。



例はこれくらいにしておきましょう。皆さんもお分かりいただけましたか?「失敗」がより良い「想像」をするための「準備」である、ということが。失敗すればするほど、成功に近付いていく、ということが。どう考えても、失敗は「結果」ではなく、「途中経過」に過ぎないということが、よく分かったと思います。



こう考えてこそ「失敗」に感謝でき、断ってくれた方に「ありがとうございます」と頭が下がり、狭かった自分の視野や配慮が、少しずつ広がっていくのです。そして、その広さが相手のニーズやビジョンと合致した時、その相手は「お得意様」になり、その営業マンの強力な応援団になるのです。



まさしく、「ホームラン(成約)」が多い人は、「三振(失敗)」も多いのです。スポーツも経営も同じです。



たくさん成功したければ、たくさん失敗することです。つまり、「人より多く準備すること」です。最適の準備はいつも、現場にあります。できない営業マンは、「準備」と聞けば、誰もいないところでダラダラと考え、メモを書きなぐり、話し、架空の「お人好し」を想定してはため息をつくことだ、と思っています。



メモや計画は、営業しない時間(早朝、深夜)の喫茶店でやればいいのです。まずは、デッドタイムをなくすことも大事です。だから、いつまでたっても、想像力が成長しないのです。



よって、決断も行動も変わらず、結果も一緒。結果が出ている人は、間違いなく作業量が膨大です。人の2倍成功したければ、方法は簡単です。失敗率を2倍に上げればいいのです。



僕も、前職の出版社時代は、入社して最初の月は「最下位」でした。しかも、自分の給料以下の売上という、屈辱的な結果でした。「やっぱ君は中退やね」というあまりの悔しさに、考えられる限りの準備をし、少し結果は上がったものの、翌月も最下位。



酒は飲みませんでしたが、「へこむのはヒマ人だ」と思って、できる営業マンの話を聞き、本を読みまくって、できる限りの努力を片っ端から試しました。



そして、7ヶ月目にしてトップ営業マンになり、以後半年、不動産会社から転職してきた人に抜かれるまで、最盛期は「社員8人」の会社で、全売上の4割を、最年少の僕が上げるまでになりました。その後は、その新しい上司と毎月トップ争いを繰り広げ、会社の売上の75%が、実に「たった2人」の売上で占められました。



「自分で食えない子供」の言葉を社会が尊重しないように、「結果を出せない社員」の言葉は会社も聞かないものでしたが、結果を出すようになってからは、社長もどんどん提案を取り入れてくれました。



これは、その後の人生にも自信をもたらした経験で、始まりが情けなかっただけに、一時は天下を取ったような気持ちになりました。



もっとも創業に比べると、トップ営業マンなんて、スーパーマリオの「クリボー」くらいだと思いましたが…。しかしまぁ、24歳で得た自信のかけらは、今でも残っています。



当時やったもう一つの努力と言えば、「できない奴、動かない奴とは徹底して話さない!」です。これはダメです。「負けウイルス」が瞬時に伝染します。



最後に、その時読んで、特に役立った本をご紹介しておきましょう。絶版もありますが、営業で成功したいと思ったら、定価で買っても「お釣り」が来まくる名作です。


「ホイラーの法則」(エルマー・ホイラー/ビジネス社)
「私はどうして販売外交に成功したか」(
フランク・べトガー/ダイヤモンド社)
「外野ひとすじ」(
原一平/保険毎日新聞社)
「人を動かす」(
D・カーネギー/創元社)
「人は何によって動くのか」(
大橋武夫/PHP文庫)


さぁ、お近くのブックオフにGO


「しくじるたびに目が開いて、世の中少し、広くなる」。


いい言葉です。新人営業マンの皆さん!希望を持って大きく想像し、大胆に準備して、明日もどんどん、失敗を先取りしましょう!成功があっちから、駆け寄ってきますよ。




■今日の一冊 「バカな大将、敵よりこわい」(佐藤守/大和出版)


会社や組織をダメにするのは、競合他社でも不景気でもなく、営業不足でも資金不足でもなく、実は「社長」だと説く、人事の名著です。

・決断すべき時に決断できない社長。
・ビジョンを語らず、行き当たりばったりで仕事を作る社長。
・カネにならない作業に没頭する社長。
・人のカネと自分のカネの区別がつかない社長。
・何かあれば、すぐに精神論を持ち出す社長。
・言うことは雄大だが、何ら実践の伴わない社長。
・隙あらば休みたがる社長。
・秘密がばれているのに秘密主義を続ける社長。
・自分が第一に規則を破り、それを特権だと考える社長。
・人望がなく、もはや創業時の話でしか部下を説得できない社長。
・社員への支払いがケチで、自分ばかりもらいたがる社長。

あるある…まだまだ他にも、「敵」より怖い「ウチの社長」のオンパレードです。社長は立場が立場だけに、社員がクビにするのは大変です。だから代わりに、不適格な社長は「社会」がクビにしてくれます。


経済社会にも、新陳代謝と適者生存の原理は、きちんと働いています。併せて「人望の研究」(山本七平/祥伝社文庫)も読めば、理想的リーダーの姿をリアルに想像することができるでしょう。



■今日の質問 「起業の失敗をどう乗り越えたのか?」(西南3年Nさん)

それは簡単で、「先を続けること」です。あらゆる行動は、そこで止めた時だけ「失敗」と呼ばれます。続ける人間、初心を忘れない人間、目標を見据える人間に、失敗は存在しません。僕にももちろん、小さい失敗はたくさんありました。でも、諦めませんでした。



要するに、「成功するまでやった」という、それだけのことです。抽象的ですみません。でも、他に思いつかないんです…。子供が自転車に乗るのと全く同じで、僕の頭もガキの頃から成長してないなぁ…と最近よく感じます。30歳にもなって、継続力と集中力しか長所がないなんて、なんだか情けないですねぇ。