■「内定への一言」バックナンバー編


「経済学者に金持ちなし」





不安な時、専門家めいたことを言う人につい判断を求めてしまうこともありますが、知識があるのと実務に有能なのは、全く別の問題です。経済や商学を長年研究してきた「専門家」を多数擁する私立大学の大半が「赤字経営」であることは、「経営学と違い、経営は教えられない」(松下幸之助)という鉄則の適当なモデルでしょう。



事が終わってから評論するのは、誰にでもできることです。そうなる前から「そうなる」と予測することや、「そうする」ことの当事者になるのは、全く違った覚悟がいります。外野でポップコーンを食べているだけの人間に、ヒット一本の重みが分かるのでしょうか。



「十八史略の人物学」(PHP文庫)を書いた伊藤肇さんも、「行為せざる者は、行為する者にとって最も苛烈な批判者である」と書いています。僕も仕事や創業で周囲の人間にあれこれと文句を言われましたが、実践の場を持っていない人と、責任の存在しない生活をしている友人の忠告は、徹底して無視し続けました。



「偉そうなことを言う」よりも、「偉い人」に学んで正解だったと、今では思います。



分かった「つもり」の人に聞くより、分からない苦しみを味わってでも、自分の頭で考えた方が、何倍も価値があります。簡単に人の判断を仰ぐ態度は、全てを受け入れがたい結果に導くだけ。答えられる自分はもう育っています。自分を信じましょう。