■「内定への一言」バックナンバー編


「短所や長所は、存在ではなく自覚の問題だ




最近は皆さんも就活に随分慣れてきたようで、秋と比べて、質問が成長してきたと感じています。問いを変えれば悩みも変わり、見えてくる世界も、答えも変わるものです。複数の最終面接で選択に悩み、どう選んだらよいかという、FUNでは毎年聞く悩みの相談もあって、例年通りの同じ答えを返しています。




また、以前提出していたエントリーシートを読み返して、思わず「冷や汗が流れてきた」と言う学生さんも。そういう学生さんから、深夜によく、添削希望メールが舞い込みます。



中には、「友達に聞けば分かると思って電話していたら、余計迷ってしまい、原点に返ろうと思って最初の方のエントリーシートを見ていたら、さらに不安になった」という方もおられるようです。




ここ数日は、業界研究の方法に加え、「長所や短所」についての質問もありました。これについては、もしかして悩んでいる方もいるかもしれないので、僕の意見を言うと「短所や長所は、存在ではなく自覚の問題だ」ということです。




初期には時々、「長所は明るいところで、短所は暗いところです!」のように、明らかに矛盾した自己PRをする学生さんもいますが、今の時期になればさすがにそういう意見もなく、かえって深刻に考える人もいるようですね。



中でも僕が不思議に思うのは、「短所の存在」自体を不安視している学生さんが多いのでは、という点。


そのためか


「こんな短所を話したら、落とされませんか?」

「この短所は卒業までに直せそうにないんですが、言わない方がいいでしょうか?」

「学生としては短所と思わないけど、社会人としては短所っぽいから、こう書いていいでしょうか?」



という声も聞きました。「学生さんは僕たち経営者と違って、面白い考え方をするものだなぁ」と感じるこれらの質問については、いつも、それぞれ以下のように答えています。


短所を話して落とされることはない。

そうやって、欠点を隠そうとする君の「飾ろうとする心」という短所が、一番分かりやすい。

二つの基準を便利に使い分けて甘える性格こそ、本当の短所じゃないのか。



短所くらい、誰でも持っています。僕なんて、学生さんの前じゃ優しくしていますが、仕事で付き合えば、体ごと短所の塊のような人間です。特に独立してからは、「自分という人間は、ここまで中途半端な人間だったのか」と何度も力不足を思い知りました。



そして同時に、短所とは、隠そうとしたり、そうじゃないと甘い期待を持ったりするほど、自分を苦しめるものだと感じました。




母から「逃げたら本当の自分が見つかるんじゃなくて、逃げるのが本当の自分だ。一人になっても歯を食いしばって踏ん張り、乗り越えてみなさい」と言われ、ハッとさせられたこともあります。



そう思って心機一転、「ここが自分のスタート地点だ」と現実と向き合ってみたらどんなことでも、驚くほどうまく進んでいきました。26歳にして、初めてそうありたい自分になったような、そんな感触でした。




短所とは、意識するにしろしないにしろ、常にいくつかは存在します。問題は、自分でどうにでも都合がつく勝手な願望で「見て見ぬ振りを決め込む」ことで、その短所は存在しないのだ、とか、それほど大したことではない、と甘えることではないでしょうか。



だから、短所とは有無ではなく、自覚しているかどうかの問題です。自覚していれば、自分も一段と注意深くなります。優れた人の姿を見て、謙虚に学ぶこともできます。また、周囲の人に自分の短所を素直に伝えておけば、同僚や先輩も必要な対策を考え、事前に準備したり、克服するためのアドバイスを与えたりできます




しかし強がって隠したり、あるのにないふりをしたり、根拠のないプライドで助力を拒否したりすればそれは悲惨な結果を招くでしょう。



だって、自分一人の時は能力の不足から不安を感じ、一人ではうまく対処できない問題に、わざわざ好き好んで、たった一人で立ち向かうことになるからです。これは、どう考えてもうまくいくはずがありません。




出来の悪さが自己嫌悪を招き、後悔がさらに歪んだプライドを強化し、最後はヤケになって「絶対にやってやる」と苦しいサイクルに陥っていきます。こういうプロセスを考えても、やっぱり自覚の問題です。



だから、短所の説明で悩んでいる人がいたら、今日からちょっと見方を変えてみて、素直に自覚できているかどうかを、よく考えてみてはどうでしょうか。恥ずかしがらず、怖がらずに口に出してみれば。友達も、企業の人も、「じゃあ、こうしてみたら?」と、実に親切に教えてくれるものです。



短所はこうして、優れた能力を持った人の経験やスキルを、タダで手に入れるための「通貨」ともなります。短所って、実は長所だったんですね。



これはお得だとは思いませんか?ということで、以前にも書きましたが、短所にこそ愛着と自信を持ち、明るく今月の選考に臨みましょう。