■「内定への一言」バックナンバー編
「下手な鉄砲、数撃っても当たらない」
僕は日頃、フリーターの方々の再就職を応援する仕事をしています。といっても、最近は著作とかFUNの方にもっぱら時間を使っていますが、もう一回頑張りたいと思った若者が、自分の軽挙妄動を反省し、再挑戦を試みた時にチャンスがないという社会は不健全だと、そんな使命感を持って取り組んできました。
フリーターって、どんな人なんでしょう?僕はむしろ、勤務形態よりは、心のあり方で判別してよいと考えています。
・1日に5回以上、「疲れた、むかつく、そのうち、とりあえず、時間ができたら」と言う人
・「貯金してから消費する」ではなく、「消費した残りを貯金する」人
・朝、5回以上目覚し時計の時間をずらす人
・いきなりできた自由時間を睡眠に使う人
上記の資質を、フリーターの方々はもれなく備えています。おそらく学生時代から、そうだったのでしょう。
見て下さい。この、「チャンス」というものが全く入り込む余地がない、完璧なまでのネガティブ習慣を。未来を創造する何よりの資源である「時間とお金」の余裕は、習慣によってことごとく排除されています。周囲が助けたくなる要因を、見事に満たしていません。
僕はこういう方々をお客様として応援し、「こんな立派な人材を紹介してくれてありがとう!」と喜ばれる社会人に変えることを仕事にしています。おかげで、ちょっとだけ人間心理に詳しくなりました。
フリーターの就職の動機は、完全に「他律的」です。
・親がうるさいから、恋人がうるさいから
・お金がないから、収入が伸びないから
・このままじゃ先が見えないから
・人間関係がうまくいかないから
だから…「とにかく別のところに早く移りたい!」という動機です。別の会社に行けば、とにかく違う仕事をすれば、それで問題は解決されると思っているわけです。彼らの好きな言葉は、「とりあえず何社か受けまくって、合う会社があったらそこでいいっすよ」。
つまり、「下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる」という人生態度です。「数を撃てば、当たる」。なるほど…。
で、当たったところは、どうだったのでしょうか。下手な鉄砲が当たったところで、何かいいことがあったのでしょうか。下手な腕前で当たってしまうのは、当たらないよりもよっぽど、始末が悪い結果を招いているだけではないのでしょうか。
この人生訓で、何がどう良くなると言うんでしょう。
ということで、僕は「おまえの鉄砲じゃ、偽物しか当たらんぞ!」と、ハンターとしての眼力の鍛え方を教えていくのに、2ヶ月近くをかけています。下手なまま当たると、確実に不幸になるからです。
・「とにかく早く結婚しないと!」と、焦って結婚したOL
・「とりあえず大学には行かんと!」と、手当たり次第に受験しまくる高校生
・「何か資格取らんと!」と、内容も知らない資格を取る学生
・「フリーターだけは嫌だ!」と、相手構わず面接を受けまくる学生
下手な鉄砲って、価値ある標的を射止めるのではなく、自分の夢を撃ち抜いてしまうんですね。本当に怖いです。
では、なぜ「下手な鉄砲」になってしまうのか?その理由として、いくつかの要因が考えられます。標的に当たらない理由を知れば、標的を射抜くことができます。
①何が標的かを分かっていない。あるいは、見えていない。
②「弾丸(時間やチャンス)は十分にある」と思っているから浪費する
③標的を見つけても、撃ち抜くだけの技量がない
④撃っても撃っても当たらず、次第にイライラしてくる。
⑤当たらない結果、近くのものを撃ちたくなる。
…と、こんな条件が揃えば、ほぼ「弾は当たらない」と考えられます。フリーターは、これと同じことを、自分の仕事に対してやっているわけです。
①自分が何をすべきか、考えていない。
②「時間はまだある」と思っているから浪費する。
③やりたいことを見つけても、モノにする意志力がない。
④やってもやっても自分を邪魔し、次第にイライラしてくる。
⑤ヤケになって、目先の楽しみばかりを求め始める。
…こりゃ、理想の仕事に就けるわけがありません。大学生でも、「50社以上落ちました」とか言う人は、大体こういう生活態度です。考えてみれば、50社も落ちるなんて、すごい才能です。よっぽど「同じこと」ばかりやったんでしょう。
しかし、そういう人でも、「下手な鉄砲」が卒業前に当たることがあります。その時は「ふぅ~、よかったぁ」と言いますが…連休明けにはフリーターになっています。僕はなぜ、彼らがある程度名の知れた大学を卒業していながら、これほどまでに就職技術が未熟なのかが、FUNに来る前まではずっと不思議でした。
ということで、FUNでは「自分のライフルの精度」を上げるため…
①標的が大きく見えてくるまで、標的ばかりを見つめ続ける。
②標的の近くのもの(関連知識)から射抜く練習をする。
③「弾は残っていない。持ち弾は貴重だ」ということを知る。
④取材を通じ、いつでもライフルを構えられる準備をしておく。
⑤持ち弾(質問)が「標的を撃ち抜いた感触」を忘れないよう、文章化する。
という訓練を、FUNの学生に課してきました。別に、たくさん当たる必要などありません。当たらなくていいものに当てる必要もありません。しかし、視野が狭くなり、視点が下がってくると、「とにかく内定だけは早くほしい」などと言い始めて、「当たること」自体が目標にすり替えられてしまいます。
ということで、あなたが目標を捉える「精度」を高める要素を、順番に説明していきましょう。
①ずっとずっと標的(目標)を見続ければ、どこからも標的にアプローチできるようになります。分かりやすく言えば、「様々な要素が違うように見えて、実は本質は共通している」ということが見えるようになり、「標的が大きく見える」という心理になります。
②すると、「これだ!」と思った時に選ぶもの(本や人物、イベント)などが、「当たらずと言えども遠からず」という精度に近付いてきます。分かりやすい例では、「去年面白いと思って買った本が、今読むと全然面白くない」という状態です。
③「学生のうちは時間がある」と言っている学生は、時間を大切にしません。ヒマな人間がやることに、ロクなことはありません。本当に目標を見据えている人間は、達成までの期限に反し、自分に与えられた時間がどれだけ少ないかを知っています。「時間がない」と思ってこそ時間を大切にするようになり、使い方の質が上がります。
④自分の目標に近付く最高の武器は、「問い」です。問いが正しければ、答えも正しくなります。よって、日頃から感じる目標への疑問、不明点などを、年長者や経験者に会う機会を作って直接ぶつけ、その精度を確認できる環境を作ります。
⑤「それはいい質問だ」と相手が思わずうなってしまう感触を楽しみ、答えを必死に頭に叩き込みます。「自分の考えていたことや疑問は、正しかったんだ」という自信と達成感が、さらに深い問いをもたらし、ライフルの命中率を高めます。
と、用語がいささか物騒になってしまいましたが、僕の高校には「ライフル射撃部」という、当時は県下二校しかない部活があり、そこの顧問の先生が学年集会で話していたことをモデルに、今日は「目標達成」について考えてみました。
今の「当たり前」が未来を作ります。当たり前を変えたければ、未来を変えましょう。目標を変えれば、今が変わります。
あのCNNを作ったテッド・ターナーさんも、「現在が未来を創るのではなく、未来が現在を創る」と言っています。標的は見えていますか?見えているなら、あとはしっかりと集中して射抜くだけですよ。