■「内定への一言」バックナンバー編


「なぜを五回繰り返せ」




焦りと行動の成果は反比例の関係にあります。「行動力」と言うと、無条件に優れた資質に数えられそうなイメージがありますが、未来と深く関連付けられた思索なしに取られる行動は、努力の割には案外結果が伴わないもの。では、この「思い」と「結果」のギャップは、どこから生まれるのでしょうか?



思いと行動が噛み合わず、「自分、何してるんだ…」と歯がゆい気持ちになることは誰しも経験がありますが、そんな時は目先の見返りに気を奪われ、階段の一段目が見えてない場合が多いものです。焦って先を急いだばかりに、短絡的で表面的な解決策(だと、その時は見えてしまうもの)にしがみついてしまい、後々行動を悔いることもあります。



約束の時間に遅れてハラハラしている時、あっちから来るバスが全て目的地行きに見えてしまうように、焦りや不安に根差した思考と行動は、望む結果を与えてはくれないもの。焦りがない時でも、今から取る行動に対して、納得の行く結果を得たい時は、「行動的」であること以前に、「計画的」であることが求められます


傍から見て「何やってるんだろう?」と思われようと、関係ありません。本当に先を見越して起こした行動は、一見奇妙に映ることもあるものです。



行動を根本的に変え、地道でも確実な結果が欲しければ、例えば「試験前にいつも焦る」に対して「なぜ」を五回繰り返すと…直前で良いと思っている⇒みんなそうだ⇒授業後にまとめない⇒すぐ遊びに行きたがる⇒では毎晩十五分ずつ要約しようとなります。取るべき対策を、最初の段階で見えた「直前で良いと思っている」という原因に根差した行動に頼るとどうなるでしょうか。きっと、その結果は「前日に栄養ドリンクを飲む」くらいの行動にしかならないでしょう。


そして繰り返す自己嫌悪。これは、その人の資質や能力が劣っていると言うよりは、考えが浅く短いことから起こる失敗です。



反対に、「なぜ」を五回繰り返したことから見えた原因、ここでは「毎晩十五分ずつ要約する」は、目指す結果からすると、いかにもかけ離れ、地味で、「これでいいのか?」と思ってしまいそうなくらいシンプルなものです。


しかし、表面的な対策に頼らず、原因を追求した結果見えた対策が正しいのです。毎日十五分という地味な積み重ねは、ごく早いうちに、「直前で焦っていた自分」を過去の思い出に消し去ってくれるでしょう。勉強も経営も、対策はいつも地道で身近なもの。見栄や虚栄心が実力につながることは少ないもの。地味でもカッコ悪くても、結果が出せる人がカッコいいものです。何にしろ、心からの同意で起こす行動に、失敗などは生まれようがないものですね