■今日の一言
No.407(07/3/2)
『志望動機のアピール度は、共有可能かどうかで判定しよう』
本メルマガは、先日お知らせした通り、3月中旬までは「アメーバブログ」に移転して、大月さんと前迫さんに管理・転載を担当してもらっています。
ですから、メルマガの読者は「938人」なのに、ブログの読者は「1人」。
ブログ歴の浅い僕は、「やっぱり、そんなもんかなぁ…」とちょっと寂しく思っていたら…
なんと、「上場」じゃなくて「開始」わずか10日にして、「学び・教育」部門での全国ランキングが「89位」になっているではありませんか。昨日まで600位くらいだったのに。
前迫さんが、せっせとバックナンバーの転載を頑張ってくれたからでしょうね。どうもありがとうございます。
ちなみに、なぜ僕が毎日忙しいのかというと、業界ゼミやFUNゼミの準備に加えて、来月にとうとう「作家デビュー」を果たすからです。
昨日の朝、東京の出版社から「出版を検討したい」との連絡をいただき、現在、フル稼働で書籍の「PDFデータ」を作成しているところです。
これでやっと、10歳の頃から20年間練習し続け、誰ももらってくれなかった「サイン」を書ける日が来た…!と喜んでいます。
最終的にはどうなるか分かりませんが、内容的に「公序良俗」に反するような部分は1%もないので、まずOKでしょう。正式にタイトルや内容が決定したら、改めてまたご連絡しますね。
今月はそういうこともあって、何度か東京に出張でしょうねぇ…。就活生みたいです。
さて、昨日は「減損会計」について扱いました。
今日は何について書こうかと考えていたら、最近は「志望動機」についての悩みをよく聞くので、これについて考えてみることにします。
就活当初は「何からやっていいか分からない」、「何がしたいか分からない」と言っていた学生さんも、だいたいこの時期になると、「自分のこと」はなんとか書け、言えるようになってくるものです。
やっぱり、なんだかんだいって「自分の性格」は誰でもよく自覚しているし、長所や短所はいつも付き合っているもので、その「説明方法」で困っていただけですから、やってみれば案外簡単に表現できるでしょう。
しかし、そこから前に進まない、という学生さんも多いようですね。
「色々考えた結果、国際的な仕事がやりたい、ってのは分かりました」
「やっぱり、人と接する仕事がいい」
「英語をやってきたので、どんな仕事であれ英語と関わりたい」
こういう気持ちも、大切な夢のかけらですから、それはそれで大事に育てるべきものです。
しかし、「今まで何がしたいか分からなかった」という長期の悩みの反動から、「自分が何がしたいか」が決まっただけで、それが即「志望動機になる」と勘違いしてはいないでしょうか。
要するに、「自分の中で勝手にそうだと決め付けたイメージ」を相手構わずぶつけまくれば、いずれ分かってくれる企業が現れるだろう、と考えてはいないか、ということです。
僕の4年の経験では、最初の方の面接は調子がいいのに、後になるほど落ちまくって「なぜだ」、「どうしてなの」と悩む学生さんほど、「自分の決めつけ」にこだわって、相手の気持ちを無視する傾向が強いと感じます。
たとえば、もうすぐ春です。今年は既に春のような暖かさですが、もうすぐ春です。
春なのに…「恋人」がいない。
春だから…「出会い」が欲しい。
そう思っている方もおられるかもしれません。また、「出会いに季節は関係ない」と思っている方もおられるかもしれません。
そこで、ある男性が、「とにかく彼女が欲しい!」と思ったとしましょう。
今まで出会いもなく、ずっと寂しい思いをしてきた。告白しても「いい人なんだけど…」でふられ続け、いつも「応援団」で終わっていた。
しかし、そんな自分とはもうお別れだ!
優しくて、一途で、料理が上手で、子供が好きで、会話が楽しくて、かわいくて、スタイルが良くて、いつも電話かメールをしてくれて、デートにはいつでも応じてくれて…そんな女の子と出会いたい!
「恋の志望動機」は、こうしてどんどん膨らんでいったとしましょう。
焦りは「拡大解釈」をもたらします。
この男性がある人たちと会っていて、ふとある女性が「子供ってかわいいよね~」と言っていたら…
「もしや!?」
と思って告白するかもしれません。
また、別の場所である女性と出会い、「料理するの大好き」と言っているのを聞けば…
「つまり、春が来たということか?」
と思って告白するかもしれません。
さらに、ある女性が「出会いが欲しいなぁ」と言っているのを聞けば…
「オレに言うってことは、もしや?」
と思って告白するかもしれません。
焦っていればいるほど、小さな情報から勝手に全体を願望によって拡大解釈し、「自分の動機」や「自分が求める条件」を勝手に当てはめて、相手の意向を捨象してしまうものです。
これは、恋愛に限らず営業や企画、勉強など、全てに当てはまることです。
しかしまぁ、そのような行動の結果は、だいたい、本人の期待に反して失敗に終わることが多いものです。
考えてもみて下さい。
自分がどういう人間であるか、自分が何を望んでいるかを全く考えてくれず、一方的に…
「料理を作ってくれる人と付き合いたい!」
「とにかく出会いが欲しい」
「恋と愛情に飢え続けてきた」
などと言われても、返答のしようがありませんよね。
結局は、要するに「女であればいい」と言っているも同然ではありませんか。
焦っている人は、顔つきは熱心かもしれないし、話し方も真剣かもしれませんが、「私でよかったら」とでも返事しようものなら、そのすぐ後に友達に電話して…
「オレにも春が来たぜ!」
と言うかもしれません。
せっかく気持ちを受け止めて「交際OK」と言ったのに、相手は実は「女ならいい」としか考えていなったとしたら、それは、誰だって悲しいし、不快な気分にもなりますよね。
「私だから」告白してくれたと思ったのに、実はそうじゃなく、自分の要望しか考えていなかった…。
「あんた、ちょっと、いい加減にしなさいよ」って言われるかもしれません。
ということで、ここから「就活」について考えてみましょう。
恋愛を語ることが好きな女子大生の中には、「そーゆー男、あたしは許せんっ!」という方もおられるでしょう。
でも、男にはそう言いながら、就活になると、案外自分がその「大嫌いな言動」を企業に対して平気でやっている、というケースが実に多いのです。
「とにかく、人と関わる仕事がしたいんです!笑顔とチャレンジ精神だけは負けません!」
(誰とどう比べて負けないって言ってるんだよ?)
「ずっと英語をやってきたので、英語と関われる御社の業務に魅力を感じました」
(英語しゃべる前に仕事しろ)
「国際的でスケールが大きい仕事がやりたいんで、志望しました」
(だったら地道な下積みに十年耐える覚悟はあるか?)
ざっと、こういった応答です。
本人の中では、色々と悩んでたどりついた「結論」かもしれませんが、あくまでそれは「自己満足」の結論に過ぎません。
多分、焦りや不安の期間が長かったので、自分の気持ちの整理が付けば、それでいいんだと安心しているんでしょうが、実に危険な兆候です。
そういうのは「志望動機」ではなくて、「志望の前提」に過ぎません。
恋愛に例えれば、「理想のタイプ」は考えたけど、「相手の理想」を考えてはいない状態です。
要するに、「ふられに行っている」ということですね。
「人と関わりたい」
「英語と関わりたい」
「国際的な仕事がしたい」
という動機が、相手と共有できるでしょうか。
こういった要素は、全て「仕事の一条件」に過ぎず、「てんぷらの衣」みたいなものです。
「何をもって、人と関わるのか」
「何をもって、英語を役立てるのか」
「何をどう、国際的に展開するのか」
おそらく、「国際的」と口では言っていても、これらの言葉を言う頭の中では、「外国であればいい」、「英語が話せればいい」くらいの動機しかなくて、「地道に国内で輸出商品を探す」とか「会計処理を頑張って外国の取引先を応援する」などという視点はないでしょう。
単に、「そう言っていれば安心する」だけの動機であって、所詮、共有可能なビジョンではありません。
共有できないということは、「不採用」ということです。
「寂しさから解放されたい!」という動機で告白されても、「ちょっと、あたしはあんたのボランティアじゃないんだから」とふられるのと同じで、相手の動機を尊重しないコミュニケーションが成功することはありません。
ということで、「自分の動機」がまとまったら、そこでやっと「ゼロ」だと考えてはいかがでしょうか。
自分の気持ちをまとめておき、信念に基づいて動機を表明するのはもちろん大切ですが、力みや焦りで相手の意図を無視し、「これだけは譲れない!」などと意固地になっては、却って逆効果です。
あなたは代わりに、何を譲ってあげられるのでしょうか。自分がやりたいことをやらせてもらう代わりに、会社の何をやってあげるのでしょうか。
そういうフェアな取引が成立してこそ、初めて「向き合う」のではなく「同じ方向を向く」という関係のコミュニケーションが成り立ちます。
今後、自分の志望動機の妥当性を判定する際は、
①その動機は、相手も「協力したい」と望む性質のものか?
②その動機は、相手と向き合うのではなく、同じ方向を向いているか?
③その動機は、「勤務条件」と「業務内容」のどちらに立脚しているか?
④その動機は、「内定してから」も永続的に発展するか?
⑤その動機は、きっかけとビジョンを質問したくなる性質のものか?
といった問いを立ててみることをお勧めします。
もてない人間は「口説き方」などを考えるでしょうが、もてる人は「惹き付ける力」があるのでそんなことは考えません。
惹き付ける力とは何かといえば、「共有可能な要素を探る姿勢」があるということです。これは人と人が出会う場であれば、どこででも等しく通用する大事な姿勢です。
誰しも、自分や自社に興味を持ってくれる人に興味を持つものであって、いくら声がでかくても、話し方が理路整然としていても、「自分の話」しかしない人と話すと、「1分」でも「長い」と感じるものです。
皆さんが誰かと話していたり、あるいは誰かの話を聞いていたりして、「いつの間にかこんな時間がたっていた」と思うような人は、どういう話し方をしているでしょうか。
きっと、皆さんの興味に立脚した話し方をしているでしょう。
また、そういう姿勢で接してくれる人に会うと、その人の個人的なことにも興味が及ぶようになるでしょう。
面接だからと、何も特別な準備をする必要はありません。
しかし、焦ると、平素は普通にできている「基本」を忘れて目先のテクニックに走るという過ちを犯すので、僕は毎年、「面接塾」では、基本的なことばかり話しています。
「共有可能な動機」は相手の期待を高め、印象と評価を二倍にします。伝えたいものがあればあるほど、相手が「伝えたい」と思っているものを察し、言葉で表現してあげましょう。
「幸せになりたい!」と言って告白してくる人と、
「幸せにしたい!」と言って告白してくる人がいたら、
皆さんはどっちの人を選び、「幸せにしてあげたい」と思いますか?
本当に良い志望動機もこれと同じで、自分の中ではなく相手の中にあるものですよ。相手を思えば、相手も自分を思ってくれるものです。志望動機はシンプルに考え、素直に表明しましょう。
No.407(07/3/2)
『志望動機のアピール度は、共有可能かどうかで判定しよう』
本メルマガは、先日お知らせした通り、3月中旬までは「アメーバブログ」に移転して、大月さんと前迫さんに管理・転載を担当してもらっています。
ですから、メルマガの読者は「938人」なのに、ブログの読者は「1人」。
ブログ歴の浅い僕は、「やっぱり、そんなもんかなぁ…」とちょっと寂しく思っていたら…
なんと、「上場」じゃなくて「開始」わずか10日にして、「学び・教育」部門での全国ランキングが「89位」になっているではありませんか。昨日まで600位くらいだったのに。
前迫さんが、せっせとバックナンバーの転載を頑張ってくれたからでしょうね。どうもありがとうございます。
ちなみに、なぜ僕が毎日忙しいのかというと、業界ゼミやFUNゼミの準備に加えて、来月にとうとう「作家デビュー」を果たすからです。
昨日の朝、東京の出版社から「出版を検討したい」との連絡をいただき、現在、フル稼働で書籍の「PDFデータ」を作成しているところです。
これでやっと、10歳の頃から20年間練習し続け、誰ももらってくれなかった「サイン」を書ける日が来た…!と喜んでいます。
最終的にはどうなるか分かりませんが、内容的に「公序良俗」に反するような部分は1%もないので、まずOKでしょう。正式にタイトルや内容が決定したら、改めてまたご連絡しますね。
今月はそういうこともあって、何度か東京に出張でしょうねぇ…。就活生みたいです。
さて、昨日は「減損会計」について扱いました。
今日は何について書こうかと考えていたら、最近は「志望動機」についての悩みをよく聞くので、これについて考えてみることにします。
就活当初は「何からやっていいか分からない」、「何がしたいか分からない」と言っていた学生さんも、だいたいこの時期になると、「自分のこと」はなんとか書け、言えるようになってくるものです。
やっぱり、なんだかんだいって「自分の性格」は誰でもよく自覚しているし、長所や短所はいつも付き合っているもので、その「説明方法」で困っていただけですから、やってみれば案外簡単に表現できるでしょう。
しかし、そこから前に進まない、という学生さんも多いようですね。
「色々考えた結果、国際的な仕事がやりたい、ってのは分かりました」
「やっぱり、人と接する仕事がいい」
「英語をやってきたので、どんな仕事であれ英語と関わりたい」
こういう気持ちも、大切な夢のかけらですから、それはそれで大事に育てるべきものです。
しかし、「今まで何がしたいか分からなかった」という長期の悩みの反動から、「自分が何がしたいか」が決まっただけで、それが即「志望動機になる」と勘違いしてはいないでしょうか。
要するに、「自分の中で勝手にそうだと決め付けたイメージ」を相手構わずぶつけまくれば、いずれ分かってくれる企業が現れるだろう、と考えてはいないか、ということです。
僕の4年の経験では、最初の方の面接は調子がいいのに、後になるほど落ちまくって「なぜだ」、「どうしてなの」と悩む学生さんほど、「自分の決めつけ」にこだわって、相手の気持ちを無視する傾向が強いと感じます。
たとえば、もうすぐ春です。今年は既に春のような暖かさですが、もうすぐ春です。
春なのに…「恋人」がいない。
春だから…「出会い」が欲しい。
そう思っている方もおられるかもしれません。また、「出会いに季節は関係ない」と思っている方もおられるかもしれません。
そこで、ある男性が、「とにかく彼女が欲しい!」と思ったとしましょう。
今まで出会いもなく、ずっと寂しい思いをしてきた。告白しても「いい人なんだけど…」でふられ続け、いつも「応援団」で終わっていた。
しかし、そんな自分とはもうお別れだ!
優しくて、一途で、料理が上手で、子供が好きで、会話が楽しくて、かわいくて、スタイルが良くて、いつも電話かメールをしてくれて、デートにはいつでも応じてくれて…そんな女の子と出会いたい!
「恋の志望動機」は、こうしてどんどん膨らんでいったとしましょう。
焦りは「拡大解釈」をもたらします。
この男性がある人たちと会っていて、ふとある女性が「子供ってかわいいよね~」と言っていたら…
「もしや!?」
と思って告白するかもしれません。
また、別の場所である女性と出会い、「料理するの大好き」と言っているのを聞けば…
「つまり、春が来たということか?」
と思って告白するかもしれません。
さらに、ある女性が「出会いが欲しいなぁ」と言っているのを聞けば…
「オレに言うってことは、もしや?」
と思って告白するかもしれません。
焦っていればいるほど、小さな情報から勝手に全体を願望によって拡大解釈し、「自分の動機」や「自分が求める条件」を勝手に当てはめて、相手の意向を捨象してしまうものです。
これは、恋愛に限らず営業や企画、勉強など、全てに当てはまることです。
しかしまぁ、そのような行動の結果は、だいたい、本人の期待に反して失敗に終わることが多いものです。
考えてもみて下さい。
自分がどういう人間であるか、自分が何を望んでいるかを全く考えてくれず、一方的に…
「料理を作ってくれる人と付き合いたい!」
「とにかく出会いが欲しい」
「恋と愛情に飢え続けてきた」
などと言われても、返答のしようがありませんよね。
結局は、要するに「女であればいい」と言っているも同然ではありませんか。
焦っている人は、顔つきは熱心かもしれないし、話し方も真剣かもしれませんが、「私でよかったら」とでも返事しようものなら、そのすぐ後に友達に電話して…
「オレにも春が来たぜ!」
と言うかもしれません。
せっかく気持ちを受け止めて「交際OK」と言ったのに、相手は実は「女ならいい」としか考えていなったとしたら、それは、誰だって悲しいし、不快な気分にもなりますよね。
「私だから」告白してくれたと思ったのに、実はそうじゃなく、自分の要望しか考えていなかった…。
「あんた、ちょっと、いい加減にしなさいよ」って言われるかもしれません。
ということで、ここから「就活」について考えてみましょう。
恋愛を語ることが好きな女子大生の中には、「そーゆー男、あたしは許せんっ!」という方もおられるでしょう。
でも、男にはそう言いながら、就活になると、案外自分がその「大嫌いな言動」を企業に対して平気でやっている、というケースが実に多いのです。
「とにかく、人と関わる仕事がしたいんです!笑顔とチャレンジ精神だけは負けません!」
(誰とどう比べて負けないって言ってるんだよ?)
「ずっと英語をやってきたので、英語と関われる御社の業務に魅力を感じました」
(英語しゃべる前に仕事しろ)
「国際的でスケールが大きい仕事がやりたいんで、志望しました」
(だったら地道な下積みに十年耐える覚悟はあるか?)
ざっと、こういった応答です。
本人の中では、色々と悩んでたどりついた「結論」かもしれませんが、あくまでそれは「自己満足」の結論に過ぎません。
多分、焦りや不安の期間が長かったので、自分の気持ちの整理が付けば、それでいいんだと安心しているんでしょうが、実に危険な兆候です。
そういうのは「志望動機」ではなくて、「志望の前提」に過ぎません。
恋愛に例えれば、「理想のタイプ」は考えたけど、「相手の理想」を考えてはいない状態です。
要するに、「ふられに行っている」ということですね。
「人と関わりたい」
「英語と関わりたい」
「国際的な仕事がしたい」
という動機が、相手と共有できるでしょうか。
こういった要素は、全て「仕事の一条件」に過ぎず、「てんぷらの衣」みたいなものです。
「何をもって、人と関わるのか」
「何をもって、英語を役立てるのか」
「何をどう、国際的に展開するのか」
おそらく、「国際的」と口では言っていても、これらの言葉を言う頭の中では、「外国であればいい」、「英語が話せればいい」くらいの動機しかなくて、「地道に国内で輸出商品を探す」とか「会計処理を頑張って外国の取引先を応援する」などという視点はないでしょう。
単に、「そう言っていれば安心する」だけの動機であって、所詮、共有可能なビジョンではありません。
共有できないということは、「不採用」ということです。
「寂しさから解放されたい!」という動機で告白されても、「ちょっと、あたしはあんたのボランティアじゃないんだから」とふられるのと同じで、相手の動機を尊重しないコミュニケーションが成功することはありません。
ということで、「自分の動機」がまとまったら、そこでやっと「ゼロ」だと考えてはいかがでしょうか。
自分の気持ちをまとめておき、信念に基づいて動機を表明するのはもちろん大切ですが、力みや焦りで相手の意図を無視し、「これだけは譲れない!」などと意固地になっては、却って逆効果です。
あなたは代わりに、何を譲ってあげられるのでしょうか。自分がやりたいことをやらせてもらう代わりに、会社の何をやってあげるのでしょうか。
そういうフェアな取引が成立してこそ、初めて「向き合う」のではなく「同じ方向を向く」という関係のコミュニケーションが成り立ちます。
今後、自分の志望動機の妥当性を判定する際は、
①その動機は、相手も「協力したい」と望む性質のものか?
②その動機は、相手と向き合うのではなく、同じ方向を向いているか?
③その動機は、「勤務条件」と「業務内容」のどちらに立脚しているか?
④その動機は、「内定してから」も永続的に発展するか?
⑤その動機は、きっかけとビジョンを質問したくなる性質のものか?
といった問いを立ててみることをお勧めします。
もてない人間は「口説き方」などを考えるでしょうが、もてる人は「惹き付ける力」があるのでそんなことは考えません。
惹き付ける力とは何かといえば、「共有可能な要素を探る姿勢」があるということです。これは人と人が出会う場であれば、どこででも等しく通用する大事な姿勢です。
誰しも、自分や自社に興味を持ってくれる人に興味を持つものであって、いくら声がでかくても、話し方が理路整然としていても、「自分の話」しかしない人と話すと、「1分」でも「長い」と感じるものです。
皆さんが誰かと話していたり、あるいは誰かの話を聞いていたりして、「いつの間にかこんな時間がたっていた」と思うような人は、どういう話し方をしているでしょうか。
きっと、皆さんの興味に立脚した話し方をしているでしょう。
また、そういう姿勢で接してくれる人に会うと、その人の個人的なことにも興味が及ぶようになるでしょう。
面接だからと、何も特別な準備をする必要はありません。
しかし、焦ると、平素は普通にできている「基本」を忘れて目先のテクニックに走るという過ちを犯すので、僕は毎年、「面接塾」では、基本的なことばかり話しています。
「共有可能な動機」は相手の期待を高め、印象と評価を二倍にします。伝えたいものがあればあるほど、相手が「伝えたい」と思っているものを察し、言葉で表現してあげましょう。
「幸せになりたい!」と言って告白してくる人と、
「幸せにしたい!」と言って告白してくる人がいたら、
皆さんはどっちの人を選び、「幸せにしてあげたい」と思いますか?
本当に良い志望動機もこれと同じで、自分の中ではなく相手の中にあるものですよ。相手を思えば、相手も自分を思ってくれるものです。志望動機はシンプルに考え、素直に表明しましょう。