■「内定への一言」バックナンバー編


「二十世紀的産業社会とは、

十八歳までに身に付けた能力で一生暮らせた社会のことである」

「ネクスト・ソサエティ」P・F・ドラッカー ダイヤモンド社


その




例えば、起こった問題に対し、それを有利に解決するために法律知識を組み合わせて解決策を導く「弁護士」の時給は、五○○○円くらいと言われています。もちろん、中には三○○○円の「居候弁護士」もいれば、十万円の「敏腕弁護士」もいます。


スピードと正確さ、先見性が要求される企業の合併・買収(M&A)業務を担当する公認会計士の時給は、数十万円にも跳ね上がります。


知識社会では、「収入の高さは問題解決の早さ、本質性に比例する」(「シンボル・アナリストの時代」竹村健一・祥伝社)のです。同じ会計士でも、顧問先の下請で毎月緊急性や希少性の少ない「月次訪問」だけを手掛け、年に一度の決算業務をしている人は、時給数千円だというのに。



僕の本業(転職・再就職支援)の時給は、「三八万円÷十二回の相談÷二時間」なので、時給は約一万五○○○円です。その他、扱っている商品の仲介や紹介などは時給五万円くらいで、社会貢献の一環として行っているFUNの顧問は、「講義一回一五×二十五人」なので、時給は三七五円、マニアックな趣味を生かし、「九十日でペラペラ」を公約に掲げている「FUN韓国語塾は、「一時間五○○円」という激安価格ですが、「五○○×十六人」で、時給は八○○○円です。


知識集約型の仕事を作ることで、副業の副業とも言える「語学教師」で、学生アルバイトの十倍もの収入が生まれてしまうのです。こういう稼ぎ方を、これからのFUNでは学生さんたちに教えていこうと考えています。それができれば、女子大生の皆さんも、「仕事か家庭か」と悩む必要がなくなり、赤ちゃんがいっぱい生まれるでしょうから。



僕は「時給換算で五○○○円以下の仕事はしない」と二十五歳から決めてきて、それに従うような仕事の仕組みを作り上げてきました。平均時給一万円になれば、同級生の約七倍の生産性ですから、支出の少ない僕の実働時間が「週一~二日」になるのは、計算するまでもなく当然のことです。


僕はこういう生活スタイルを、記者時代に見ました。取材で訪れた市内の某不動産会社の高卒社長が、「今年はマンション三つ買ったよ」と言っていたのです。「先月は月収二八万円だったけど、来月は三四万円になりそうで、そんなに儲けても、もう何も買うものがないってのに、税金対策が大変だね」と言い、「誰かいい税理士がいたら紹介してよ。時給一万円以下なら採用するから」と頼まれて、「なんだ、この非常識な会話は?」と思いました。「何か悪いことをしているんじゃないか?」とか、「収入って、そんなに簡単に上がるものなのか?」と勘繰ってみたのですが、仕組みをきちんと教えてもらうと、「なるほど」と脱帽。世の中にはすごい人もいたものです。(皆さんも社長さんと会える仕事をしましょうね)



このように、まだ二十代の僕なんかより、もっともっと生産性が高い仕事をしている社長さんも世の中にはたくさんいますが、要はこれが「知識社会」の格差だということです。「保有知識」よりも、発揮知識」の組み合わせ方、つなげ方、当てはめ方次第で、収入が限度を知らず上がるという社会です。


ドラッカーは、こういう格差が到る所で見られ、年齢や性別によらず、有能な個人の可能性を最大限に活用した社会、国家が成長するのが「知識社会」だと力説して、先月他界しました。よく聞く「情報化社会」も、「知識社会」と同義語として考えてよいでしょう。



日本では「知識」という言葉を使うと、「インテリ」というイメージと結びつきやすいため、あえて抽象的に「情報化社会」と呼んでいますが、この言葉はパソコンやインターネットなどの「IT」を連想しやすいため、やはり「知識社会」と呼ぶのが適切だと思います。



さて皆さんは、産業社会と知識社会のどちらで生きる準備を、毎日やっていますか。もちろん、これからが完全に知識社会になるのではなく、産業社会が知識社会に従属していく、というほどの意味でしょうが、全労働人口の六割が「農業人口」だったのが、わずか四十年にして六割が「都市人口」になったのが日本ですから、知識社会の台頭も猛スピードで進行していくのでしょう。僕は日々、こういう社会の到来を見越して育ててくれた母親に深く感謝しています。



そんな中、九月に「下流社会~新たな階層集団の出現~」(三浦展・光文社新書)というユニークな本が発刊されました。FUNでは既に十人ほどが読んでいるようですが、この本では「下流」の実態、条件、展望を余すところなく豊富なデータ、数字で裏付けてあり、僕の年齢(二十九歳)では「なるほど」と思い、読んだ学生さんたちは「ゾッとした~!今読んでてよかった。うちの大学も下流ばっかりやん」とのことです。


特に「いい結婚をしたい」と思っている女子大生の方は、絶対に読んでおいた方がいいですよ。本書では、冒頭にいきなり「下流度チェック」があり、読者がどれだけ下流か、簡単に分かるようになっています。アンケート項目は「それだけで分かるのか」と思うほど単純ですが、本質的な部分だけに問いを集中させているので、見てみるといいです。


先月読み終えましたが、感想としては、「この本は、ドラッカーが言う産業社会に生きている人の実態を統計化した本だな」というものでした。その中で、「年収三百万以下で結婚できない」、「能力がないくせに夢だけ語る」、「自分の生活を向上させる意欲を年とともに失う」という下流人間の共通点を指摘した引用箇所があります。


それは、「自分をうまく説明できない」「初対面の人と良い関係を築けない」という特徴です。「言語能力と対人交渉能力の不足」という、この二つの条件を満たしている人は、どの学校を出ようが、どんな家庭に育とうが、下流だと言っているわけです。


僕にもいくらでも事例が思いつくので、よく分かります。


「自分をうまく説明できない」のは

「チャンスをモノにできない」、

「人から重視されない(自分の優先順位が下がる)」、

「要望と違った仕事をさせられる」


ことにつながり、


「初対面の人と良い関係を築けない」のは、


「自分の世界を広げられない」、

「今までの人間関係にこもるしかない」、

「チャンスが入ってこない」



ということにつながるからです。


つまり、「社会に出た時のままの状態で生きるしかない」ということですね。



あなたはもう、就職活動を始めていますか。まだなら、なぜ始めないんですか。周囲がまだ始めてないから?それは、周囲が下流人間か、産業社会に生きる人間だという危険信号ですよ。あなたの周りからは、就職や仕事に対して積極的な声は、どれくらい聞こえますか。


「きつい」、「いやだ」、「まだ学生でいたい」、「やりたいことないし」などという声が聞こえていたら、それはもう、チャンスが来ない人的環境の中にいるという証拠です。何より、「自分の未来のために取る行動が一日のうちになく、その日限りの生活を漫然と続けている」という人は、僕の同年代が身を持って示してくれている通りの人間になるでしょう。


だって、学生時代が全く同じ姿だからです。


「今しか楽しめない?」

「せっかく入学した?」

「自分らしく自由に生きたい?」

「今しか遊べない?」



う~ん三十歳になって「低収入、恋人なし、信用なし」というトリプル安を達成した人間と同じ言葉を、まさか学生から聞くとは「社会に出たら遊べない」なんて、できない人間がばらまいた嘘です。社会人は、学生時代よりよっぽど遊べます。というか、遊びより仕事の方が楽しいです。


「ウソやん」と思うかもしれませんが、「システムを作る側」の仕事は、いつも楽しく、喜ばれ、儲かり、長続きするのです。「楽しくない」という言葉は、人から雇われている人しか口にしません。内定は、仕事以前の問題解決に過ぎません。先の展望を大きく長く持ち、まずは最初の仕事を全力でモノにしましょう。


働きたくない人には、ちゃんとその要望に応じた席がいっぱい空いているのが実社会なので、皆さんは「勉強だけに集中できる」学生時代を一分足りとも惜しまず、知識の蓄積と考え方の拡大に全ての時間とエネルギーを投資しましょう。そして、「仕事が面白い」と言う人からのみ、情報を収集しましょう。



「やったらやっただけ報われる社会」は、キャンパスの外に、もう出来上がりつつあります。「つまり、私(オレ)の時代ってこと?」と思った方は、迷わずFUNで勉強するといいですよ。年の暮れを前にして、先月くらいから、九大、西南、九産大から賢明な学生さんたちが集まり始めましたね。


どうせ忙しくなるなら、サボってたまったレポートより、価値ある将来への準備で忙しい方が幸せです