■「内定への一言」バックナンバー編
「良い情報がなくても、悪い情報は聞くな」
伝達された情報が効果を発揮するのは、「発信者の意図」と「受信(質問)者の要望」が一致した時。情報の八○%は「使い捨て」で、「ヒマ潰し」が目的です。これは就活でも同様で、不安で暗くなりたければ「暗い答えが来る問い」に熱中すればOKです。「筆記できた?」、「面接難しかった?」、「圧迫あった?」、「何人だった?」…と。
いかがでしょう。これらは尋ねるほど暗くなるだけで、答えを聞いても大して意味をなさない問いで、繰り返しても不安とため息で共感するだけの話です。それを「情報収集」と思い込み、「何か就職に関することを話していないと不安だ」というだけの焦りから思いつくままに周囲に繰り出し、時間に任せて会話を進めても、明日から待ち構えている作業が億劫になるだけです。
さらに、最も相談時間が長い「自分」が暗いと、末路は悲惨です。良い情報は、ネットやテレビの中にはありません。待って手に入れた情報など、「お知らせ」に過ぎません。
なぜなら、「誰が見ても同じ」ものは、その時点で既に情報としての価値を失っているから。動き、問い、確かめ、将来に当てはめてこそ「情報」です。
多くの人は開示され、整理され、編集されて媒体に載せられた文言を「情報」と呼びますが、それはいわゆる「顕在情報」というもので、確認や記憶の対象としてしか用を成しません。そういう情報も大事ですが、本当に意味で価値があるのはいつも「潜在情報」。
気付きにくく、それが何を意味するのか分からなくても、知識と先見性で裏付けを与え、価値を発揮させる種類の情報です。
そういう情報は、毎日毎時間得られるものではありません。問いを投げ掛けて走り出し、苦悩の中にも諦めない姿勢が大切です。走り続けていれば、あなたが過去に投げた問いというボールは、未来のふさわしい地点で「答え」となって落ちてきます。
あなたのやることは、思い切ってボールを投げることと、着地点を読み、捕球の腕前を信じて、全力で走ることだけです。
FUNでも、最初は「情報収集したい」とか、「情報がない」といった就職ジャーナリズムの流行語を口にして入ってくる学生もいますが、ここでは一切その手の要望には応えません。そういう人間は、情報だけ手に入れたら自分もレベルアップしたと勘違いして、すぐに去っていくからです。生かせもしないくせに。
情報が欲しい人は、自分から「企業取材」という、自分が欲しい情報を手に入れるイベントを企画するのがFUNです。「学生一般」、あるいは「一般的な学生」という、どこにも存在しない「架空の学生」を対象に、誰のためにもならないような情報を提供するサイトや、学生はキャンパスにいて、社会人講師を呼んでくるようなイベントサークルとは、FUNは決定的に違います。
「魚は与えず、釣り方を教えよ」との精神で、自分で自分の現実を開拓し、処理していける精神力と知力を鍛えるのが、FUNというサークルです。生かす素地も忍耐力のない、ただ焦っているだけの学生に情報を与えても、どうせ食中毒になってトイレに駆け込むだけのこと。僕には、そんなかわいそうなことはできません。僕は、平凡で目立たないようなことからも「これはもしや…!」と思える学生を育てたいのであって、情報提供には全く興味がありません。
いい情報は、転がっているのではなく、想像して掴むものです。はっきり言って、並の努力では貴重な情報は掴めません。イライラもします。焦ることもあるでしょう。しかし、それを解消したいからと、すぐに答えが分かるような表面的な問いばかりを発したり、無分別に何でも手に入れたりしないよう注意しましょう。
自分で自分を余計に不安にする必要はありません。悪い情報を聞くよりは、分からない宙ぶらりんの状態の方がずっと生産的。あなたを夢に運ぶ情報は、どこにありますか?