■「内定への一言」バックナンバー編


「夢がないから語らないのではなく、語らないから夢にならない」





夢って、どうやったら生まれるんでしょう?というか、夢とはそもそも、どのあたりからの願望を言うんでしょうか?そんなことを、FUNの顧問をお引き受けして以来、よく考えます。


「夢がない」と言う学生はやっぱり辛そうだし、あると言う学生は生き生きしています。夢があるかないか、正確には「あると思っているか」どうかで、どうも毎日に差があるようなのです。



こういう立場で毎週一回、学生さんとお話しているからには、みんな夢の実感を持って生きてほしいなと思い、あれこれとお話をさせてもらってきました。そして、夢とそうでないものの区別が、「もしかしてこれかなぁ」と思うようなことを、いくつか思いつきました。今日はその一つをご紹介してみましょう。読者二三九人の方に何らかの参考になることを願って





経営者はよく、「夢と目標の違いは、期限があるかどうかだ」と言います。それも確かに一理あります。しかし、そういう場合はよく、単に「借金の返済期限」を指していることもあります。これはもう、経験した身としては誠に実感が湧きやすく、二十六歳で独立した頃は、「給料とは、もらうと払うじゃ大違いだな」と冷や汗をかいた記憶があります。


あの頃(三年前)の僕には、確かに借金の返済期限があり、それに基いた経営計画を立てていました。知人には「目標」と言っていましたが、それはつまり、「強制されていた」ものに過ぎませんでした。




このように、期限を付ければ、一瞬にして過程に金額や時間の平準化がなされ、計算が可能になります。よって、投入すべき努力と回収すべき結果が明確になる。これはこれで、大変素晴らしい夢や目標の定義です。


しかし同時に、期限とは往々にして恣意的(自分の都合で勝手に決めたり変えたりできる)なもので、人には「二十五歳まで」とか「今年中に」と言ってカッコつけながらも、自分一人になるととても間に合いそうにない有り様、という社会人もいっぱいいるのです。




自分にしか分からない基準で、果たして自分を律していくことができるでしょうか。僕は無理です。最近は昔より随分意志が強くなりましたが、僕は自分が、外付けの理由では頑張れない人間だと気付きました。ということで、夢の再定義を行ってみました。


「夢とは、待ってくれている人がいる計画のことだ」と。



どうでしょう?なかなかいい定義じゃありませんか?僕はけっこう、気に入っています。これは実に小さい夢です。よって、ほとんど全てが達成可能です。続けるほど、達成は大きくなります。しかも、冷や汗じゃなく笑顔で頑張れるのがいいところ。



僕の毎日には、学生や友人、お客さん、母親、弟、甥っ子、赤ちゃんなど、僕に喜ばされることを待っている人が大勢います。




そしてなぜ、これらの人が待っているかと言えば、僕が「喜ばせますからね」と約束したからです。つまり、「発信した」ということです。僕は「いつまでに何をするか」を語り、その話に対する相手の反応を、言葉や表情でしっかりと確認したのです。こりゃ、頑張らないはずがありませんよ、ほんと。


五歳の甥っ子には、「今度おいちゃんがミニカー買ってあげるけんね」

五十五歳の母親には、「来年現金一括払いでマンション買ってあげるからね」

六十四人の学生たちには、「内定なんて楽勝だ!毎日を夢との待ち合わせにしよう!」

四十四人のお客さんたちには、「僕は自信を持って、あなたはできると断言します」

七○○人の友人には、「オレの友達であることが、将来財産になるよ」

二十人の外国の友人には、「日本の底力を見せてやるから、期待しとけ」

といった感じです。





僕は言ったことは必ず実行し、達成します。それは、達成するまでやめないからです。非力で無知の二十代は、集中と継続、忍耐とスピードしか、武器がありませんでした。 「待ってくれている人がいる」ということは、発信したということ。


語れば反応が生まれ、それをさらに深めれば未来の約束となり、達成への何よりの動機付けになります。僕はそういうエンジンで頑張っているから、平均睡眠四時間でも、風邪もひかなければ病気にもかからず、試みた全てを納得いく結果に導けたのだと確信しています。



あなたの夢を「夢」と呼ばない人は、大抵の場合、世界であなた一人でしょう。夢って、どんなに小さく曖昧な状態でもいいんです。そもそも、どんな夢も、達成の一秒前まで未熟、つまり未達成です。だから、不足ではなく、達成の瞬間に一緒に喜べる人が少ないことこそ、心配すべきことです。


ということで、そこのあなた!心配する対象が間違っているかもしれませんよ。仲のいい友達に、あなたが将来に描いていることを語ってみて下さい。未熟でOKです。未熟ゆえに、友達は達成の日に成功を祝福し、あなたの友人であることを誇りに思うでしょう。語った瞬間、夢が生まれます。夢が生まれたら語るなんて言ってたら、すぐにじいさん、ばあさんになってしまいますよ。ということで、毎日、待ってくれている人を増やしていきましょう