■「内定への一言」バックナンバー編


「世の中で、学生ほど時間がない者はいない



聞くところによると本メルマガは、福岡県内に存在する多くの就職サークル、就職支援団体の方も読んでいるそうです。どんな組織があるのか、僕は詳しくは知りませんが、これまで3年間顧問を引き受けてきて、10近くの団体の関係者がFUNを訪れました。


僕は、その中で2つの団体の責任者をしている学生さんと話したことがありますが、「運営で困っている」ということだったので相談に乗っていたら、2人ともFUNに入部してしまいました。別に、何もFUNのことを話したわけでもなかったのに




ミスドで生まれたFUNは、そのまま学内サークルになったので、なぜか社会人の僕が顧問を引き受けたまま、今に至っています。我ながら、変則的な形式だと感じます。最近はFUNの学生さんも、「自分たちで運営しよう!」と意気込んでいるそうで、僕も早く、いなくていい人になりたいものです。


もっとも、運営の大変さを知らないまま意気込んでも、ジョージ・オーウェル「動物農場」(角川文庫)みたいになりはしないかと、少し心配ですが




いつもはニコニコしている僕も、過去2度だけ頭に来て、「貴様らは消えろ!自分たちでやれるなら、やってみたらいい。頑張りたい人間の邪魔だ」と叱りつけたことがありました。苦い思い出です。しかし、正しい判断でした。


FUNには


・どうしようもなく将来が不安になって、最後の希望を託して訪れた学生さん

・浪人して入学し、希望を持って学生生活を始めたものの、想像とのギャップにサボり始め、これじゃいけないと訪れた学生さん

・希望する学部に入れず、知識不足を埋めようと、たった一人で決意して訪れた学生さん

・時間を持て余し、遊びにも飽きて、親や兄弟に申し訳ないと後悔し、再起を誓って訪れた学生さん


が、たくさんいます。



僕は、そのような学生さんの動機を聞くたびに、心から「ようこそ、ここが君の再挑戦のステージだ」と歓迎したくなります。今までどうだったか、そんなことには興味はありません。ただ、「これからどうするのか」だけを聞けば、僕が持っている経験や知識、考え方は、惜しみなくいくらでも提供していこう、と考えています。


時々「学生の味方ですね」とか言われますが、そんなつもりは全くありません。ただ、「挑戦者の味方」なだけです。




僕はいつ消えても構わない決意で、毎回参加していますが、過去に停滞・分裂しかけた時に、「来なくていいなら、そう言ってくれ」と言っても、90%は「小島さんに教わりたい」と支持してくれたのは、有り難いことでした。退部した学生が自分たちでサークルを作った、なんて話は、一度も聞いたことがありません。


僕が今も、仕事の傍ら、毎日数時間を割いて、月額600のサークル顧問を引き受けているのは、FUNを作った安田君への礼儀と、僕を信じて早朝から集まってくれる若者への感謝、それだけです。部員の皆さん、僕が学生よりもサボっていると思ったら、いつでも解雇して下さいね。




今日は、FUNの方向性を話し合うために集まった部員の皆さんと、天神のドトールですれ違いましたが、ぜひこの、先輩たちの願いと思い出が詰まったサークルを、さらに素晴らしいものにしていって下さい。


FUNは「元気をもらいに行く場所」ではなく、「元気を届けにいく場所」です。「反応してもらう場所」ではなく、「反応してあげる場所」です。最近入部された方は、ぜひ知っておいて下さいね。




学生さんはよく、「学生は時間がある」と言います。しかし僕は、そういう言葉を聞くと、「なんでそんなことが言えるんだ?」と首をかしげてしまいます。そう言って甘えている学生ほど、何週間、何ヶ月たっても、成長していないパターンが多いからです。どうも話が違うようです。「時間がある」んじゃなかったんでしょうか?従って、そういう寝ぼけたことを言うのは、初心を忘れた怠け者だけだ、ということを知っておきましょう。




現在、将来の仕事や自分の収入に危機感を感じている社会人は、平均で、月額2.5万円の自己投資を行っているそうです(日経ビジネスAssocie調べ)。これは、一年間だと30万円にもなります。なぜでしょうか?答えは単純で、「今の知識や能力では、この先やっていけない」ということが、痛いほど分かるからです。だから、「今頑張れば、来年の年収は60万円くらい上げられる」と思えば、今年の30万円は惜しくないのです。


これが経営者になれば、自己投資額はさらに増えます。勉強会、人脈、書籍、セミナー、ビデオなど、人によって選ぶツールは違いますが、伸びる会社は、誰よりも社長が勉強しているものです。みんな、「時間がない」と思っているから、こういう努力をしているわけです。




まだ30歳になったばかりの僕だって、同じです。僕は、自分より年下のお客さんと話が通じなくなるのが嫌なので、若者に対する説明能力を鍛えるために、サークル顧問という役割を引き受けて、毎週自分に試練を課しています。僕には時間がないのです。時間がないと思うから、平素から先延ばしをせず、今一瞬に集中しなければ、とても夢は叶えられない、と焦っているのです。




僕だけじゃなく誰でも、本当に自分の「やるべきこと」と、自分の現状の不足が自覚できていれば、「時間がある」なんて言葉は、吐きがたいと思います。やがて迎えるべき期限(卒業、就活、新事業など)を意識した時、その時に目指している自分の姿に比べ、今の自分は、知識、能力、見識、経験、資金、信用、人脈、勉強量、意志力のどれを取っても、なんと足りないことなのか、と冷や汗が出てきます。




そしてまた、その落差を埋め、さらに上積みを重ねていくために使える時間の、なんと少ないことか。僕は学生時代を含め、20代を通じて、「自分には時間がある」なんてことは、思ったことがありません。ましてや、レポートやエントリーシートすら後手後手に回り、24時間ぶっ続けで働いてやっと、僕の1時間と同じ収入を得る学生さんが「時間がある」なんて言うのは、どうにも信じがたい言葉です。




時間があるんじゃなくて、想像力がないだけでしょう。あるいは、未来のための予定や義務を、意識的に毎日から外しているだけのことでしょう。だから、「時間がある」と言っている学生は、成長しないのです。活用しない時間など、時計か手帳の中に存在するのみで、何の生産的な意味もありません。




部員の皆さんの中には、安田君や牛尾さん、大月さん、川田さん、隈本さん、川原君、本田さん、袈裟丸さん、大江さん、満行君、牟田君の学生時代の姿を覚えている方もいるでしょう。みんな、「時間がない」と言って、毎日必死でしたよね。


・今までの失敗で失った時間と、卒業までに後輩にしてあげるべきことを考えれば、こんなペースでは時間がない。


・企業の方に受けた信頼にふさわしい雑誌を作るには、こんなパソコンのレベルでは、時間がない。


・商社で通用する会計力と語学力を身に付けるには、今の自分では、とても足りない。


・日本を足元から変える、という夢を叶え、営業現場で通用する新人になるには、今の知識では、とうてい足りない。


・卒業後に広告代理店として独立するには、今の技術力と営業力じゃ、とても太刀打ちできない。


・4年生の秋から入部した自分には、もう残り数回しか、みんなと一緒に勉強できる時間がない。


皆、素晴らしい先輩でした。今のFUNがあるのは、そんな先輩たちの献身的努力のおかげです。そんな学生さんたちと一緒の時間を過ごせたことは、僕の誇りです。読者の皆さんの周りを見ても、会うたびに成長している人はいつも忙しそうで、「時間がある」と言っている人ほど、いつ会っても同じ口癖ばかりでしょ?




最後に一つ、2年ほど前に紹介した例え話を引きながら、今日のメルマガを終えます。



地下鉄に乗ろうとしている人がいます。彼は全速力で駅に向かって走り、大急ぎで改札をくぐり抜け、階段を走り降りていき


「福岡空港行き電車が発車します。閉まるドアにご注意下さい」というアナウンスが流れ出す頃に、電車に駆け込みました。


彼は、電車に間に合うことができました。



なぜでしょうか?それは、「発車時刻を知っていたから」です。そして、「今の時間」を知っていて、「時間がない、しかし走れば間に合う」と想像し、走る決断を下して、電車が見えないうちから走り出したからですというだけの話です。


あなたはもしかして、「電車はまだ、ホームにいる」ということに、気付いていないかもしれません。あるいは発車時間や今の時刻を、知らないのかもしれません。ならば走れず、確実に乗り遅れます。大事なのは、「電車が見えているかどうか」ではありません。走れば見えるのです。走らないのは、「電車はない」と思っている人か、あるいは「時間がある」と思っている人だけです。



学生生活もこれと同じ。「時間がない」とまず思わなければ、あなたの発揮できる能力は何ら発揮されることなく、「無限の能力」という言葉にだけ酔いしれ、「秘密兵器」と思っていた資質は、本当に「秘密」のままで終わってしまうでしょう。


僕の高校にも、「サッカー部の秘密兵器」と呼ばれながら、卒業まで秘密兵器のままだった友達がいました。あるなら使いましょう。ないなら作りましょう。昨日の8020の法則」(リチャード・コッチ/TBSブリタニカ)で学んだように、恐れるべきは時間の不足ではなく、時間の浪費です。今の自分が、卒業時の自分ですよ。