■「内定への一言」バックナンバー編


「成功する人は、能力やセンス以前に、問いが一流だ



今日はFUN10人が、杉村太蔵議員とディスカッションを行っているそうです。どんな結果になるのやら。報告が楽しみです。今週は各大学で卒業式が行われたとのことで、卒業された皆様、本当におめでとうございます。長い長い学校生活が終わり、これからやっと、楽しい社会人生活ですね。「期待の新卒即戦力」として活躍されますよう、心より祈願申し上げます。


今日は、そういう時期ということもあって、社会で成功する考え方について書いてみたいと思います。




「成功」ほど多くの人の関心を引き、人によって解釈が多様な言葉も少なく、社会では多くの人が、成功するにはどうしたらいいか、を考え続けています。僕も皆さんの年齢の頃、そんなことを考え続け、外国語学習や文筆、法人営業、企業取材、独立起業、サークル顧問などに挑戦しました。


僕は全て、決めた以上によく達成でき、我ながらちっぽけな目標で調子に乗っていたもんだ、と自分の底力に驚いた20代でした。




働きながら、多くの良き先輩にも出会いました。各分野で一流とされる方々にも、多くのアドバイスをいただきました。多くの学問分野で「泰斗」とされる方々の著作も読みふけり、多くの優れた思索にも触れることができました。


そして、成功とは、相対性や希少性によって規定されるものではなく、ましてや人が羨む成果を上げることではなく、「決めたことを、仲間と一緒に、過程に充実感を味わいながら、一つ一つ達成していくことだ」と感じています。




今、社会人10年の短い経験を振り返って、「成功するにはどうしたらいいのか?」と学生さんに聞かれたら、僕の経験からは、以下のように言えます。


能力が一流である必要はない。

センスもなくてよい。

受けた教育や学歴などは、全く関係ない。

ただ、「問い」が一流であればよい。


と。




たとえば、王監督は現役時代、日本と世界の頂点を極めたホームランバッターでした。確かに、能力もセンスも優れていたかもしれません。記録を出した後であれば、なおさらそう思いやすいものです。しかし、僕は能力やセンス以前に、「問い」こそ世界トップだったと思います。




王監督のお父さんは、台湾から移民してきた飲食店の主人で、「五十番」というラーメン屋さんを経営していました。野球のエリート教育を受けるような家庭でもなく、ただ勤勉・実直を宗とする家庭でした。その王選手は、現役時代、「世界一のホームランバッターになるには、どうしたらよいか?」と自らに問いかけたわけです。


すると。そのための答え(到達すべき練習量)が導かれました。あとは、達成できる自分を信じて、日々コツコツと練習を継続しました。そして、世界一のバッターになりました。




また、イチロー選手は日本と世界の双方で首位打者を獲得した、日本が誇る名打者ですが、彼は高校まではピッチャーで、パワーヒッターでもなく、地道な打撃で「けっこう打てるピッチャー」という評価でした。オリックスに入っても、それほど目立つ選手でもありませんでした。しかし、イチロー選手は、その有名な小学校の卒業作文からも分かるように、常に「一番」を目指し続ける男でした。


プロに入ってからもその姿勢は変わらず「日本一、世界一のバッターになるには、どうしたらいいのか?」と自らに問いかけました。そして、そのための答えを、彼だけが知りました。結果は、全日本国民が知るところです。




というように、スポーツの世界に限らず、経営、芸術などの世界においても、一流の成果を出した人は、まず何より「問い」が一番です。もちろん、「一番ではない問い」だって、誰もが持てます。


「レギュラーになるには、どうしたらよいか」

「試合に出るには、どうしたらよいか」

「監督に叱られないためには、どうしたらよいか」

「野球を続けるには、どうしたらよいか」



それぞれの問いを持った人に、ふさわしい答えが提供されるでしょう。そして、期限までに、問いに比例したスケールの人間になるでしょう。人は問いに応じた答えしか持てない、ということです。今あなたがやっている行動、直面している結果、味わっている感情は、全て、あなたの能力やセンス以前に、あなたの「問い」を反映しているわけです。一つとして、言い訳できることはありません。




僕も皆さんの年の頃、


20代で10ヶ国語を覚えるには、どうしたらいいか」と問うとシュリーマン新名美次さんといった「語学の超・達人」がいることを知りました。


「経験、知識、コネなしでトップ営業マンになるには、どうしたらよいか」と問うとエルマー・ホイラー原一平さんの存在を知りました。

20代で起業し、成功するにはどうしたらよいか」と問うと藤田田さんや孫正義さんの著作に出会いました。


「歴史に名を残すには、どうしたらよいか」と問うと渋沢栄一内村鑑三の著作に出会いました。



自分が引き出せた能力やセンスは、それぞれのステップで味わった感動に比例していただけ、です。だから、感受性や影響を受けるセンスも、立派な才能だと思います。同様の本を読んでも、当時の僕以上に深く感動し、素直に受け止める学生さんは、多くいます。こういう学生さんはきっと、僕なんかよりもっと、ずっと大きい人物になることでしょう。継続さえできれば。




さて、皆さんは平素、どのような問いを持って過ごしているでしょうか。



「これから迎える数十年の社会人生活を支え、いつでも最高の思い出と呼べる大学生活を送るには、今日をどう生きるべきか」


「入社先で期待され、応援され、周囲の協力を追い風に変えて成長するには、今どのような就活をすべきか」


「自分に隠された多くの能力に出会い、将来を切り開く自信と希望を手に入れるには、どういう勉強をすべきか」



このような問いを持てば、皆さんは「日本一の学生」になれるでしょう。だって、問いが一番だから。反対に、醜くスケールの小さい問いを持って今の春休みを過ごせば、就活でもオドオドし、自信もなく、希望よりも不安に支配された、臆病な学生に成り下がってしまうでしょう。


自分を変えたければ、一円もかかりません。まず、問いを変えることです。変えたら、下げないことです。もし、一人では難しいなら、FUNに来るのもよいでしょう。月曜のFUNゼミには、4人ほど見学の方が来られるようですね。卒業生の皆さんも、就活生の皆さんも、1、2年生の皆さんも、スケールの大きな問いを持ちましょう。春休みは、そういう人間にだけ、価値ある時間です。