■「内定への一言」バックナンバー編
「忍耐と継続は、誰もが使える魔法である」
僕が経済誌の記者になったのは、何をおいても「社長と直接、かつ継続的に話せること」が理由でした。現場でビジネスを作る様子に触れ、将来の事業構想を練る素材を集めようと、毎日の仕事に熱中しました。社長たちはアイデア豊富で、お金もたくさん持っています。そして何より、人気があるし、モテます。「オレがいずれ超えてやる!」と思いながら、毎日いろんな社長にこき使われましたが、「社長の仕事に秘訣はあるのか?」という問題意識に対して答えを得るのに、大して時間は要しませんでした。なぜなら、「秘訣など、ない」ということが分かったから。
書店では「○○の極秘テクニック」とか「○○成長の秘密」などという本があり、それぞれ勉強になりますが、書いてあることはたいてい同じです。何が同じかというと、「当たり前のことしか書いてない」という点です。そして、僕が取材・営業で回った数百社でも、社長たちの仕事には、何も秘訣はありませんでした。ほとんどの社長は、「思い立ち、動き、続け、耐える」という当たり前のことを黙々とやっているだけ。「なんだ、それなら自分にもできる」と嬉しくなりました。即断即決と忍耐・継続は僕の得意中の得意な技だったので、秘訣を知って感動しました。奇跡とか秘訣、魔法という言葉は、それだけで何か希少性を帯びた響きを持っていますが、「誰もができない」ということより、「誰もができるけどやらない」ということを地道にやった方が、何事も近道です。そして、秘訣や要領、マニュアルに頼っていたら、その時点でもう「手遅れ」です。それは「当たり前」に手を抜いた証拠だから。
面接でもエントリーシートでも、「あなたの使える魔法を教えて下さい」とか、「あなたの身に起こった奇跡を論じてください」などの質問はありません。学生が学生としてできる「当たり前」を、素直に自信を持って語ればいいだけのこと。「そりゃ分かるけどさぁ」と言う人はいっぱいいます。でも、九割の人は言い訳だけです。さっさと今の思いを行動に変えましょう。行動に移したら、明日も続けましょう。明日も続けたら、明後日も続けましょう。そしたら、その頃には「やめるのが難しい」という状態になっています。
この間、たった三日ですよ。三日後、何もしなかった人を見てみて下さい。「まだやれん」と言っているではありませんか。周囲が怠ける夏こそ、追い付けない差を付けるチャンス。他人に遠慮せず、自分に欲張りになりましょう!夏の努力に感謝できるのは、そう遠いことではありませんよ。