広島・野村、圧倒的得票数でセ新人王!それでも「悔しいシーズンでした」

 来季の目標を色紙に書き拳をにぎる野村

 広島の野村祐輔投手(23)が20日、セ・リーグの新人王に選出された。球団としては06年の梵英心内野手(32)以来6年ぶり8人目。投手としては、 97年の沢崎俊和現2軍投手コーチ(38)以来、15年ぶり6人目の快挙。圧倒的な得票数での選出を喜びつつ、後半戦の失速を反省し、来季のさらなる飛躍 を誓った。

 予想外の得票に、表情がほころんだ。投票総数262票のうち、約8割となる200票を獲得しての、新人王。野村は「たくさんの方に評価していただいて、本当にうれしく思います」と、喜びを表した。

 目標だった2桁勝利は逃したが、セ・リーグの新人としては、66年の堀内恒夫(巨人)以来46年ぶり5人目の、規定投球回数&防御率1点台を達成。プロでもトップクラスの実力を示した。

 それでも「今年はお客さんみたいなもの。来年が本当に大事」と淡々。1年を振り返って出てきたのは、「悔しいシーズンでした」という反省の言葉だ。後半 戦は2勝8敗で、8月22日以降は6度の先発で0勝5敗と失速。チームがCS争いを演じた正念場に貢献できなかったことが、頭から離れなかった。

 失速の一因となったのは、6月に再発させた、大学時代からの古傷である背筋痛。自然と患部をかばったことで、終盤には全身に疲れが及んだ。9月にはト レーナーに直訴し、大学時代の調整法を取り入れたが、結果は伴わず。高校時代からの知人に、電話で弱音をもらすこともあった。

 その反省を十分意識し、来季の課題については「体力面ですね。1年間戦えるようにしないと」と分析。「やることがたくさんあって、休んでいる暇はないです」と、グラウンド外でも多忙が予想されるオフも、不休でトレーニングに取り組む決意を明かした。

 苦しみながらも残した実績は、新人としては破格。そこに鍛錬が加われば、鬼に金棒だ。「来年の目標は、今年の成績を上回ること」と宣言。届かなかった2桁勝利に加え、2位に終わった防御率ではタイトル奪取も視野に入れる。

 目の前にそびえ立つ目標は、防御率リーグ1位、勝利数で2位と野村を凌駕(りょうが)した前田健だ。春季キャンプから練習パートナーを務め、常に身近で刺激を受けてきた。

 「すごさを感じた。背中を追いかけていきたい」とした上で「超えるような成績を残せば、チームもいい位置にいけると思う」と“恩返し”にも意欲を見せた。一生に一度の新人王も、どん欲な野村には単なる通過点に過ぎない。その思いは来季の成績で証明してみせる。