写真:ベーチェット病について話す、EXILEのMATSUさん=東京都目黒区、遠藤真梨撮影
ベーチェット病について話す、EXILEのMATSUさん=東京都目黒区、遠藤真梨撮影


■免疫と病気 MATSUの覚悟:1

 スポットライトの強烈な光、つややかな木目のステージ、激しく動き回る何台ものテレビカメラ――。

 9月。ダンス・ボーカルグループ「EXILE(エグザイル)」の14人が、TBS(東京・赤坂)の収録スタジオにいた。メンバーのトップでボーカルの横 に立つ、ダンサーのMATSUさん(37)。曲に身を委ね、黒いジャケットをふわりとひるがえし、床を滑るようにステップを踏み始めた。

 ダンスに捧げてきた、今日までの20年。それは、突然の激痛におびえる、難病との孤独な闘いの日々でもあった。

 高校に入学して間もなく、テレビのダンス番組で目にしたヒップホップの不良っぽさにひかれ、友達とストリートで踊り始めた。19歳の頃に仲間とダンスチームを結成。イタリア料理店の厨房(ちゅうぼう)でアルバイトをしながら、渋谷のクラブで朝まで踊った。

 そんな時、体に異変が起き始めた。

 疲れがたまると、ひどい口内炎ができ、食べ物を口に入れられない。両足に赤いあざのような紅斑が出て、発熱やだるさに襲われることも。そんな時は3日ほど、ただ寝ているしかなかった。

 症状が出るたび、川崎市の実家に近い診療所を回った。初めは歯科、その次は皮膚科、さらには内科、泌尿器科へ。そのつど出される炎症止めの軟膏(なんこう)やビタミン剤はさほど効果もなく、しばらくすると同じ症状がぶり返した。

 体調に波はあったが、地道にダンスの技に磨きをかけ、やがて、クラブで踊るダンサーの中で圧倒的な人気を得るようになっていった。

 「俺と一緒のチームで踊ってみないか」

 そう、声をかけてくれたのが、今のEXILEのリーダー、HIROさん(43)だった。1998年、新しく「J Soul Brothers」を結成するダンサーを探していた。

 日本のダンスブームを牽引(けんいん)したグループ「ZOO」の元メンバーだったHIROさん。テレビで見た憧れの人からの誘いに、胸が高鳴った。

 「俺たちのダンスで絶対、武道館に立ってみせる」。グループを結成した5人の仲間でそう誓った矢先、足にできた紅斑が悪化し、痛みで歩けなくなってしまった。

 「これはベーチェット病です」。検査入院した東京都内の総合病院の医師は、こう告げた。