マッカーサー(デヴィッド・モース、右)と対峙する吉田茂(渡辺謙)

マッカーサー(デヴィッド・モース、右)と対峙する吉田茂(渡辺謙)

 日本の戦後復興に尽力した元首相、吉田茂(1878~1967年)を主人公にしたドラマ「負けて、勝つ~戦後を創った男・吉田茂~」(土曜午後9 時、全5話)の放送が8日、NHK総合でスタートする。吉田を演じた俳優の渡辺謙(52)は「吉田さんの苦悩の深さと歴史の重みに挟まれて大変な撮影だっ た。かなりざらざらした骨太なドラマができたのでは」と振り返った。

 ドラマのタイトルは「戦争に負けて、外交で勝った歴史がある」という吉田の言葉から取った。中村高志制作統括は「その言葉を実行に移そうと頑張った、誇りある日本人がいたことを視聴者に感じ取ってもらえれば」と期待を込める。

  物語は終戦直後から始まる。日本の占領政策を進めた連合国軍総司令部(GHQ)のマッカーサー元帥(デヴィッド・モース)と渡り合い、サンフランシスコ講 和条約の調印などで日本の基本路線を方向づけた吉田の奮闘や苦悩を描き出している。時代設定を占領期に絞り込んだのは「その時期こそが吉田の人生のハイラ イトであり、総理大臣として吉田が下した決断の一つ一つが現代につながっていると考えたから」(中村制作統括)だ。

 渡辺は「日本が敗戦し復興を果たした歴史を教わってはいたが、どんどんリアリティーを感じなくなってきているような気がしていた。東日本大震災で何もなくなった荒野を目にし、その感覚をドラマに生かして震災復興に役に立てたらと思った」と話していた。