ロシア南部アルタイ山脈のデニソワ洞窟で見つかり、5万~3万年前と推定された「デニソワ人」の小指の骨について、ドイツ・マックスプランク研究所などの 国際研究チームが改めて細胞核DNAを抽出し、高い精度で解読し直した。30日付の米科学誌サイエンス電子版で発表した。
 デニソワ人は、23万~3万年前にユーラシア大陸西部に分布して絶滅したネアンデルタール人に非常に近いと考えられている。小指の骨は少女の物とみられ、2008年に石器とともに発見された。若い成人の臼歯も見つかっている。
 DNAの解読成果を世界11カ所の現代人と比較すると、メラネシアのパプアニューギニア人が最も近く、10年に発表した最初の解読結果と同様だった。現 代人のホモ・サピエンスは約80万年前にデニソワ人との共通祖先から分かれた後、脳や神経系、言語機能に関係する遺伝子が変異したことが今回新たに分か り、これらの発達につながった可能性がある。