大津市の中2男子自殺で、市教育委員会が滋賀県教育委員会に今月20日に提出した報告書について、県教委が「いじめ に関する記述が不十分」として23日付で差し戻していたことが26日、分かった。報告書には、いじめに関する記述がわずか2行しかなく、県教委は「いじめ は既に確認されており、経過をより具体的に書くように指導した」という。

 児童・生徒の自殺や重大事件が発生した場合、市町村教委は都道府 県教委を通じて報告書を文部科学省に提出している。文科省は速やかな提出を求めているが、市教委は昨年10月の男子生徒の自殺後、報告書を作成せず、県教 委も催促していなかった。市教委は県教委の求めに応じ、今月20日になって提出した。

 一方、学校が、全校生徒を対象に実施したアンケートの自由記述欄の記載を、昨年10月の調査当初、市教委に提出していなかったことが判明。市教委も自由記述欄があることを知りながら、「感想だから必要ない」として提出を求めていなかったという。

 関係者によると、同欄には「全力をかけて調査してほしい」「(男子生徒が)なぜ命を失わなければならなかったのか知りたい」などと、学校側に原因究明を強く求める記載が複数あった。早い時期に提出していれば、市教委の調査に影響を与えた可能性がある。