明日のFOMC会合を前にドルはQE3への期待の高まりから全面安の展開となりました。
朝方からドルは追加緩和期待の高まりから主要通貨に対し全般に上値の重い展開でスタート。NY時間にはムーディーズが米国の格付け引き下げの可能性を示唆したことでドルが更に下落。米国議会がGDPでの債務比率を縮小させなければAaa格付けを引き下げる可能性があると発表。これを受け、明日のFOMCでは景気を押し上げるために国債の買い取りを実施するとの思惑が高まりました。このタイミングでムーディーズが格付け引き下げの話は予想外でした。ただでさえ、明日のFOMCでの追加緩和期待が高まっているときだけに市場の期待は一気に高まったとみられます。少し期待が先行し過ぎた観もありFOMC前にはその調整も入ると考えます。逆に、その調整がなければQE3が打ち出されなければドルの買い戻しが一気に入る可能性があります。FOMCの発表まではもう一日あることからドル売りの勢いはもう暫らく継続するとみます。
<ドル円>
FOMCでQE3の可能性が高いとの観測からドル円は目先のレンジの底とみられた78円15銭付近を下回り77円70銭まで下落。6月1日の安値77円60銭の手前まで売り込まれました。ただ、売りの勢いはなくダラダラとした気持ちの悪い下落が続きます。急速に円高が進めば介入の可能性が高まり買戻しの入りやすくなるのですが、このような下げ方はなかなか止まりにくくなります。
目先は77円60銭が意識されますが、怖いもの見たさでもう一段の下の77円40銭(2月14日安値)辺りを探る展開も予想されます。後は時間との戦いで、FOMC前にはショートカバーの動きが入るとみます。
<ユーロ円>
アジア市場の引けにかけドイツ連邦憲法裁判所がESMに関して予定通り12日に判断することを明らかにしたことでユーロが反発。原告側の議員がECBの無制限国債購入プランを示したことを受け判断の延期を求めていました。この結果、本日の裁判では合憲と判断れるとの市場の期待がユーロを押し上げました。今日の裁判で合憲と判断されたとしてもユーロ買いには反応しにくくなったとみます。ただ、昨日のユーロ上昇の動きはドル下落が主因でありFOMCを控えた思惑がユーロに影響を与えています。1.28ドルのレジスタンスを超えたことで1.3ドルの大台が意識されます。ユーロ円はドル円の下落と相殺され大きな上昇は期待できないものの、介入警戒感が高まれば101円台乗せもありそうです。
<オージー円>
中国の温家宝首相は中国経済の安定成長継続に自信を示したこともオージー買いに安心感を与えます。昨日はユーロが上昇に攣られる格好でオージー買いが急速に進みました。ドルの追加緩和への期待に対しRBAの追加緩和期待が後退したことから金利差からのオージードル買いもありそうです。
オージーは対ドルで100ポイント余り上昇し、ドル円の下落を上回りました。ただ、81円25銭のレジスタンスで上値を抑えられました。80円70銭付近を底固めしてきたことで今日の欧州市場でもう一段の上値を試す展開を予想します。ドイツ裁判所の判断やオランダの選挙がきっかけになるか注目。次のレジスタンスである81円40銭、或いはその上の81円75銭を試しに行く可能性が高いとみます。