市場の米国追加緩和への見方がFRB内部だけではなく市場でも相違が目立ちます。
昨日はシカゴ連銀エヴァンス総裁が「今後の経済指標を待たなくても現時点で追加緩和を行うべきだ」と発言。一方で、セントルイス連銀のブラード総裁はこのFOMCは古く、今の景気はもっと強いとするなど意見の相違は明らかです。市場も同様に意見が割れるなど方向性の捉えにくい動きとなっています。
8月1日に発表された時の状況は確かに今と大分様子が異なるものでした。7月にはスペインの銀行への資本注入や地方政府の財政破たんがスペイン財政を圧迫するとの見方から国債利回りが急上昇。欧州不安が米経済に悪影響を及ぼしかねない状況でした。また、原油価格下落などインフレ懸念も低下するなど追加緩和への条件はある程度整い始めていたといえます。ところが、結果的にこの時点でFRBは何の追加緩和も行いませんでした。その後の米国景気指標は雇用統計、小売売上、住宅関連など景気回復を示すものでした。また、追加緩和の条件としたインフレも、今回は干ばつからのトウモロコシ価格や原油価格などコモディティー価格の上昇は追加緩和の足かせとなります。来週31日にはバーナンキ議長の講演がジャクソンホールで開かれ、その発言に市場の注目は集まります。ただ、この時点ではまだ米雇用統計の発表前という事から特に注目するようなものは期待できないものの、その可能性は常にちらつかせてくるとみます。
今週に入り米国景気回復ペースが早まるとの観測が高まり始めたばかりの時であっただけに梯子を外された格好となりました。FOMCショックが収まれば買戻しの動きが入りやすくなるとみます。
本日はラジオ日経の16時05分から始まる「夕焼けマーケッツ 投資って楽しいね!」で今後の相場について詳しくお伝えいたします。お時間があれば聴いてください。岡安
<ドル円>
NY時間に米国債が買われ利回りが低下したことでドル円は一時78円35銭まで下落。FOMCショック後の最安値である78円28銭を試しに行きたかったところが届きませんでした。その後買戻しが強まり下落前のレベル78円60銭付近まで戻してきました。78円70銭付近を超えていくようであれば61.8%戻しの79円付近までの戻しも期待できそうです。下値は78円30銭付近から78円にかけてはかなり底堅いとみます。目先の売りも一巡したことから今日は上値を試す展開とみます。
<ユーロ円>
ドル円の下落とユーロドルの上昇速度がほぼ均衡してきました。短期の三角もち合いが収束してきたことから上に放れやすくなったとみます。今日はドイツのメルケル首相とギリシャのサマラス首相との会談が予定されています。ドイツがギリシャの条件に歩み寄りを見せていることからユーロ買いに反応する可能性が高そうです。レジスタンスは99円30銭(ボリンジャーバンド上限)、99円70銭(76.4%)
<オージー円>
中国のPMIが9か月ぶりの低水準となったことで豪ドル売りを誘いました。また、欧州市場ではユーロや対ドルといった売りが散見され上値の重い展開が続いています。オージー円の直接の売りはそれ程目立たないことから、下げもそろそろ終わりに近づいたとみます。81円50銭のサポートが抜けると80円付近まで特にサポートはなく一先ず損切を入れておく方がよいかもしれません。ドル円が大きくリバウンドしない限りレジスタンスは82円ミドル付近(38.2%)が精々。少し、83円ミドルのレベルまで上昇に転じるには暫く時間が必要とみます。