先週前半はスペインの財政不安が拡大しユーロやクロス円が下落。また、米国の追加緩和期待が高まりドル売りが強まりました。週後半に入りECBへの期待の高まりからユーロを中心としたクロス円も上昇。結局今回の下落が始まる前のレベルまで買い戻され往って来い。ポジション的にはショートカバーが一巡し再びニュートラルに近い状態に戻ったとみます。
今週はこの夏一番ともいえる重要なビッグイベントが相次ぎ発表されます。それも、欧米市場の多くの金融関係者が長期のサマーバケーションをとる時期でもあり、オリンピック開催中ということから市場の流動性は低下。通常、流動性が低下すれば値動きも低調になるものの今回は反対に大きな値動きになると考えられます。リスクが高まる一方、その分大きなチャンスが巡ってきそうです。
今週のポイントは欧州債務問題解決に向けた動きと米国追加緩和に関する動向の二つとなります。
<ECB理事会>
ドラギECB総裁はスペインやイタリアなどの国債利回りが危険水域のレベルに上昇したことで「ユーロを守るためにはあらゆる行動をとる」と発言。これにより今週木曜日のECB理事会で総裁が国債購入を含めた何らかの救済措置を行うとの期待が高まっています。追加利下げや国債購入、更にLTROなどへの言及があるかどうか。そのスタート時期が具体的に示されるとすればユーロの不安は一時的にせよ一掃され大幅な上昇も期待できます。市場では未だ欧州債務問題の根本的な解決にはならないとの否定的な意見も聞かれます。それだけにショートの解消が遅れ寧ろ上昇余地が大きいともいえます。
<FOMCと米雇用統計>
米金融政策の行方は先週のWSJ紙が「早ければ今回のFOMCで追加金融緩和が実施される可能性が高い」と報じたことで市場にはQE3への期待が高まります。市場では今回のFOMCでは据え置かれるとの予想が多いものの、次回の9月の会合での可能性を示唆するとの見方が多いようです。また、週末の米雇用統計では10万人の増加が見込まれるものの、少しでも予想を下回れば円高が強まるとの見方が増えています。どちらにしても、ドル売り円高のリスクが高まるとの予想が多く聞かれます。
新聞報道でも欧州問題も円高も全般に悲観的な見方が多く見られますが、市場は常にそのような見方が広がるとその先を行くものです。
米国や欧州の景気刺激策に動き始めるということは結果的にリスク回避の後退に繋がるもので、オージーなどのリスク通貨が特に注目したいと思います。
ドル円の予想レンジ:79円20銭~78円00銭