「ノボトニー総裁発言を機に」 | 岡安のFXブログ レグザム・フォレックス

岡安のFXブログ レグザム・フォレックス

-~ 岡安式相場の読み方 ~




前日のドイツ格付け引き下げによりアジア市場は全般に悲観的なムードが漂い、ユーロを中心としたクロス円全般に安値圏でのもみ合いで終始。
しかし、欧州市場が始まるとすぐにオーストリア中銀のノボトニー総裁が恒久的基金のEMSに銀行免許を与える議論があると発言。市場はこの発言を機にユーロだけではなくクロス円などが上昇。前日に売り込まれていたことからこの発言はサプライズとなりショートカバーを巻き込んでの動きとなりました。もし、ESMに銀行免許を与えることになればECBのオペを利用して資金が借りられるため、実質的に資金調達の上限がなくなることになります。これまでECBはこの案に否定的であっただけにどこまで可能性があるのかは疑問が残ります。ただ、市場がこれだけ反応するというのはそれだけショートに偏り過ぎたとも言えます。
ギリシャのユーロ圏離脱懸念の再燃やスペイン政府が救済パッケージを要請するのではといった話もこのESMと同様にすべて観測記事の域を脱しません。それだけ欧州問題は複雑化して先行きが見えないとも言えます。
来週のFOMCでもここにきて追加緩和期待が高まります。欧州の市場参加者はこれから夏休みが本番。そろそろポジションの巻き戻しが入りやすいところで、今回のノボトニー発言に反応したと言えます。根本的には欧州問題は何も変わらないものの、悲観的な見方に偏り過ぎたことから依然として巻き戻しが入りやすい状況とみています。
今日から二日間にわたりイタリア国債の入札が実施され、結果次第で巻き戻しが更に強まる可能性もあります。また、新規失業保険申請件数など米経済指標も全般にショートの巻き戻しに繋がるか注目されます。来週のFOMCを控えポジションは縮小傾向に向かうとみます。

<ドル円>
6営業日連続で陰線が続き、78円を目の前にもみ合いが続きます。クロス円の買い戻しが入ってもほとんど上昇できないというのは上値がいかに重いかを表すものです。介入警戒感だけが支えているといった状況です。ただ、少し78円付近で時間をかけ過ぎているのが気になります。ショートが少し余り始めており一旦は買い戻しが入らないと下げきれなくなってきたように見えます。このまま下げたとしても77円90銭付近の強いサポートを超えるのは難しいとみます。78円60銭付近までの戻しの可能性の方が高そうです。

<ユーロ円>
6営業日ぶりの陽線となりました。94円を目の前に一旦は巻き戻しが強まったものの、前日の高値95円20銭付近で上昇が抑えられています。このレベルを超えられないと短期のダブルトップを形成し再び売り圧力が強まりそうです。今日の上値抵抗線は95円50銭(先週のNY終わりであり50%戻し)、96円20銭(76.4%戻し)。


<オージー円>
ユーロ円以上にオージー円は上昇。前日の下落を一気に解消してしまいました。ただ、80円75銭付近の前回の上値を越せなかったことで一先ず第一弾の上昇は終了。次の上昇に行くにはここからもみ合いか或いは80円付近までの調整売りが出ないと難しそうです。次の上値のめどは61.8%戻しの81円付近とみます。