先週はこれまで難航が続いたギリシャ政府と連立与党との財政緊縮策が閣議で合意に至ったことでギリシャ危機も一歩前進が見られました。
しかし、その合意に対しドイツはユーロ議会では内容が不十分としユーロ圏財務相会合ではギリシャへの追加支援を見送りました。
追加緊縮策の中で最も抵抗の強かった年金削減問題を他の歳出削減で代替した事や、議会でその法案成立と実効性を促す意図がこの見送りの理由と考えられます。
実際、先週末には42時間ゼネストや、連立与党の一角でもあるLAOSのカラザフェリス党首が緊縮策不支持を表明するなど難しい状況が続きます。
今週の15日にユーロ圏財務相会合が再開され、ギリシャ支援の是非が問われるというギリシャにとってはデフォルトに陥るかどうかの瀬戸際に立たされたと言っても過言ではないでしょう。
そんな状況下でもユーロは大きな崩れを見せず相対的にみても高いレベルを維持しています。
市場はギリシャが既にデフォルト状態と変わらないとの見方も多く、万が一秩序だったデフォルトを避けられない状況に陥ったとしてもユーロの崩壊にまでは繋がらないと考えているようにも見えます。
週末にS&Pがイタリアの34金融機関の格付けを引き下げた事で週明けの為替市場ではユーロ売りが先行するとの見方があります。
一方で、15日のユーロ圏財務相会合でギリシャ支援への合意が見られればギリシャ債務減免交渉も決着の糸口となる事からユーロは大きく上昇する可能性の方が高いとみます。
従って、ユーロ売りには限界があると考えられ一方向に売り込むのはリスクを伴いそうです。
一方、ドル円は先週から底堅さが目立ちます。週初に発表された日本の2011年経常黒字が大幅に減少し貿易収支が48年ぶりに赤字に転落した事を受け円売りが強まりました。
また、昨年10月の大規模介入後には覆面介入を断続的に実施していた事が明らかになった事もドル円の底を支えました。
ただ、ECBドラギ総裁は日本の単独介入に対し批判的な発言。
また、議会で安住債務相が前回の介入時に78円20銭で介入を止めた事を明らかにした事などからドル円の上値にも限りがありそうです。
ただし、ギリシャ支援への合意が決定すればドル円は介入とは関係なく上昇すると考えられます。
いずれにしても、今週は財務相会合によるギリシャ支援と民間債権者との債務減免交渉の行方が相場の中心となりそうです。
ドル円の予想レンジ:78円30銭~76円50銭