約2年半ぶりにECBは利上げに転じました。
リーマンショック直後の2008年10月にECBは政策金利を4.25%から3.75%に引き下げてから今回まで緩和策を継続させたECBがここにきて利上げに転じた事はそれなりに意義がある事であったと思います。
これまで豪州やカナダなどは既に利上げを実施しましたが、ECBやBOEなどが利上げに踏み切るという事はそれらと少し異なり、これまでの大きな流れの変わるサインとも受け止める事も出来そうです。
ただし、今回の利上げは原油や食品価格などの上昇が背景にある事から、本格的な景気回復というわけではないところが気になるところではあります。
ただ、ECBに続いて5月にはBOEの利上げ期待が高まります。
そして、複数の地区連銀総裁のコメントから6月にはフェッドが量的緩和を終了させるとの観測が高まるなか、そのさきがけとしてのECBの政策転換は大きな意義があると考えてよさそうです。
トリシェ総裁の記者会見では今回の利上げは引き締め政策に転換した訳ではないとするものの必要ならいつでも行動を取ると発言するなど、今後も利上げの可能性に含みを持たせる内容でした。
ここで注目したい事は、この利上げ前後でもユーロが小幅な下落に止まったという事です。
対ドルでは100ポイント、対円でも200ポイントの戻しもなかった事でユーロの底堅さが寧ろ認識されたようにも思います。
対ドルでは今月のFOMCの声明文で文言が修正される可能性がある事から、それまではこの流れは継続するとみてよさそうです。
対円でもレベル的にみるとまだ上昇余地が大きく、ユーロを下支えするものとみます。
NY時間に発生した宮城県沖の地震によりリスク回避の動きが強まりNYダウやクロス円の売りに繋がりました。
これは、どちらかといえばこれまでの急速な上昇に対する調整のきっかけを誘ったようなもので、深刻な売りではないと考えます。
そうであれば、適度なガス抜きを行った事でヘルシーな調整とみる事が出来そうです。