昨日のニュースで気になるポイントが三つありました。
一つはビニスマギECB理事の発言の中で「日本の支援と金融政策は別々のもので、一方は国際システムの安定と関連し、もう一方はユーロ圏の状況に連動するものである」と言明。
当然の発言ではありますが、今回の協調介入の脆弱さを現わすものともいえるのかもしれません。
87年に行ったルーブル合意での協調介入ではドルを防衛するために米国が利上げを行い、他の国は据え置きスタンスを取ったものの、その後ドイツがインフレ懸念から利上げに踏み切りました。
市場はこの動きを協調体制の乱れと捉えてドル売りが強まりました。
今回は既に協調介入前からECBやBOEの利上げ観測があっただけに協調介入の乱れと受け止める事はないものの、金融政策を伴わない点からみると協調の弱さも歪めません。
ただ、ユーロ円の買いが強まるとの観点からすれば円売り介入と同様の効果はあります。
また、米国のQE2が6月末で終了するとの思惑もありドル買いに拍車がかかれば今回の各国金融政策が円売りを阻むとの見方は少ないとみる事ができそうです。
二つ目のポイントはエヴァンス・シカゴ連銀総裁の発言です。
前日に総裁は「これ以上の緩和策の必要性は薄まっており、6月以降の国債買い取りは必要ないかもしれない」としているものの、昨日は「金融スタンスの変更が必要な所まではきていない」とし、失業率は目標に比べ居心地の悪い水準が長期にわたって続くと見られ、緩和的な金融政策は引き続き正当化される」としました。
この発言から考えられる事は6月にQE2は終わるものの、その後も緩和策を継続すると受け止められ、少なくともQE3の可能性は低いという事になります。
他の連銀総裁も同様な発言が増えている事から米国長期金利の上昇が今後上昇すれば金利差からのドル円の買いも強まると考えられます。
三つ目のポイントは日本の福島原発で新たにプルトニウムが検出された事です。
これまでのリスク回避の円買いという図式がそろそろ通じなくなってきた可能性があります。
今のところリスクの高まりが円売りに繋がるまでの反応は市場では見られませんが、今後更に警戒が強まるようであれば円売りの動きが強まる事は十分考えられます。
誰かが一度動き始めると雪崩的な円売りも考えられます。
逆にいえば、これだけ円売りの材料が出ているにも拘らず円が未だにこのレベルに止まっているという事が不思議でもあります。
今後復興にあたって海外から多くの資材を購入する際に、この円高は大きなメリットになると思われます。
そこまでこの円高レベルが保たれるのかは分かりませんが、絶好の円売りチャンスという考え方もあるのかもしれません。
まず今は考えられない事ですが、最後には円買いの協調介入を行わなうといった状況も全くないとは言えないかもしれません。
とは言え、今のところ円高への観測も多く聞かれるだけに今週の米雇用統計の結果に注目したいと思います。