昨日のNY時間に発表された8月フィラデルフィア連銀指数が予想の7.2%に対しマイナス7.7%と発表されました。
ゼロが景気の拡大と縮小の境目とされることから市場へ大きな影響を与えました。
NYダウは一時200ドル近くの下落となり、それがリスク回避の動きを強めクロス円全般に売りが目立ちました。
ドル円も一時85円を割り込む場面もありましたが、売りは続かず結局84円90銭付近でのもみ合いから押し戻されました。
84円台を攻めきれなかったという印象が残ります。
米国の悪材料が発表された事でその時はドル売りが強まったものの、結局ユーロやポンドに対してはドルが寧ろ上昇して昨日は終わりました。
ドル円だけが主要通貨の中でドルが弱く終わり、円買いへの思惑が依然として強い事を現わしていると言えます。
欧州や米国など自国の経済指標が悪化すると自国通貨が安くなるというメリットがあるものの、同時に昨日のNYダウのように株価の下落を誘引する両刃の剣でもあります。
5月初旬にはギリシャ危機がユーロ圏全体に広がるとユーロは全面安になりました。
その後、ストレステストなどを経てユーロは対ドルでは殆ど危機拡大前のレベルに戻りました。
欧州危機が後退したのとほぼ同時期に米国の景気回復ペースの鈍化が取り沙汰され事で、今度はドルが全面的に売られ始めました。
ユーロ安によりドイツなど輸出比率の高い国にとっては大きな経済効果をもたらしました。
しかし、米国に於いては今回のドル安による効果はそれ程大きなものとはなりにくいと考えられます。
それは、中国人民元の切り上げのスピードが遅々として進まないためです。
米国は欧州や日本に対してのドル安の動気に対して本当にそれ程深刻に望んでいるのでしょうか。
ユーロに対しては昨年後半のレベルが1.5ドル付近で推移していました。
それがギリシャ危機の拡大で1.18ドル付近まで下落。
その間のドル高に対して殆ど不満が聞かれませんでした。
ドル円に関しても、昨年11月には85円付近にあったドル円が4月には95円付近まで上昇した時にも何も為替に関しての言及はありませんでした。
バーナンキ議長が米国経済に対して異常なほど不透明であるとの発言は為替を意識したものではないと考えられます。
日本サイドからは、欧州や米国は自国の通貨安を暗に誘引しているような言い方が多く聞かれます。
確かに、その傾向はあるものの日本が考えるほど意識はしていないのかもしれません。
日本が必要以上に円高に対して怯える態度が目立つ程、欧米からは更に円高を煽っているようにも見えます。
怖がる子程いじめられやすいと言うのに似ているかもしれません。