昨日は日本サイドから円高への懸念が相次ぎ、その効果からかドル円の買い戻しが目立つ1日となりました。
果たしてこのような円高阻止の方法とその効果がどれ程あるのかを考えてみたいと思います。
前日には日銀の白川総裁が当面は為替動向が日本経済に影響を与えるかを見守る姿勢を示しました。
金融政策に関しても特に追加緩和措置なども見られませんでした。
現実問題として、日銀には新型オペを再び拡大する程度以外これといった政策手段は限られるため他に選択はなかったのでしょう。
従って、今後も日銀の円高阻止をする力は殆ど期待できません。
昨日の日銀レートチェックは効果がありました。
ただし、これはあくまで介入を行う可能性を示すフェイントであり、何度もできるものではありません。
更に、介入は日銀ではなく財務省の専権事項であるため、日銀を通しての財務省の指示ということになります。
昨日の管首相の「ちょっと動きが急過ぎる」とした発言は注目されました。
財務相就任当時に90円半ばが適切であると発言したことがイメージにあり、瞬間的に反応したのかと思われます。
ただ、昨日の発言をみると欧米の動きを気にしているのか、或いは不用意な発言でまた足を掬われるのではといった思いもあったのか強い姿勢を感じられませんでした。
その後野田財務相が重大な関心を持って見守ると発言。
こちらも、具体的なものは聞かれませんでした。
市場は今のところそれらの発言内容というよりも、日本の要人からの円高懸念を示すメッセージが増えてきたことに注目。
一先ず15年ぶりに84円72銭を付けた事でショートカバーを入れるタイミングとみたのではないでしょうか。
口先介入というのは何度も行うと効力は落ち、寧ろ市場は実弾を使った介入を催促し始めるものです。
しかし、市場は日本がこの状況下では介入をまず行う事はないと観ています。
介入には単独介入と強調介入があります。
ギリシャ問題から発した欧州の経済状況は今後も財政再建の過程でユーロ安が大きな追い風となります。
米国も景気回復基調を保つためにもドル安により輸出を増やしたいという意図が見え隠れします。
円売り介入をするには必ず相手国の通貨であるドルやユーロを買う事になます。
そうなれば相手国は自国のドルやユーロを売ることになります。
勝手に他国の通貨を他の通貨をいじるというのは相手の土地に侵略するのと同じ感覚で捉えられます。
昔、日本がマルク円で介入をしたことで当時の独中銀ブンデスバンクから怒りを買った事がありました。
このように、介入は相手の許可を取ってから行わないと大変なことになりかねません。
ただし、中銀でも資本取引や実需に伴う円売りは頻繁に行います。
今の状況では円売りの額ではなく、日銀が市場でドル円を買っているという話が流れるだけで可也効果は上がるとみます。
或いは、ドル円が一気に2-3円下落するのであれば市場の安定を目的としたスムージングオペということで介入は可能です。
いずれにしても、投機的な円買いであれば時間がかかるもののいずれは円安方向に向かうものです。
介入は流れを変えるものではなく、行くべきところに方向を戻してやるもの。そこに行くまでの時間を短縮させるのであれば効果があると考えます。