先週金曜のNY午後に発表された欧州ストレステストの結果を好感しNYダウは上昇。
結果は91行中不合格が7行と非常に少なかった事で素直な反応だったと思います。
しかし、市場はその内容に対して審査が甘いという見方が圧倒的に多く聞かれます。
当局サイドからは自信をもって発表してきたという姿勢を打ち出しています。
特に、今回のポイントであるギリシャのデフォルトに関しては全く想定していないということを前提に試算。この点に対して市場は甘さを指摘しています。
ギリシャがデフォルトすることを前提にするという事は、これまで示した緊急融資枠7500億ユーロの設定などでEUが絶対的に保護していく姿勢を否定することになります。
デフォルトの可能性を示せば市場の不安感は再び拡大することで、再び負のスパイラルに落ち込み不良債権が拡大。
ギリシャのデフォルトが現実味を帯びることにも成りかねません。
そんなリスクを敢えてするはずもなく、今回の結果はそれなりに評価出来るものではないでしょうか。
少なくとも、これまで不透明であった欧州金融機関の資産状況が開示された事で、国債の保有状況がはっきりしました。これにより、今後のギリシャ国債の損失などが直ちに試算されることになったのは大きな先進と捉えられます。
日本のいくつかのメディア報道をみると悲観的な見方を示すものが多く、本日の欧州市場に対してもリスクが高まると見るところが多いようです。
勿論、ユーロに関してはここからどんどん買っていく程の材料ではない事は確かでしょう。
ただ、4月後半から始まった欧州危機はこれで第1幕は終わり幕間に入るとみます。
第二幕は財政再建の動向を見守ることになるため、市場の注目はNY市場に移ると考えてよさそうです。
先週前半に1万ドル割れ寸前まで売られたNYダウは引け値が1万424ドルとしっかりした足取りで終了。
バーナンキ議長の悲観的な発言もこなした格好となりました。
雇用や住宅関連は予想を下回るものが多く見られるものの、欧州のリスク後退で明るい兆しが見られる指標が見られれば、市場は反応しやすい状況に変わり始めるとみます。