最近欧州サイドからのユーロに関する発言が目立ちます。
先週フランス中銀のノワイエ総裁は「現在のユーロドルのレートは10年間の平均レート(0.8225から1.6035)の平均水準で格別低いというわけではない。」と現在のレートを容認。
フランスのフィヨン首相は「ユーロの下落は懸念しない。一般的に良いニュースではないか」と発言。
一般的にという言葉をパリティー(1.0)と訳し間違いをしてユーロ売りが強まる場面も見られました。
そして今週に入るとベルギーのレインデルス財務相は「ユーロドルの1.2ドル付近はユーロ経済に沿った水準。
急激な下落が原因」とし、ユンカー・ユーログループ議長も「懸念されるのは現在のユーロのレベルではなく急激な下落だ」などと発言。
すべてユーロ安容認と取れる発言です。
ただ、ベルギー財務相やフランス中銀総裁の発言からは1.2ドル付近が適切という捉え方もできます。
急落は良くないが緩やかな下落は容認という考えからみると更なる下落を望むと捉える事が出来ます。
更に、G20では一切ユーロ安を懸念するメッセージが発表されませんでした。
一方で、これまでの急激な下落は株式などの下落を引き起こす要因となり1,2ドル付近では一旦様子を見たらどうだといった考えがあるのかもしれません。
NYダウは今週に入り二日連続で下落。これまでは1万ドルを割り込んでもその次の日には押し戻されていましたが、今回は下落が止まらない懸念が高まります。
これまで米国からは一切ユーロ下落に関する懸念発言が見られませんでした。
しかしこれ以上ユーロの下落が株価の下落を引き起こすようであれば、今後は米国サイドから懸念する可能性が高まるとみます。
オバマ大統領は経済再生を最優先と考えるとすればドル高は輸出競争力を損なうものです。
また、ドル高が株価を押し下げる要因とひとつとすればユーロ安を容認するにも限界はあります。
ハンガリーの問題は4月の新政権誕生から前政権への暴露ということから出た財政赤字問題と考えられます。
暴露したのは良いとしてもここまで影響が拡大するとは思わなかったのか、発表以降は必死に火消しに必死です。
実際問題としてギリシャ問題がなくてもいずれこの財政赤字の問題は出てきたと思われます。
これをギリシャ財政危機の伝染と考えるのは少し無理がありそうです。
ただ、それでも短期的にユーロ売りが加速したことも確かです。それだけユーロへの懸念は深いということになります。しかし、ユーロは既にその懸念を織り込みながら下落してきており、そのスピードは急激な下げといってもよい程です。
第1幕の終わりが近づいているのかもしれません。
今日もNYダウの下落が継続するようであれば注意する必要がありそうです。