今回のドル円の下落を一度整理してみます。まず24日に公表されたFOMC議事録により超低金利政策の長期化とドル安容認ともとれる内容によりドル売りが強まりました。
ユーロドルは一時1.5ドル台に上昇、特に大きく反応したドル円は今年の安値87円を割り込み86円まで下落。その後NYが感謝祭で休場という参加者が少ない時にドバイショックが市場に広がりドル売りを加速。ユーロドルは1.51ミドルまで上昇しドル円は85円を割り込み84円80銭付近まで95年以来の円高へと進みました。
要するに、今回の円高は米国のドル安容認と低金利政策の長期化という観測から始まり、感謝祭の狭間でドバイの資金繰り悪化問題によりリスク回避の動きからのクロス円やドル円の損切りを巻き込んだということです。問題は今後もドル円の下落が続くのかということです。
目先は薄商いでの下落に対する調整の買い戻しが主流になると考えられます。しかし、調整後に再びドル円が下落するという見方が非常に多く聞かれるのはなぜでしょうか。
それはドルの超低金利政策の長期化という事が大きな要因ではありますが、それ以外に過去のドル円の歴史がそうさせているのではないでしょうか。
過去に何度かドル安の際に日銀が介入して失敗したことで、今回も止める手立てがないのではということからドル円に対し弱気の意見が多いのかも知れません。
最後に介入を行ったのは2004年2月になり、この時の介入額は過去最高となりました。しかし、その後一時的にドル円は回復しましたが、結局その後ドル安に向かいましたが介入は行いませんでした。
結果的に日本からの円キャリーが介入に代わってドルを支えることになるなど、介入がない時の方がドル上昇につながる皮肉な状況となりました。
今後のドル相場を見る上でドバイショックを考え過ぎると見誤るかも知れず、この問題は一時的なものとして考えておいた方がよいかもしれません。
注目すべきはやはり米国の今後の景気回復の動向であり、特に今週の雇用統計などで再び流れが変わるかも知れません。
方向を決めるにはもう少し様子を見た方が良いかもしれません。