いきなり銃口を向けてくるとは、やけに気が早い。
「これから私達の場所に案内します。少し強引な手を使いますが
どうかご容赦の程を。」
電話口から聞こえてきたワイスとは少しイメージが違うように健二には
感じられた。眼が合うとワイスは微笑みかけて言葉を発した。
「もちろん健二君もね」
「あの、美紀さんの母親には会えますか?」
「‥うん、会えるよ。」
変な気は起こさないようにとの忠告をして、ワイスは銃を閉まった。
地下の駐車場まで来ると、派手な赤いスポーツカーのお出ましだ。
車に乗る中で健二はワイスに問いかけた。
「どうして、この場所が分かったのですか?私達が来ると決めたのは
ついさっきですよ?」
「確かに気にはなると思うが、それには答えられないな。だがここに来るという
予想はだいたい出来ていた。だから私がここにいるのだからな。」
「よく分かりません。そもそもあなたは一体何なのですか?急に私達に銃口を
向けてきたりして。そこまでする必要があるんですかね?」
「よくしゃべる奴だな。まぁいい。それよりもお前は、美紀の母親と話す事があるんだろう?」
「はい、どうしても事の真相を掴みたくて‥。あの人はどのように映ってますか?」
「俺から見るとか?
‥アイツは‥な。
しょうがないんだ。こうするしかなかったんだから。」
「僕が考えるに、美紀さんの母親は、決して子を見放すような人ではないと思うのですが‥」
「なぜ、そう思える?」
「あの人は美紀さんを最終的には見放すような言動を取ってしまったみたいですけど、
どうも何か心の中に深い闇が隠れているような気がするんです。」
「それはそうだろう。後ろにいる奴にも原因はありそうだけどな。
‥俺らが今から着く所に行けば全ての真相が明らかになる。
‥がその前に少し伝えておきたい事がある。」
「何でしょうか?」
「君達、二人には、私達のグループが悪という集団に見える筈だ。いや、そう見えなければおかしいな。
だがな、全ての人が悪に染まっているとは限らないという事を肝に銘じておいてもらいたい。
私は少なからず、銃に手を染めた人間だから、汚れた人間だ。しかしな、
フィリ‥いや美紀の母親の事を悪と決めつけるのはやめてくれないか?
アイツは‥美紀を救う為に生きてきた。
美紀が発病したのは子供の頃の話だ。拓海君という子と同じ病だ。その事を医師から
伝えられたのは、元夫と別れた後だと言っていた。アンタのことな。
そして彼女は一人で救う事が出来るかを考えに考えていた。仕事も遅くまで働き通し。
美紀を救う為にお金を貯めるとばかり言っていたんだ。そこで一つの大きな話が
持ってこられた。」
「ちょっと待ってくれ。という事は私の息子はどうなっていたんだ?
美紀も病を患っていたんだったら、助けるところの話ではないじゃないか!」
「君は何もわかっていないな。自分勝手も甚だしい‥。少し黙っていてくれ」
「‥その大きな話というのは何ですか?」
「‥骨髄移植‥だったんだ」