美紀の父親は、美紀が五歳の時に家を去っていった。
理由は、浮気相手との間に子供が出来たから。
その二人の間に出来た子供は、美紀の義理の弟という事になる。
その弟という存在が今、ある病に侵されているという事らしい。
その子は、今は元気に活動しているが、しばらく経つと、
次第に衰弱していき、最終的には、死に至るという事だった。
気の毒には思うが、それをわざわざ伝えに来た意味が、
美紀にはわからなかった。
そもそも、私達を見捨てた人間が今助けを被るというのは、
都合が良すぎるのではないか?
お母さんもお母さんだ。何アイツの言いなりになってるんだよ‥。
意味がわからない。
「美紀‥、その子を救うにはあなたが必要なの」
「何で‥私?‥意味がわからないんですけど」
「美紀、大人になって。あなたにもきっと分かるわ」
その言葉はとても美紀を苛立たせる。大人という言葉を使う事によって
解決できるとでも思っているのだろうか。
「何わけのわからない事言ってるのよ!」
「あなたの血液でないと、その子は助からないの‥!」
「は‥?」
その時、美紀のポケットからクローバーピアスが何かを訴えるかのように
地面に落ちた。
「そういえば、お母さんこれ‥どうして落としたの?宝物だったんでしょう?」
「美紀‥それはね‥もうお母さんの物ではないのよ」
「え‥?」
「俺の息子が持っていたんだ。お前のお母さんが、俺の息子に譲った。」