新しい年をむかえたある日のこと。
わたしは内定した会社の準備で研修をしていた。
その研修に慣れだし、同期の♀と仲良くなり食堂でランチを取っているときでした。
そのときわたしが好きだったラルクの着メロが食堂中にひびきわたり、
まわりが一斉にわたしのほうを見た。
恥ずかしくなったわたしはケータイを持ってその場から急いでダッシュ。
見慣れない電話番号・・・
オレオレ詐欺とかかな。。。
でもなんとなく出てみた。
すると聞き覚えのないオバサンの声。
「あなたがりんごさん?」
はい、そうですけど・・・とわたし。
「実はね・・・あの子がね・・・」
え・・・ウソでしょ?
わたしは自分を取り乱して、受話器の向こうのオバサンに叫んでいた。
一方的に出ていったカレシが死んだ。
ううん・・・自殺した。。。
ある場所で発見されたカレ・・・
遺留品のケータイのなかに、わたしとのメールのやりとりが残っていたことから、
電話をかけてきたオバサンが私に連絡をとってくれた。
そう、そのオバサンはカレのお母さん。。。
お通夜とかも終わっているとかで、落ち着いたお母さんが電話してくれたんだって。
「あなたに見てほしいものがあるの・・・」
お母さんはわたしを家に呼んでくれた。
カレの実家に初めて行った。
わりと大きな家。
お父さんは仕事に出ていたから、お母さんひとりだけだった。
カレはひとりっこ。
いっぱいいっぱいご両親に愛をそそがれていたみたいで、
カレのお部屋には大好きなギターやCD、アンプとかいっぱいあった。
そして、お母さんからボロボロの封筒を手渡された。
「りんごへ
素直になれなくてゴメンな。。。
おまえのこと苦しませることなんてしたくなかった。
チケットノルマだって、オレぜんぜん平気だった。
でもおまえはオレを応援してくれた。
だまってイヤなことしてたのだって知ってたよ。
おまえがいないときにカバンの中見ちゃったんだよ・・・
それもゴメン。
でも、それまで気づかなかったオレがバカだったよな。
オレ結局、おまえにちゃんと「ありがとう」言えてなかった。
なんでもおまえがやってくれたから、甘えていただけなんだけど。。。
そんな自分がいやになったから、
オレはおまえの前から姿を消した。
もっとおまえに見合うオトコになるために・・・
でも好きな音楽だけじゃダメだったみたいだ。
もう絶望だ・・・
最後に、
りんご、おまえに出会えてオレは本当にしあわせだったぜ。
ありがとう・・・」
こんなにもカレが悩んでいたなんて・・・
わたしはお母さんの前でワンワン泣いた。
お母さんもワンワン泣いていた。
ふたりで抱き合って泣いた。。。
「あの子、あなたと一緒にいて幸せだったのよね。今日よくわかったわ」
お母さんは笑顔でわたしを見送ってくれた。
どうしようもない絶望をかかえたわたしは、内定先の会社を辞退した。
このままの気持ちで社会人になっても、ぜったいにカレのことを思い出しちゃうと思ったから。。。
実家にもカレのこと、AVのこと、内定辞退のこと、
み~んな正直に話した。
あまりに突然のことに親はおどろいていたけど、
わたしの泣き顔を見たら、わかったからと迎えいれてくれた。
春になり、わたしは大学を卒業した。
行く先は何も決まってない。。。