鬼~トッケビ~
3話ー①「悪人成敗」
生死をさまよう瞬間が来たら一心に祈りなさい。
そうすればどこかの神に 届くかもしれないーーー
ウンタクは一心に祈っていた。
もう、ウンタクには祈ることしか残されていなかったから。
なんとか火を消そうとするも…
すぐに気づかれてしまう。
本当にウンタクが万事休すのその時。
ウンタクの首筋の字。
『鬼の花嫁』のしるしだというその字が
段々と色が濃くなり…

突然、光を放った。

そして。
闇の中で車は止まり…
目の前には

「あれは?」


車の前に現れた2つのシルエット…。



鬼と死神のシルエットだった

心の中でウンタクは安堵した。
火を消さなくても、強く願えば届くと信じていた。
鬼の形相で近づいてい来る男たちに
さすがの借金取りも恐れをなしたのか…

「そのまま、車を進めろ!」と命令。
ところが…その時、何かが貫かれた。





次の瞬間。

車が真っ二つになっていた…。
「こ、怖いよ~。ママぁ~」


シンの手には青白く光る剣が。
シンが鬼の剣で車を真っ二つにしたのだった…。
恐る恐る顔を上げると



死神が…いた。
死神を見ると自分を迎えに来たと
思い込んでいるウンタクはこのタイミングで
現れた死神にすこし怯えたが
それでも知った顔を見て安心したようだった。

「降りろ」
そう言ってドアを開けてくれたシン。
降りようにも腰が立たなくて降りられない。

シンに抱きかかえられるようにして
やっと、車から降りることが出来たウンタク。

「怪我したのか?どこだ?」
まるで恋人の再会でも見ているかのような
甘い場面に死神は見れいられないとばかりにあきれ顔。
「怪我したのか?なんて…ヒック、よ、よく
言えるわねヒック。車を切ったくせに」
泣きながら話すウンタクに
「ちょっと待っていろ。」
と言って、悪党の方へと行くシン。

「どうするの?もしかして、殺すつもりじゃないでしょ?」

「いいや。」
「うそばっかり。人助けするのに死神と一緒に来るわけない。」
「そう考えるのが自然だな。」
と、うそぶく死神。
「心配するな。殺しはしない。死ぬほど脅すだけだ。」
「助けてください!!すみませんでした!」
必死に謝る悪党どもだが…
「この道を2日間。地図から消す。
つまり、助けが来ることはないのだ。2日後、警察に
発券されるからそこで罪を償え。
私に罪を償わなくてはならなかった事を
感謝するがよい。
神は弱者の中に存在するのだ。
あの者に礼を礼を言うがよい。」

死神が大破した車の上に乗ると
「この事故の原因はお前たちのケンカだ。
そして、原因も覚えていない。」
「あ。仲直りは一生できない。」
そう言って、不敵に笑った。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「車…で。来なかったの?」
夜道をテクテク歩く3人。
「あぁ、車。あまり乗らないんだ」
ドア1つで自由自在に行き来できるシンには
確かに無用のものだ。

なんとなく、助けられたのにウンタクは不満げだ。
「もしかして。念のために聞きたいんだけど。
私、死んだの?この道はあの世への道?
これから殺されるの?」

死神と一緒に来たからか。そう思い込んでいるウンタク。
ウンタクの言い草にあきれる死神。
(助けてやったのに、助けてくれてありがとうもないのか?)

(我慢しろ、相手は怒れる女子高生なんだ)
テレパシーで会話する2人。

「助けて。って言ってるのに死神と来るのはおかしいでしょ?」
(いつになったら、感謝の言葉を…)
死神が言いかけて…。
「黙れ!!」
シンが口に出して怒鳴ってしまった。

「あ。いや」
焦ってももう遅い。ウンタクは怒ってスタスタ先に行ってしまった。
とりのこされた2人。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ラポッキがただ沈黙する2人の間に置かれている。

「外国にいくはずじゃ?」
「行くよ。」
「そ。別に興味ないけどね。」
「知ってる。」
「さっきはなんで現れたの?」
「助けを求める君の声が聞こえた。」
「心で思っただけなのに。」
「心の声が大きいんだ。」
「無視できたでしょ?」
「無視する理由がなかった。」

「花嫁でもないのに、来させて悪かったわね。
…幽霊たちに聞いたの。私の人生は本当におまけだったのね。
19年前に母と私を助けてくれたとか。
だから生まれたことに感謝する。
母と会えたから。おじさんを恨まない。」
「嘘だろ。」

「本当よ。とにかく、もうおじさんに助けを求めたり
呼び出したりしないから。
安心して遠くに旅立って頂戴。
良い人と出会って。おじさんが求める物が
見える人とね。」
なぜかものすごく怒っているウンタク。

なぜかその表情を見て嬉しそうなシンだった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「ウンタクは早くに親を亡くして意地悪な叔母に
育てられた。まるでシンデレラさ。
近所でも有名な話らしい。
ウンタクには1億5000万の保険金があって
それを奪おうと叔母がいじめてるらしい。」
「何?」
「お前が役立つとはな。」
「金を使えば身辺調査位、簡単だよ。」
得意満面なドクファ。
シンがウンタクの叔母たちを調べるということは
どういうことなのか…?
「ところで、おじさん。調べてどうするの?」
「…罰を下す。」
そう言ったテーブルの上には
金塊が並んでいた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「借金取りはウンタクを捕まえたのかね?」
借金取りに保険金を横取りされる心配をしている横で
テレビを見て大笑いしているいとこ達。
引き出しには、あの金塊が…。
腰を抜かして驚く叔母家族たち。
良くの皮が突っ張った奴らの考えることは…同じ。
目を離したすきに
誰かに持っていかれるんじゃないかと言う事。
たとえ、親や兄弟であっても。
とある喫茶店。
今日もシンはドクファと一緒にいた。
『罰を下す』そう言ったシンの前に
あの叔母たちが。娘が金塊を持ち出して
いなくなったので血眼になって探しているのだ。
「何を見てるの?」
「テレビ。」
テレビには10代の若いアイドルが出て
賑やかに歌い、踊っていた。
「あの年頃だった。
私が仕えていた王は17歳だった。」
「穏やかな昼下がりに私は誰かを
恨んでいた…。
それは王なのか、神なのか。
自分だったか…。思い出せない。」
あきれるというか、複雑な表情を浮かべて
「気の毒な人には優しくしないと…。」
そう思うドクファだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
しきりに昔を思い出すのか家に帰ってきても
テレビを見ては
「私を殺した憎き王の生まれ変わりは
誰だろう?」
「前世は内侍だったって。」
「…恨んでも不幸になるだけだから忘れろ。」
「お前は幸せか?」
「触らないと分からないからな。」
「ねぇ、何が?触って何が分かるって?」
「触らないと分からないとは、役立たずだな。」
「男に生まれ変わるとは限らないぞ。」
「彼女かも?」
テレビにはI.o.Iのメンバーが映っている。
「触らないとわかんないって。」
「一体何の話???」
何も知らないドクファは動揺している。
「彼女だったら許せそうだ。」
そう言って、振りを踊るシン。
…実はそんなに過去にこだわっていないのかもしれない。