少子化問題の原因と対策
少子化問題に対しては様々な政策的対策が検討されているが、この問題が日本に固有の現象ではなく、多くの先進国に共通して見られる現象であることを顧慮すれば、その要因を単なる社会制度や経済条件といった構造的問題に還元するだけでは不十分であり、より深い次元にある精神構造の問題として捉えることが妥当である。
先進国の若者の価値意識を分析すると、即時的快楽、個人最適、無リスク志向が「幸福」として強調される傾向が見られ、その結果、結婚や出産は自由を制約し、負担を増大させる選択として認識されやすくなっていることが分かる。これは突き詰めれば、人間にとって幸福とは何かという問いを中心とする価値観の問題に他ならない。
他方で、この問題への対応に政府も苦慮しているが、出生率向上を目的とする政策的介入は、家族観や生き方への間接的な誘導を伴いやすく、全体主義的リスクを内包する。また、こうした介入は個人の選択と尊厳を重視する近年の世界的潮流とも緊張関係にあり、社会的受容を得られにくい点で実効性にも限界がある。
したがって、価値観の問題を顧みることなく、制度改革や経済支援といった政策手段のみによって少子化問題の解決を図ろうとする試みは、長期的には十分な成果を上げることができない可能性が高い。
