進行する全体主義
現代のSNSでは、「いいね(good)」は数として表示される一方で、「よくない(bad)」は押せても見えない仕組みになっています。これは一見、利用者を傷つけないための配慮のように見えますが、実際にはSNS運営側が言論の広がり方を静かにコントロールできる構造を作っています。
「いいね」は「正しい・間違っている」を示すものではなく、「多くの人の関心を集めた」という目安にすぎないと説明されますが、見えない低評価は内部では強く働き、投稿を目立たなくしたり、広がらなくしたりする材料として使われます。そのため、誰のどんな判断で話題が沈められたのかが外から分からず、気づかないうちに特定の意見や話題が避けられるようになります。これが進むと、人々は「禁止されていないのに言いにくいこと」を自分で避けるようになり、考える前に黙る習慣が広がっていきます。怖いのは、これが強制や弾圧の形を取らず、便利さや自由が保たれているように見える点です。
問題の本質は、いいねや低評価そのものではなく、SNSという公共に近い場の流れを、少数の設計や判断が見えない形で左右できてしまう構造にあります。そのことを意識し、言葉にして考え続けることが、今のSNS社会が全体主義化していくのをくい止めるためにもとても重要だと言えるでしょう。
