タイムトラベルは実現可能か?現代の物理学者はタイムトラベルは実現可能であると主張している。ただし、彼らの考えるタイムトラベルは我々一般人が考えるタイムトラベルとはかなり異なっているので、まず以下に彼らの考えるタイムトラベルを簡単に説明する。

 

 ①未来へのタイムトラベルは特殊相対性理論によって理論的に可能であるし、現実的にも実現可能である。ただし、亜光速を実現しなければならないので、ミクロの世界の素粒子レベルではすでに実証済みの事実であっても、マクロな世界では様々な問題があり、現時点では実現できていない。

 

 ②過去へのタイムトラベルは一般相対性理論及びワームホールによって理論上は可能であるが、ワームホールも膨大な負のエネルギーであるエキゾチック物質も未確認なものであり、現代の技術では不可能。

 

 ③人間や物質のタイムトラベルは非現実的であっても、量子テレポーテーションによる情報のタイムトラベルであれば量子力学的には実現可能である。

 

 以上から言えることは、物理学者は理論上のタイムトラベルの可能性を探ることにバイアスが掛かっており、往々にして現実問題に対する重要な視点が欠落している。あるいは意図的に現実的制約を軽視しているようにも見える。以下に彼らの無視する現実問題について説明する。

 

 亜光速を実現するにせよ、エキゾチック物質を必要とするにせよ、現実的な2つの問題、技術的問題と経済的問題がある。特に後者の問題を科学者は無視しようとする傾向が強い。そこで次に、亜光速を例に、これを実現するために必要な条件を探っていくことにする。

 

 1年の宇宙旅行で10年後の未来へタイムトラベルする場合に必要な宇宙船の速度は約0.99499c(約298,290 km/s)なのだが、この亜光速旅行に必要なエネルギーを具体的に計算する。計算すべき条件は、①宇宙船の質量、②亜光速0.99499cに到達するのに必要なエネルギー、③出発時と帰還時の等加速度運動に必要なエネルギーの3つに限定する。その他のエネルギー関係の様々な問題(例えば、加速に要する燃料の質量比や推進効率や燃料輸送燃料等の問題)はここでは無視する。

 

 ①宇宙船(小型有人船+機器)の質量を10,000kgとすると、②はTNT火薬換算で、約 1.93百万メガトン。③は②の約2倍で、約3.86百万メガトン。

 

 以上、最低条件での必要エネルギーは約5.79百万メガトンで、これは広島型原爆の約3,300倍の史上最大の水爆「ツァーリ・ボンバ(約 50 Mt)」の115,800 個分のエネルギーに相当する。また、世界の年間一次エネルギー消費の約48倍である。しかし、様々な現実問題を考慮すると、何十倍〜何万倍の一次投入エネルギーが必要になる可能性が高いと考えられている。

 

 以上からおわかりだと思うが、亜光速で有意な宇宙旅行をしようと考えると、桁外れのエネルギーが必要となる。つまり、天文学的な費用が必要となるのである。この費用を拠出するのはいったい誰なのか。というよりこの費用をいったい誰が拠出できるのだろうか。理論の探求と現実的制約の両立が科学の健全な発展には不可欠であり、いかなる学問もこの現実問題を無視することはできないのだ。

 

 我々人類は、今や、国家間抗争(核戦争)や人種間抗争や宗教間抗争を初め、地球温暖化問題や人口問題などの様々な危機的な問題に直面している。これらの問題をまず解決しなければ、人類に明るい未来は訪れないし、タイムトラベルも単なる夢に留まるだろう。今、何について考え、何をしなければならないのか。よく考えなければならない重要な時期を我々は迎えているいるのだ。