SF映画の中ではまるで人間とそっくりのAIロボットが登場してくる。このAIロボットは人間と同じような感情を抱き、人間と同じように考える。果たしてそのようなAIロボットは誕生するのだろうか。この問いに対する答えは次の問いを考えることによって簡単に導き出される。
「我々は人間の脳の仕組みすべてを解明できるだろうか。」
AIと人間の脳が同じ機能を持っていると判断するには、まず人間の脳の機能のすべてを我々が解明していなければならない。しかし、我々に可能だろうか。残念ながら不可能である。その理由を以下に列挙する。
⑴何を基準に人間の脳の機能がすべて解明されたと判断するのか。そもそも基準を設定すること自体が可能だろうか。
⑵仮に人間の脳の機能のすべてを解明することが可能であるとするなら、凡人の脳の解明だけに終始するのではなく、当然天才の脳の解明をも達成して初めて人間の脳の全機能の解明となるはずだが、果たして凡人の脳に天才の脳を理解することが可能だろうか。
⑶人間の脳の全機能の解明とは(脳)科学の完成であり、それは同時に(脳)科学の発達の終焉を意味するが、(脳)科学の発達に終焉は訪れるのだろうか。
以上のような理由から、人間の脳の機能の全解明は不可能である。
AIとは、人間の脳の機能の一部(論理的思考)を拡張したものにすぎず、それが人間の脳全体の機能を持つことはそもそも原理的に不可能である。AIが将来人間の脳と同じ機能を持ちうると考えるなら、その人間の脳とは単純化された脳(?)に他ならない。人間の脳を単純化するという仮定のもとで初めてAIと人間の脳の同一視が可能となるのである。言い換えると、AIと人間の脳を同一視するとき、その人は人間の脳を単純化して理解しているのであり、それはもはや人間の脳ではないのだ。残念ながら、SF映画に登場するような人間そっくりのAIロボットの誕生はおとぎ話にしかすぎないのである。
