①「国がもうけてどうするんだ!」
農水省によると、備蓄米の買い入れ価格は令和5年産米が60キロ1万2829円、4年産が1万1004円、3年産が1万2885円で、3回に渡って行われた備蓄米の入札では落札価格は60キロあたり税込みで2万2477円だったので、備蓄米の落札価格は買い入れ価格よりも1万円程度上乗せされることとなった。自民党の小野寺五典政調会長は、「国がもうけてどうするんだ!」とこの状況を批判したのに対して、農水省は「買い入れ価格よりも安い値段で売り渡そうとすれば法律違反に問われる可能性がある。」と弁解した。備蓄米の落札価格が買い入れ価格よりも高いのを問題視しているのではなく、高すぎるのを問題視しているにもかかわらず、落札価格が買い入れ価格よりも低いのは問題であるという理屈で論点のすり替えを行なったのだ。このような論点のすり替えの背後には、備蓄米の落札価格が高くなりすぎた本当の理由を隠蔽する意図が働いていたと考えるのが妥当ではないだろうか。
ではいったい何のために落札価格を高く設定する必要があったのだろうか。本来であれば、政府は高騰している米価を落ち着かせるために備蓄米を放出しようと考えるわけで、備蓄米で政府が儲けを意図しているとは考えにくい。政府は今回の備蓄米の販売価格を入札で決めることにした。しかも1年以内の買戻しという条件を付けた。これは買戻し可能な入札業者をJAに意図的に限定するためではなかっただろうか。ライバルのいない入札のため、入札価格はほぼJAの希望価格となった。つまり、1万円もの上乗せは政府が儲けるためではなく、米価を高止まりさせたいJAの思惑によるものだったというのが真相だろう。
いずれにせよ、米価が高止まりし続けることを願うJAを農林水産省が擁護しているという事実は明らかだと思われる。
