ベトナム人の特性⑵
私はハノイのカフェでよく仕事をする。お客の多くはお一人様の常連客で、ノートパソコンを広げ、仕事か何かに夢中で取り組んでいる。静かで平和な空間である。ところが、日曜日も午後にもなるとカフェの様子は一変する。家族連れ客が来店してくるのだ。
少なからぬベトナム人にとって、有名チェーン店のコーヒーは安いものではない。平均月収が約5万円のベトナム人にとっての6万ドン(約400円)の飲み物は、4人家族であれば1600円となる。平均月収30万円の日本人であればこれは8000円の出費である。(飲み物以外のものを注文したなら10000円は超えるだろう。)このカフェでのひと時の8000円は、彼らにとって決して楽な出費ではない。つまり、彼らにとってのカフェ訪問は稀にする贅沢なのだ。しかしこのカフェ訪問は彼らにとって非常に重要な意味を持っているようだ。
家族でカフェを訪れた場合、たいてい次のような事態が発生する。それは特に子どもが幼い場合だが、カフェの中を走り回るのである。その際、大声を発していることも少なくない。静かな環境を求めて来店した客には大迷惑である。しかし子どもの親は全くなにもしない。なにも言わない。つまり、親達が子どもに注意を促すということは全くと言っていいほどないのである。しかしこの程度はまだましな方である。
ある日曜日の昼下がりだっただろうか、私はある有名チェーン店のカフェでいつものように仕事をしていた。入店してすでに2~3時間は経過していたかもしれない。しかしその平和な空間はある家族連れ客によって終焉を迎えた。なんと子どもはカフェの中で小型のドローンを飛ばし始めたのだった。ドローンは音を立てながらあちらこちらと彷徨っている。ドローンを操縦する子どもは大喜びだ。その子どもの親はなにも言わない。むしろ子どもがドローン遊びを楽しんでいるのを楽しんでいるようだった。
こんなことはまだ一度しか経験していないが、どのケースにも共通していることは、子どもが好き勝手をして他人に迷惑をかけていても親は全く注意をしないということである。公共の場でのマナーについての考え方が日本とは異なるのかもしれないが、子どもにしたい放題にさせることが子どもを甘やかすことになってしまっていることは否めない。これでは子どもの自制心が育たないのではないだろうか。
もちろん、子どもを溺愛するあまりセルフコントロールのできないわがまま勝手な人間を育ててしまっているということをベトナム政府も問題視しているようだ。
