<討論その11>

 

参加者:今井氏、田村氏

 

⑿23:44~25:51

田村「今回議論したいことって、そのあの、僕、本当に真剣な話聞こうと思ってるんですけど、議論が扇状になっていって、さっき佐々木さんが聞いたことも含め、僕が聞いたことも含め、 ストレートな答えに導いてもらえないというか、こう、答える段階で、バーッと扇状に広がっていくので、ま、それは答えてることにはなるんだけど、本当に僕が問うている質問、だから、さっきの僕は、魚とあの僕が見せられたあの鳥、魚もマグロの頭をガーンってやられるじゃ ないですか、 ガーンてひきずるじゃないですか、同じなんですよ。申し訳ないな。だけどありがたくいただこうと思うんですけど、そこは一緒じゃないんですか。で、一緒だって言うんだけど、訴えてる動画に関しては、まあ鳥の映像ばっかりだったんで、そこの違いが出るんだったら、主張してることも実はいろいろとおかしい点が出てこないですかってことが、僕は質問としてしたいんです。」

 

今井「何で おかしくなるのかがわからないんですけど、私たちはヴィーガンで、動物を一切消費しないようにしているんですよ。」

 

田村「ぴよぴよ鳴く鶏だけの映像を僕たちに見せるけど、他の動物だって命が一緒なんだったとしたら、同じように動画見せてくれればいいじゃないですかってことです。」

 

今井「あー、じゃ、お送りすればよかったって話ですね。」

 

田村「あるんですか。」

 

今井「ありますよ。」

 

田村「じゃあなんで一番最初に、一番効果的であろうという鶏にしたんですかってことです。」

 

今井「あ、いいえ、とんでもないです。それは違いますよ。今この活動について関係があるからです。」

 

田村「お店の前に並んだということですか。」

 

今井「並んだじゃなくて、私たちの活動は、なぜ今回ここでやったかということに一番関連がある動画をお送りしました。」

 

田村「だから、一緒です。僕が言っていることと一緒です。」

 

今井「えっ。」

 

田村「お店の前に並んで抗議したっていうことですよね。」

 

今井「はい。だからこの動画を説明しました。」

 

田村「簡潔にまとめて僕言って…。」

 

今井「他にもたくさんあるんですけれども、この短時間で全部見ていただいて、そのこと全部議論するっていうのが、あのー送ってくださいとは言われなかったので、送りませんでした。」

 

田村「だから、魚であろうが鶏であろうが牛であろうが一緒だってことですね。」

 

今井「はい。そうです、そうです。」


概 要】

 ①田村氏は、ヴィーガンにとっては鶏も魚も愛護すべき生き物であるという点では同じであるにもかかわらず、あえて鶏の動画を視聴させるという人の感情に配慮しない方法を今井氏が選んだ理由を問題視する。

 

【問題点】

 ①鶏の動画に対する感想を問う今井氏の質問に対する返答を回避するために、田村氏は、鶏の動画を選んだこと自体を問題にすることによって論点をすり替えるという仕方で今井氏に反駁しているわけで、建設的な議論を構築するためではなく、討論に勝つことのみを目論んだレトリックに他ならない。

 ②⑺での田村氏の「何が違うんですか。」という質問には「違わないですね。」とストレートに回答しているし、また、⑾での佐々木氏の質問にも、ヴィーガンは長期的には経済的であるとストレートな回答を今井氏は示しているので、「ストレートな答えに導いてもらえない」という田村氏の発言が明らかに誤りであるということを棚上げすると、「ストレートな答え」の「ストレートな」という言葉に、「自分の期待通りの」という意味が込められていると思われる。

 ③「愛護すべき対象として魚も鶏も同じだと言いながら鶏の動画ばかりを今井氏が見せるのは、両者が同じでないということを意味しているので、今井氏の主張は矛盾している」と田村氏は主張しているが、これは「主張内容ではなく、主張方法について議論する」という⑴での田村氏の発言に再度矛盾する発言である。

 ④田村氏は、「チキンのファーストフード店の前で抗議行動をしたからチキンの動画を選んだ」と考えているのに対して、今井氏は、「チキンのファーストフード店の前で抗議行動した理由であるチキンの問題を採り上げたいからチキンの動画を選んだ」と答えている。田村氏の発言では、この抗議行動がチキンの動画を選んだ原因とみなされているが、今井氏の発言では、チキンの問題(畜産業の問題)が原因であり、この抗議行動もチキンの動画もその結果であるとみなされているので、両者の発言内容が同じであるという田村氏の考えは論理的に正しくない。

 

【分 析】

 ①今井氏が鶏の動画を見せたのは今回のピータの活動がたまたまチキンの問題だったからだと説明しているにもかかわらず、田村氏はその説明を聞き入れようしないことから、田村氏は鶏の動画を選んだ今井氏の意図に恣意的な悪意を感じ取っていると推測されるが、田村氏が今井氏に対してこのような反応をしたのは、「鶏が一番効果的」という田村氏の発言が示唆しているように、田村氏は鶏の動画によって強い動揺を感じ、この感情を今井氏の動画の選択に起因させることによって、非ヴィーガンとしての自己の心的立場を守ろうとしたためである。