<討論その7>
参加者:今井氏、市原氏、田淵氏
⑻15:49~17:47
市原「すいません。逆にヴィーガンの方に聞いてみたかったことがあるんですけど。あの、普通にやっぱりあの肉食べるんですけど、タンパク質っていう資質、やっぱ現実的に必要じゃ ないですか、人体に。やっぱ安価に入手できて、手っ取り早いのが肉食だし、やっぱ、食文化としてもすごいいろんなところに根付いているし、畜産業とか漁業とか本当に誇りをもって従事している方がいらっしゃると思う中で、なんか搾取になるから全く食べるなって言われて、あの、やっぱ素直に『はい』って言えないし、やっぱちょっと絵空事にも感じてしまうんですけど。」
今井「ん。」
市原「あ、絵空事に感じてしまう面はすごいあるんですけど。なんかその本当に倫理的な観点から、すべての人間が動物性タンパク質摂取しないっていう世の中、本当にあり得ると思ってるのか。ま、それとも、ちょっと原理的なマイルストーンとかあるのか聞いてみたく て。」
今井「なんですか。」
市原「マイルストーン。」
今井「はい、どうやってやっていくのか。」
市原「これだけのペースで肉食が進むと、あのいつかは資源が枯渇するから、世界の人口これだけ減らそうみたいな、そういう数値目標みたいなのがあるのか。」
今井「そういうのは、そういう 情報は、あの グリンピースさんでも言ってるし、国連でも出してると思うんですけれども。もちろん、あの肉食を続けていくと、水の、水資源もそうですし、土地も枯れていくし。なぜなら飼料を作らなければいけないんですよね。莫大な。で、直接人間がその資料を食べると、今の世界人口を簡単に賄えるんですって。で、あの、肉を食べたいがために、その飼料を動物に食べさせなきゃいけない。なので、土地も足りなくて、森林伐採が進む。そういう水資源も足りなくなりそうなとか。色々そういうことが起きてきてしまうんですよね。だからあのー…。」
田淵「そこは別に僕、知識として正しいと、正しい面もあるし。そこを高校かな。なんか教科書で習った気もするんで、そういうのは別に否定しないんですよ。その上で、でも食べたい人は食べる、でいいと思って。」
【概 要】
①市原氏は、ヴィーガンの考え方について素朴な疑問を投げかける。
②田淵氏は、無責任な自由論でヴィーガンの考え方を否定する。
【問題点】
①市原氏は、3つの理由「⑴肉食は人間にとって必要なたんぱく質を摂取する方法として安価かつ入手が容易である。⑵肉食は文化である。⑶畜産業や漁業は、それに従事する人々にとって大きな意味を持っている。」を根拠に、ヴィーガンの考え方は非現実的だと述べているが、より安価で容易なタンパク質を摂取する方法は大豆に代表されるような植物性タンパク質の摂取なので、市原氏の事実認識は間違っている。(※)また、食文化は時代や地域によってさまざまであり、我が国においてもかつて多様に変化してきたもので今後も変化しうるものである以上、将来ヴィーガン食文化が定着する可能性を非現実的とみなすのは非論理的である。そしてまた、かつての我が国の炭鉱業が証明しているように、「畜産業者や漁業者がいるから畜産業や漁業は存続する」という主張は、当為命題が事実命題にすり替えられたことによって成立した本末転倒の理屈であり、ヴィーガン食文化によって畜産業や漁業が将来淘汰されないという主張の根拠にはならない。(炭鉱労働者がいるから炭鉱業を存続させるべきであるという主張が時代錯誤であるのと同様である。)
(※)ディスカウントスーパーサンディでの調査結果(2023年8月24日現在の含有タンパク質1グラムあたりの価格)
1 もめん豆腐(1丁 300g ¥39)…………¥2.0
2 納 豆(1パック45g 3個 ¥63)………¥3.0
3 鶏 卵(1パック10個 620g ¥257)……¥3.4
4 鯖 缶(1缶190g ¥168)………………¥5.8
5 サラダチキン(1切れ110g ¥179) ……¥6.7
6 ツ ナ 缶(1缶 55g ¥95)………………¥10.0
②「麻薬を摂取したい人は摂取すればいい」という例で考えてみれば分かるように、他者にマイナスの影響を及ぼす事実が認められる限り行動責任を問われるがゆえに、「肉食をしたい人は肉食をすればいい」という田淵氏の自由論は無責任論であり、麻薬を摂取する自由同様、容認不可能な自由である。したがって、田淵氏は肉食の地球環境への影響を知識としては知っているが、その意味を理解していないと言わざるを得ない。
【分 析】
①市原氏は、誤った事実認識に基づいて判断している同時に、感情的な理由からヴィーガン食に対して偏見を抱いていることが分かる。
②「肉食の持つマイナス面を頭では理解していても心は理解しようとしない」という、SDGsが一般に定着しないのと同様の極めて人間的な理由を田淵氏は代弁している。
