ブルントラント委員会の報告書を受け継いだのがSDGsの前身であるMDGs(Millennium Development Goals)である。報告書の主旨がどのように受け継がれていったのかを以下に見ていくことにする。
MDGsは2000年9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言をもとにまとめられたもので、貧困や飢餓の撲滅、初等教育の普及などに限定して、2015年までの15年間で達成すべき8つの目標、21のターゲット、60の指標が定められた。8つの目標は以下の通りである。
目標1 極度の貧困と飢餓の撲滅
目標2 普遍的初等教育の達成
目標3 ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
目標4 乳幼児死亡率の削減
目標5 妊産婦の健康の改善
目標6 HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止
目標7 環境の持続可能性の確保
目標8 開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
以上の各目標の成果をまとめると次のようになる。
目標1の成果:
「開発途上地域における栄養不良の人々の割合が、1990年からほぼ半減し、およそ10億人以上の人々が極度の貧困から脱却した。」
目標2の成果:
「開発途上地域の学齢児童の就学率が83%から91%に上昇、つまり4000万人以上増加した。」
目標3の成果:
「初等・中等教育における就学率のジェンダー平等指数が、南アジア及び開発途上地域でほぼ1.0を達成した。」
目標4の成果:
「世界における5歳未満の幼児死亡率が半分以下に減少した。」
目標5の成果:
「妊産婦の死亡率は45%減少した。」
目標6の成果:
「HIVへの新たな感染が2000年から2013年までの間で約40%低下、つまり、約350万人から210万人へ感染者数が減少した。」「2000年から2015年の間に、マラリアによる死者数が620万人以上減少した。」「2000年から2013年の間に、結核による死者数が約3,700万人減少した。」
目標7の成果:
「1990年以来19億人が水道水へのアクセスを取得した。」「1990年以来オゾン層破壊物質の98%が除去された。」
目標8の成果:
「2000年から2015年で携帯電話の契約数は10倍にまで増加し、インターネットの普及率が世界人口の6%から43%にまで増加した。」
MDGsの各目標が『Our Common Future』の第4・5・9章の課題に限定されたものであったことから言えることは、「開発途上国の人口増加問題を解決するために、開発途上国に対して様々な援助を検討する」という委員会の報告書の主旨と同様、もっぱら開発途上国の課題解決にその目的が限定されたものであったということ、そして、その成果から明白なことは、開発途上国が抱えている様々な問題の内、健康問題と教育問題に特化した内容となったということである。なぜなら、開発途上国の出生率が高くなる原因は、まず第1が「乳幼児の死亡率の高さ」で、第2が「女性の教育水準の低さ」であり、これらの最も根深く解決に時間を要する問題を解決しなければ、開発途上国の人口増加抑制を進めることは不可能だからである。
以上のように、ブルントラント委員会の意向を引き継いだこのMDGsは、「歴史上もっとも成功した貧困撲滅運動」になったと評価されている。
追記:
各目標の成果から分かるように、これらの成果は先進国での成果ではなく、もっぱら開発途上国での成果である。
