その十五

人生は、曲がり角ひとつ違えただけで、まったく違う景色が見えるものだ。右へ曲がれば海へ出て水平線に沈む夕日が見られるかもしれない。
左に曲がれば山へ続き、森の中の木漏れ日で日向ぼっこしているこびとに会えるかもしれない。
前に進むことが怖くて引き返せば、同じ場所へ帰れそうなものだが、そうはいかず、沼地に足を取られて沈んだりもするかもしれない。

華やかな婚礼の次の日、冬子に見えた未来は、あまりにも過酷なものだった。

前途多難、そう冬子は思った。

婚礼の席、30分ほどで消えてしまったタケシは、次の日の昼前に戻ってきた。なんの悪びれた風でもなく、自然に口笛を吹きながら。

冬子は、姑に言われるままに働いていた。
「やあ、冬子。新妻さん」
タケシは、明るく冬子に話しかけた。
「タケシさん、どこ行ってただ!」
「まぁいいじゃないか。色々忙しかったんだ」

「でも、オラ、寂しかっただよ」
「そりゃあ、ごめん、ごめん」

姑に叱られた。
「旦那様のすることに文句を言うな」
横で、小姑の美子がすました顔で髪の毛をとかしていた。

「そうだ、冬子に話す事があったんだ」
唐突にタケシが言った。

「なんだべ?」
冬子は、いやな予感がした。

続く