竹の話 | 林業技師&昆虫養殖者・星雫(セイレーン)です

竹の話

竹は温帯で育ちます。日本ではマダケ・破竹・孟宗竹が主流ですが、当然の事ながら、北海道では竹林をほとんどお目にかかれません。孟宗竹は太くて「筍」を取る竹として知られていますが、青森県が生産地の極限です。

細いマダケと中間種の破竹は日本古来の在来種で、ともに筍を得る事ができ、特に破竹の筍は甘味がある事を知る人は少ないでしょう。それ位に筍=孟宗竹の筍が有名だからです。


竹と、竹の英語表記の「バンブー」は全く異なる植物で、竹は地下茎を横に伸ばしますが、バンブーは亜熱帯に生息し、分蘖=ぶんけつ(1本の根元からつぎつぎと茎を増やします。 この茎の枝分かれを分蘖と言います)して、縦に株立ちします。また、これらをタケ科・イネ亜科・イネ科と分類する林学者がいて、それぞれに見解があります。似たようなものにゴリラ・チンパンジー・オランウータンをショウジョウ科と分類する学者と、ヒト科と分類する学者がいます。もっとも、霊長類の事は林学者の私には分かりかねますが。


竹の地下部分には根と地下茎があり、根は竹の直立を支える力を持ち、また水分・栄養分を吸収します。地下茎は竹の幹と同様に節があり、その節から筍が発生します。根は土に食い込んであって、簡単には掘り出せません。その根の先から地下茎が横に伸び、地上20㌢程度に横に広がっています。地下茎にもヒゲ根があり、10年程度生えています。


竹は「樹か?草か?」と言う議論があり、これを知る事で、竹の特性を知る事になります。竹は樹にも草にも類似する部分もあれば、また全く異なる部分もあります。竹の幹や稲の茎は中空なので、樹木とは異なります。草同様に竹にも年輪はありませんが、草との共通点は成長の早さ。草がいくら遅くても数ヶ月で成長するものの、竹はわずか100日で成長を終えます。一方で樹との共通点は幹が木質で固い事、そして竹は大きくなる(伸びる)事で、草との決定的な違いは、草は1~2年で枯れるものの、竹は十数年の寿命があります。一方の樹との決定的な違いは、樹は成長する事によって年々太くなるものの、竹は全く太くなりません。


これは竹の本場・京都府林業試験場が、筍の名産地の乙訓の竹林で3ヶ月間の計測調査によって明らかになったもので「竹の太さは、成長を停止させるまで変わる事はない」と結論付けました。結局竹は、草でもなければ樹でもなく、竹は竹で独立した植物と言えます。マダケは60年・孟宗竹は120年に1度花を咲かせると言われ、その花は稲の花によく似ているそうです。竹は花が咲くと枯れると言いますが、孟宗竹は「花が咲き終わっても枯れない」と言います。しかし竹の花については未知の部分も多く、また竹そのものも未知なる植物です。


ただ言える事は竹林を管轄するのは、国なら営林署・地方自治体なら林業関係部署ですが、竹製品の試験は林業試験場ではなく「工業試験場」で大半が行われており、全くややこしい植物です。