ティーツリーは天然抗菌剤 | forestwalkingのブログ

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2013年の暮れに、突然この世を去られた、理学博士 藤田忠男先生の研究を掲載していくブログです。

アロマテラピーと抗生物質
■アロマテラピーと抗生物質

微生物は時に人間の敵になる。これを撃退するのが抗生物質だ。抗生物質の開発の歴史が医薬品開発の歴史といってよい。 アロマテラピーと抗生物質の関わりを考えなければならない理由は、精油の抗菌効果をどのように位置付けるかということです。 抗生物質は薬局で売られている。病院でも処方される。抗生物質に欠点はあるだろうか。 結局は、アロマテラピー精油と抗生物質をどのように使い分けたら、われわれの健康を守れるのか、ということだ。

抗生物質と抗菌剤は同じ意味だ。 抗菌剤はバクテリアや微生物により自然に作られる。バイオテクノロジー技術で医薬品としての抗菌剤が開発されている。 1928年にアレキサンダーフレミングによりペニシリンが発見されたが、これが最初の抗生物質だ。 第二次世界大戦中はペニシリンが使われて、その後大量生産ができるようになった。エリスロマイシン、アンピシリンも抗菌剤に含まれる。

抗生物質が開発される以前から人間にとって微生物はやっかいなものだった。そのときに、役に立ったのは精油だった。 ただ、問題は精油は貴重品で高価だった。しかし、植物はどこでも自生している地域では、葉を搾り取って肌に塗って用を足していた。 これもアロマテラピーの効用のひとつだった。抗生物質が大量生産され安価に手に入れられるようになったことは朗報だった。



■抗菌薬の作用部位と作用機序

よく耳にする感染症とは、細菌やウィルスなどの有害病原微生物が生体内に浸入し、 炎症性のいろいろな症状を起こす病気の総称です。 抗菌剤はこれらの有害微生物を殺菌するか、生活不能にし、結果的に感染症の治療目的の薬剤をさします。

抗菌剤は人の正常細胞を傷つけずに細菌だけを選択して作用(選択毒性 selective toxicity)を持つように設計されたもので、 細菌感染症の治療には原因療法として抗菌薬の投与が必要だ。 抗菌剤の作用機序としては、細胞壁、細胞膜、細胞質、リボゾーム、核酸などに作用して、 その合成あるいは機能を阻害することにより殺菌的あるいは静菌的作用をもたらすと考えられています。

    1.細胞壁合成阻害

    細胞が増殖するときの細胞壁の構成成分のペプチドグリカン(ムレイン、ムコペプチド、ムコポリマーともいう)の合成を阻害するメカニズム。 菌の細胞壁を消失させ、細菌を溶菌、殺菌します。 細胞壁のペプチドグリカンの生合成過程は細胞質内(第一段階)、 細胞膜上(第二段階)、架橋形成反応(ペプチド鎖による相互結合 最終段階)に分けられるので、 この阻害作用を持つ抗菌薬にはステップごとに、 ペプチドグリカン合成の初期段階で阻害するもの(ホスホマイシン商品名:ホスミシンなど)と 架橋酵素郡の作用を抑制するもの(ペニシリン系商品名:バイシリン、バカシル、ビクシリン、パセトシン、ヤマシリン、ユナシン、 セフェム系商品名:ケフレックス、ケフラール、セフゾン、トミロン、バナンなど)があります。

    2.細胞膜機能阻害

    細胞膜は細菌の生命維持に必要な物質の透過を支配していますが、細胞膜に対して選択的に透過性を変えてしまうと、 細胞内成分を放出し細菌は死滅します。例、ペプチド系のコリスチン、ポリミキシンB。 この作用メカニズムは精油の膜脂質を溶解するなどする抗菌作用にも通じている。

    3.核酸合成阻害

    細菌のリボ核酸(RNA)やデオキシリボ核酸(DNA)の合成を阻阻害することで遺伝情報が発現しにくくなり、 蛋白合成が不可能になる。 静菌的あるいは作用の強さにより殺菌的とされます。 例、ニューキノロン系(商品名:タリビット、クラビットなど)。

    4.蛋白合成阻害

    細菌の蛋白合成を抑制し、細菌の生育を抑制します。 細菌の蛋白合成にはリボゾームのサブユニットに存在する様々の調節因子が関与しています。 人の蛋白合成は80S(Sは超遠心法における溶質の沈降速度の単位で、 蛋白質の沈降係数は水溶液中で1~200Sの範囲にあります)リボゾームが主ですが、 これらの抗菌剤は70S系リボゾームに作用することで選択毒生を示すとされます。 これにより、生体には害がなくなるわけです。 例、テトラサイクリン系(商品名:テラマイシン、レダマイシン、アクロマイシン、ミノマイシンなど) マクロライド系(商品名:エリスロシン、クラリス、ジョサマイシン、 リカマイシンなど)、アミノグリコシド系(商品名:カナマイシン、ゲンタシン、ストレプトマイシンなど)、 クロラムフェニコール(商品名:クロロマイセチン)。

    5.葉酸合成阻害

    細菌の代謝に必要な葉酸の構成成分のパラアミノ安息香酸と化学構造が似ているため、 これと競合して介入し、葉酸の生合成を阻害します。 薬剤がなくなると菌は正常の機能に戻るので静菌的作用とされています。 人でも葉酸は必須の物質ですが、食事から得られるので、細菌に対して選択毒性になります。 例、サルファ剤(商品名:アプシード、ダイメトンなど)。



■天然の抗菌剤

ティーツリー(Tea Tree)は、フトモモ科メラルーカ属(Melaleuca)の常緑植物、 学名は Melaleuca alternifolia。精油 ティーツリーオイルはこの植物から得られる。 ニュージーランドとオーストラリア南東部に生息する類似種マヌカ(学名:Leptospermum scoparium)は類似種だ。

オーストラリアの先住民族のアボリジニの間では何千年、数万年もの間、この葉を絞ってケガや皮膚の治療などに使われてきた。 合成抗菌剤が登場してから、伝統医学への利用の関心の高まり、 また、副作用が少ないという特徴から西洋医療にも使われている。

アロマテラピーでは殺菌や精神安定作用があるとされ、花粉症に効くともいわれる。 1%濃度に薄めても、幅広い種類の細菌や真菌に対して強い殺菌力がみられ、タンパク質に直接はたらくため耐性菌も発生しにくいという。 アロマテラピーとして施術に使ったり、 歯周病、消毒、傷、火傷、カンジダ、白癬など菌が原因とされる疾患の殺菌を目的として皮膚に塗布される。 有用な常在菌は殺菌されない。 液状ではなく揮発させて、院内感染の原因であるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌を殺菌する。

中程度の濃度以上では細胞膜など脂質膜を溶解したりタンパク質を変性させる生理作用を有する。 原核生物である細菌などに作用するとタンパク質の変性や溶菌などの殺菌作用をあらわす。



■天然の抗菌剤の耐性菌

抗菌剤は菌も学習するので耐性菌が生ずる。それで、新たな抗菌剤を設計する必要がある。人間と菌との永遠の闘いになっている。 精油は耐性菌が生じにくいといわれている。直接的に菌細胞膜を破壊してしまうためなのか。



■抗生物質の乱用

抗生物質の乱用により耐性菌ができるので、天然抗菌剤の利用を考えよう。 細菌感染症の菌に「有効な抗生物質」を、「適切な量」で「適切な期間」使用しなければいけません。 「有効でない抗生物質」を使ったり、「量が少なく効果がみられず」、「投与期間が長すぎたり」すると、無駄な耐性菌発生の原因となる。

風邪には抗生物質は効かないのは、風邪は「ウイルス」が原因だからです。 抗生物質は「菌」は殺しますが、「ウイルス」には効果がないので、「風邪」には抗生物質はほとんど効かない。 「風邪」のうち、「菌」が原因のものは約5%なので、95%は抗生物質は効かないのです。