| ■新大陸オーストラリアは古い大陸
アロマテラピーは中央アジアからヨーロッパで古くから行われ、西暦1000年頃に精油の水蒸気蒸留法も発明されてから広まった。 過酷な気候、土壌環境で栽培された植物から精油を採る。自らの身を守るための二次代謝物が生合成されている。 オーストラリアには独特の進化をとげた植物もあり旧大陸とは違う。オーストラリアの土壌と気候も過酷で、その採れる精油に興味がもたれている。 ラベンダーもオーストラリアに持ち込まれた種が異なる気候に適応して育った。 植物は過酷な環境でも適応して育つので多くの栽培種ができている。 オーストラリアの精油はヨーロッパの精油の補完的な立場から出発したものだ。 今では栽培技術、蒸留技術も向上している。 5,500~5,000万年前、インドプレートのインド大陸部分がユーラシアプレートの大陸部分に衝突して動きが遅くなり、 2つのプレートの間で強く圧縮されて隆起しヒマラヤ山脈やチベット高原などができた。 その後、プレートの移動が極端に遅くなり、 インドとオーストラリアの間にある海嶺の両プレートの境界部分は固定されて「インド・オーストラリアプレート」となり、 オーストラリア大陸が分離した。 オーストラリアには近年白人が移住してきたが、原住民のアボリジニは蒸留技術をもたなかった。 そのために、精油の蒸留は最近のことだ。しかし、植物利用はアボリジニの伝承に基づく。 |
■オーストラリア産の精油を調べる前に地図を見よう ![]() |
| ■新大陸オーストラリアの精油
オーストラリアを新大陸といったのは西洋人。オーストラリア大陸が分離される以前からアボリジニは住んでいた。 アボリジニは精油蒸留の技術はなく薬草を煎じて暮らしてきた。焚き火で植物化学成分を揮発させていた。 今でいうとお香のようなものだ。それが、現在まで受け継がれてきている。 植物の栽培は時間がかかる場合がある。オーストラリアでも無尽蔵の伐採はできない。 一年草だとよいが。樹木の成長は30-60年ぐらいかかるので、樹木系の精油を十分に生産できないでいる。 現在では、インド原産のサンダルウッド精油を生産している。オーストラリアのサンダルウッドとは化学成分が違う。 オーストラリア産サンダルウッド精油も政府の保護により蒸留され、日本向けに輸出されている。 ニュージーランドで真正ラベンダーが栽培され年々質が上がっている。 生産者は毎年のように苦心しているので進歩している。 フランスのアルペン地方が野生ラベンダーの原産地だが、そもそもニュージーランドとは土壌や気候が違う。 標高800メートルの温度の低い乾燥土壌の高地でラベンダーを栽培するとよい。 水はけがよい斜面の乾燥した土壌で、よい香りの高いラベンダーが生育できるという。 そのような環境がオーストラリアやニュージーランドで見つかるだろうか。 |
| ■オーストラリア保健省薬品・医薬品行政局 (TGA)
オーストラリアは農業国で農業製品の輸出に力をいれている。 オーストラリア保険省薬品・医薬品行政局では、治療効果のある医薬品や精油等の安全性や品質の管理を行っています。 英語では TGA(Therapeutic Goods Administration)です。 TGAに認可される基準には、以下が挙げられています。 1.安心して身体に使える安全な商品である TGA は、各製品に対して認可後も常に、抜き打ち検査が続けられているという。 精油を購入する時、TGA のコメントを参照するとよい。 オーストラリア精油は業者ではなく公的な行政機関が公平に判断しているので消費者は安心です。 Tea Tree オイルについては詳しい資料も出ています。 オーストラリアは農業立国なので農産物の品質管理もしっかりしている。 |
| ■オーストラリアの精油ブローカー
フランスには星の数ほど精油ブローカーがいる。まともな精油業者はいないといってよい。いいすぎだろうか。 ブローカーが何人も中間に入る。日本の不動産バブルのようだ。 本物の精油を判断する仕組みがないのでブローカーの信用で取引が行われる。 ブローカーが騙されて破産してしまうほどの国だ。調香師がブローカーになるのは、1000年前と変わらない。 器量がわるいブローカーはやっていけないのが旧大陸だ。 ところで、国策で農業国のオーストラリアにはブローカーがいないと思っている日本人は多い。 それ故に裏をかいて、ブローカーが多いのだ。 生産者の農家から出荷されて一次の精油業者に卸される。そこから、直接に外国に取引できるわけではない。 ブローカーが来て仕入れていく。加齢油は安く仕入れられるので、それを加工して新鮮精油として日本に売る。 ブローカーは流通上必要だという。 匂いが悪い製品に安い合成リナロールを添加してくれる。それで商品価値を高めてくれる。 流通システムにおいて必要な存在になっている。 本来は廃棄しなければならない精油をリフレッシュするわけだ。何が悪いという。 日本の国内では品質管理をしないので、そのまま消費者の体に塗布される。 オーストラリアには日本人の旅行・労働者が多いので、一味にリクルートされる。 手っ取り早く嘘のブログを書いて偽精油を売りつける。生活の木のような大手も偽物精油を仕入れていると聞いている。 本物精油だけを売っているショップを探すのも容易ではない。 売れている店は偽物精油を売っているとかんぐりたくなる。 日本の輸入元では品質管理担当者がいないので、本物と偽物の区別がつかない。偽物と思って売っているようだ。 本物を仕入れて50%引きはできないという。いずれ廃棄する精油を仕入れてくるのだろう。 日本ではラベルを張り替えても法律違反にならない国だ。 ラベリングとその検査に権力が入らないと不正が横行するものだ。 輸入業者はラベル印刷の高精度印字プリンターを装備している。 適当な成分表を添付しても消費者から調査されないので問題ない。 ラベルの内容を信じる消費者が愚かだと教える。 何も知らない最終消費者に自己責任として売りつけられている。 精油業界は、外国人に日本側の欠点をつかまれてしまった。行政の規制で精油取引は野放しになっていることを知っている。 覚せい剤等であぶない橋を渡るより、精油をさばいているほうが見の安全だ。いずれは国会で問題になるだろう。 消費者は本物精油を見極める能力を身につけてほしい。アロマテラピストは常連のお客さんに本物精油で施術してもらいたい。 このように本物精油を見極めてあくどいブローカーを自然淘汰していくしかないようだ。数100年かかるだろうか。 |
| ■日本が必要なオーストラリアの農産物
日本は資源がなく、労働力が高い。更に平地の農場が少ない。ひどい国だと嘆くより、こんなところで数千年も生きてきた日本人。 オーストラリアは国土は広く人口は少ない。日本とは逆だ。オーストラリアではティートリーから始まり精油を作ってきた。 オーストラリアにも精油ブローカーがいることを聞いて驚いた。フランスやイギリスにブローカーが多いのは知っていた。 オーストラリアでは有り余っている農産物を日本に輸入する貿易はうまくいってほしい。両国の欠点を補う上でもってこいの貿易関係だ。 ティートリー精油は中国が大産地だ。オーストラリアを経由して日本に輸入されている傾向にある。 産地名は中国産と書かれているかどうか。残留農薬検査をしているかどうか。 |
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| ■オーストラリアの精油はアボリジニ由来
そもそもアボリジニの時代から伝承された薬効ある野生の植物から精油を採るのが特徴だ。 しかし、アボリジニは精油の蒸留法は知らなかった。酒の醸造も知らなかった。 今でも入植した白人が精油蒸留を行っている。 たいていはワイルドな植物から精油を採るので農薬残留の心配はない。 オーストラリアとニュージーランドの化学技術は高いので、蒸留、成分分析の技術はある。 もとより第1次産業の農業は国策なので、公的な分析機関があり、精油のロットごとの成分分析はできている。 しかし、ヨーロッパやアジアなどの旧大陸同様に精油ブローカーがいて、 加齢油やら合成油を添加した精油の製造販売は行われているようで、健康被害の懸念があり日本に輸入しないようにしたい。 オーストラリア特有の問題でもあるようだ。 ティートリーやブルーサイプレス (Kakadu Blue) はアボリジニが利用していた植物で、その後になって精油が採られた。 アボリジニは樹木を燃やして蒸発してきた油を利用していた。原始的な芳香浴もしくは虫除けだ。日本でも同じようだった。 ニュージーランドやタスマニアのラベンダー栽培は西洋人の入植者が持ち込んだものだ。 面積が広い農業国の特質を生かしてラベンダーのプランテーション栽培は効率的だ。 ラベンダーは旧大陸の精油と品質的に競合になる。 オーストラリアのプランテーション農業は日本と規模がちがい大規模だ。規模が大きいだけ成功もあり失敗もある。 オーストラリアのように、日本で植物を栽培し、精油を製造することはコスト的にできないであろう。 |
| ■オーストラリアとニュージーランドのラベンダー
日本では地理的にオーストラリアとニュージーランドは同様に扱うが、実際は地域は広く異なり土壌や水、気候が違う。 オーストラリアの内陸は砂漠地帯で、ニュージーランドは島国だ。北島と南島では違う。 タスマニアはオーストラリア南東の離れ島だがオーストラリアに属する。 オーストラリアとニュージーランドは農業国で近年は精油の生産も盛んだ。ひっくるめて、オーストラリアの精油とよんでいる。 日本とは違い新大陸なので土壌が農薬で汚染されていない。野生の植物から精油を採る。また、水もきれいだ。 ヨーロッパでは食用作物の栽培に適さない地中海沿岸の痩せた地域でラベンダーは育つ。 石ころがある傾斜地は皮肉にも水はけがよく乾燥している。プロバンスのグラースはひどいところだ。 観光で行く日本人がいるようで驚いている。フランスの単なる田舎町にすぎない。 食糧難の貧しい時代に食用にできないラベンダーは必要ではなかった。 過酷な環境の石ころだらけの乾燥した土地で栽培されていたラベンダーから人気の精油が採れた。 オーストラリアとニュージーランドの精油の代表がラベンダー。地中海沿岸とは地形と気候が違う。 ニュージーランドのラベンダー畑にも観光客が癒しに訪れるようになってきた。日本の北海道・富良野の景色と同じだ。 しかし、観光用にいつでも花が満開になっているわけではない。 ニュージーランドのラベンダー畑では真正ラベンダーや交配種、グロッソラベンダーが栽培されている。 農場では真正ラベンダー (Lavandula angustifolia) も栽培されているが、交配種とはボトルラベル表示の学名で判断できる。 オーストラリアとニュージーランドのラベンダーは世界的に流通している。 タスマニアはオーストラリアに属する島だ。独立しているわけではない。ここにもラベンダー畑がある。 旧大陸フランスでの真正ラベンダーの生産は今では少ないのでオーストラリアとニュージーランド産で補完している。 ニュージーランドの土壌と天候のおかげでラベンダーは独特の香りを醸し出している。 |
オーストラリアの精油はアボリジニの伝承に由来するものが多い。 アボリジニは精油の蒸留法やアルコールの醸造法は知らなかった。間接的に植物から採れる油分を薬用に使っていたといわれている。 乾燥した高地のライム石の傾斜地で良いラベンダーが育つがオーストラリアのそのような土地はない。 湿気の多い土壌・天候では臭味が残る。 |
| ■ラベンダーの種
オーストラリアのラベンダー畑では数種類のラベンダーが栽培され蒸留される。用途が違うので種が違って当然だ。 本当のラベンダーはイングリッシュ・ラベンダーといいます。日本語名、英語名、学名を列記します。 タスマニアやオーストラリアのラベンダーはイングリッシュ・ラベンダーとは少し違う種でした。 真正ラベンダーは栽培が難しく採油率が低いので、世界的には全体の生産量の3割程度といわれています。 多種のラベンダーは市場には真正ラベンダーとして出荷されているものがあり問題になっています。 地域というより農場の方針で栽培する植物は違う。いわゆるすみわけして多くの種を栽培しているようにみえる。 農場毎に栽培と水蒸気蒸留法の専門家がいて苦心してラベンダー種を栽培している。 ニュージーランドのラベンダーにはアレルゲン物質のリナロール含有が少ないのが特徴だ。 リナロール成分量は植物採取時期と蒸留の温度と圧力の管理で変更できるので、植物固有の性質によるものではない。 また、酢酸リナリル含有量も蒸留条件により設定できる。 この辺りのラベンダーの酢酸リナリル含有量は40%程度に高いのが特徴だ。 植物の採取のタイミング、蒸留の温度と時間の調整で精油の化学成分は調整できるので、 高度な技術者がこのような技術をもっているようだ。 そのために、精油製造時の品質管理ではロット毎の成分表が必要だ。 蒸留は博士クラスの専門家が担当して品質のよい精油を製造している。 消費者の複雑な好みに対応して精油を製造している。 何処の国でも同じことだが、農場と蒸留所を選ぶことで真正ラベンダーを入手できる。
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| ■ユーカリ
ユーカリはオーストラリア南東部とタスマニア島におもに分布する。 ユーカリには500種類もあり、変種も含めると800から1000もの種類になるという。 成長がとても早く、背が高くなる。 コアラの食物としてよく知られている。コアラが食べるユーカリの種類は限られている。 アロマテラピーで使われる葉から取れる精油は殺菌作用や抗炎症作用、鎮痛・鎮静作用があるとされる。 オーストラリア先住民族(アボリジニ)は傷を癒すのに葉を利用した。 現在ではアロマテラピー施術に精油が利用される。また、ハーブティーにも利用される。 ユーカリに含まれる精油特徴成分はシトロネラール、シネオールなど。 殺菌作用、解毒作用、 鎮痛作用により、筋肉痛、打撲の痛みを和らげる効果、 頭を明晰にして、集中力を高める、 花粉症の緩和にも効果があると言われる効果があるとされ民間療法に使われている。 |
| ■ティー・トリーの特徴成分はテルピネンの異性体
特徴成分にアルファー・テルピネン、ガンマ・テルピネンが含まれている。モノテルペン類に属する。 テルピネンはテルペンで多くの植物に含まれている成分です。 ベータ・テルピネンは自然には存在しない。 分子構造の中の2重結合の位置の違いで幾何異性体が存在する。異性体は生理活性が異なるといわれる。 成分表では幾何異性体を明示すること。 植物は自然の宝物の倉庫です。人間が化学合成の技術がないころから、植物体内で多くの化合物を合成していました。 人間は自然の恵みで生きてきたのです。学名 Melaleuca alternifolia。 |
| ■ブルーサイプレス
学名 Callitris intratropica ヒノキ科。 オーストラリア北部に住んでいたアボリジニの TIWI の人たちに皮膚や胃のケアに使われていたメディカルハーブだった。 ブルーサイプレスは "The Blue" とも呼ばれるオーストラリアの特徴的な植物から採れる精油で、 今では化粧品材料から施術あるいは医療用に使われている。 施術または医療用には偽和のない天然100%の精油を使う必要がある。 精油はオーストラリア北部の乾燥地帯に育つ植物 Callitris intratropica を水蒸気蒸留で得る。 透明感のある美しいブルーの精油として知られている。粘りのあるオイルは、ベースノート。ブレンドに使われる。 サイプレスより少し甘めの香りで長持ちし、 サンダルウッド、ベティバーに似た香りという。 ブルーサイプレスの geranyl acetate, b-caryophyllene 及び limonene が精油の化学成分。 ジャーマンカモミールに含まれる"カマズレン"同様、右図上の guaiazulene "ガイアズレン"が青い色をかもし出し消炎作用をもつ。 グアイアズレンと発音してもよい。ジャーマンカモマイルの青いハーブティーは鎮静効果あるいは消炎効果のあるお茶だ。 これも古くからのメディカルハーブでドイツの病院の患者が毎日飲んでいる。ブルーサイプレスにはカマズレンも含まれている。 現地のひとが発見したのだが、蚊などの虫除けにこの植物を燃やすと芳香が出ることから精油を採り出すようになった。 乾燥肌の湿り気によいという。モイスチャリング効果という。 確かに、植物の燃焼で油成分が熱で揮発していきます。 右図下の真性のブルーサイプレスに特徴的なミルテン酸 Myrtenic acid は偽物には含まれていないことから偽和精油の発見につながる。 オーストラリア・ニュージーランドは農業生産物の分析技術は高いので、偽物の流通業者に対する責任追及は厳しい。 合成精油は作れないと思った方がよい。 そのような業者名は公表される。「すいません」ではすまなくなるので、輸入業者も業界から放り出されるなり今後はリスクが高くなる。 |
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| ■サンダルウッド オーストラリア
学名 Antalum spicatum の植物から溶剤抽出法 (アプソリュート)で得るトップノートの精油。水蒸気蒸留法でも精油が得られる。 東インド産サンダルウッド(Santalum album)に比べ、 α-santalolは少なく、farnesol,α-bisabololを含みます。 全体的には、Santalum albumとほぼ同じとされ、 抗真菌作用(特にstaphylococcus aureus、candida albicansに対してはTea treeよりも強いといわれています。 消炎作用はSantalum albumよりも強いといわれ、神経痛、筋肉痛および筋肉の消炎に向いているとされています。 一般に"サンダルウッド"と呼ばれているものは東インド産のSantalum albumだ。西インド産のものは別の種だ。 太古の昔にインドとオーストラリアは地殻変動で分離した。そのために、サンダルウッドはインドとオーストラリアに別れた。 その後独特な進化をとげて今に至っている。オーストラリア産のサンダルウッドは化粧品香料に使われている。 |
| ■オーストラリアの季節
日本とは反対側の南半球にあるオーストラリアの季節は、日本とちょうど反対になります。 日本が暑い夏の間、オーストラリアは冬を迎えるています。 日本の約21倍という広大な国土を有するオーストラリアは、気候も熱帯性から温帯性まで変化に富み、 都市によってまったく違った気候風土を持っているのは、日本も南北に長い島国で似ているのでしょうか。 内容が違います。 全国的に見て平均気温が一番低いのは7月、最も暑いのは南部では1、2月、北部では12月。 |
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| ■アボリジニ豆知識
アボリジニ (Aboriginal) はヨーロッパ人の到達以前からオーストラリア大陸に居住していた先住民のことで、 人種的にはオーストラロイドに分類される。 アボリジニは、洪積世の末期、ウルム氷期に、当時地続きだった東南アジアからオーストラリアに移住してきたと考えられている。 文字を持たず、口伝や壁画などに基づく独自の発達した信仰・神話を信じ、 20世紀まで、石器時代とさして変わらない生活をしていたという。 オーストラリア北部でアボリジニの岩壁画が発見され、 これは、1万5000年前から50年前のものまで幅広い年代に及ぶもので、 イギリス人の上陸以前に何世紀にもわたって異文化交流があったことがわかる。 |




