d-リモネンの抗がん性と感作性 | forestwalkingのブログ

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2013年の暮れに、突然この世を去られた、理学博士 藤田忠男先生の研究を掲載していくブログです。


リモネンの発がん性と感作性

■リモネン

柑橘系精油には大量に d-リモネン が含まれる。立体異性体があるので、片割れは l-リモネン と呼ぶ。 これらのことをいっしょにした場合にリモネンという。 精油の成分表はリモネンと書かれただけのものが多いが正確な標記ではない。 一時は騒がれたが、この化合物の発がん性は否定されている。 2つの異性体のうち、d体は雄ラットに対する発癌性が報告されているが、 これはα2μ-グロブリンを生成する雄ラットのみに特異的に起こるもので、ヒトなど他の種では生じないと考えられる。 また、空気酸化を受けたd体にはアレルギー感作性も報告されている。 加齢でリモネンは酸化されて酸化物 CIS-D-LIMONENE-1,2-OXIDE が生成される。右図の環の2重結合の部位にエポオキサイドが生成する。

分子構造の6員環に不斉炭素がある。



■リモネンの仕様

モノテルペン系のリモネンの分子式はC10H18。 工業的に製造されて、溶剤としても応用されている。

CAS NO: 138-86-3
EC NO: 231-732-0
Molecular Formula: C10H16
Molecular Weight: 136.234



■リモネンを含む精油

ビターオレンジ Citrus aurantium
レモン Citrus limonum
グレープフルーツ Citrus paradisi
マンダリン Citrus reticulata
オレンジスイート Citrus sinensis



■柑橘精油(リモネン)の工業的利用

柑橘の皮に含まれるリモネンは、発泡スチロールのリサイクル時における溶剤として使用されているが、 この精油も香料、洗浄剤として古くから使用されている。 リモネンは、また桧や杉などのテルペン系といわれる化学成分で、 ドイツの自然塗料メーカーでは溶剤として使用されているが、米国などでは洗剤として大量に使用されている。 リモネンの安全性に関して発がん性や、変異原性は認められず、最近では消化促進効果、がん予防効果が認められている。 FDA(米国食品医薬品局)は d-リモネンを食品添加物として GRAS(Generally Recognized As Safe)に指定している。



■リモネンの異性体

リモネンには不斉炭素がひとつ存在し、異性体であるエナンチオマーが2つ存在することになる。 そのひとつを d-limonene、またl-limonene と呼んでいる。精油の化学成分で標記されていると思う。 あるいは区別しないでリモネンと書かれていることもある。d-limonene、またl-limonene が等分程度含まれているとラセミ体と呼んでいる。 植物では立体異性体を特異的に生合成しているのでラセミ体になっていないと思われる。



■d-リモネンの抗がん活性

以前はd-リモネンの発がん性が着目されていましたが、現在では抗がん活性に関心が集まっています。