出来上がった写真を額に入れ、私の四畳半に並べる。
棚だけでは足りない。カーテンレールにも3つ。もちろん壁に画鋲は打たない。

まだ付き合い始めの頃、堂ケ島に行った時の写真。あどけなさが残る。帽子は確か私が贈ったもの。この時以来見ていない。普通に被れるハットでもないが…衣装次第だと思うんだがな。趣味もC子とは違いがある。
美和湖のダム、トンネルの前での写真。
このC子が一番ツボ。化粧と言う化粧もしていないナチュラルさ。なんか不敵な笑みだが。
エルブルスでの写真では、隣のわんこがいきなり振り向いてC子が驚く様。自画自賛だが、ほんとにいい絵になってる。

御殿場、沖縄、湯布院、伊勢志摩…
C子はこんなに幸せでいた。
私はどれだけ彼女の幸せを奪ってきたのだろう。


発つ鳥後を濁さず。

本格的に部屋を片付けよう。
捨てられるものをどんどん。
もう必要なものは無いわけだし。

部屋の中を片っ端から片付ける。一応分別する。
ある週刊誌はダンボール3箱分溜まっていた。
結婚当初から読み続けていた週刊誌。が、仕事の関係で読む時間がなくなり、それでもいつか読める時が来るかもと買い続け、やがて断念。子供とTCをしてなかったら、十分読む時間はあっただろうが。
レコードやテレビ、子供のボールハウス、面倒なものは会社のフックロール(産廃用)に捨てさせてもらうよう頼んだ。
工具、文房具、調理器具は置いておけば使う時もあるだろう。
衣類はとりあえずダンボールへ。私服の半分は子供達がプレゼントに買ってくれたもの。
「おたんじょうびおめでとう」
拙い字で書かれた小さなメモ。
温かいバースデーカードだ。
私は結局子供達も裏切る事になる。
私の冷えた心を癒してくれた子供達。
それでも次女も来年成人する。
どんな人生を歩んでいくのだろう。

駐車場も見回ってみる。




あ…





なぜこんなところにM子からの手紙が?

結婚して家を出る時、自分はもうここの人間ではないと、手当たり次第に全て荷物を持って家を出た。衣類すら全く残さないほど。その時に一緒に持ってきたのだろうが…

なぜ、ここ?

新築した時荷物を移動してここに?

これ、C子、見たんじゃないかな。
未練があって保管してたわけではない。
17の時付き合っていた子と、とある事があり、それから手紙を保管する癖がついてい…

あ…




隣にT子からの手紙まで…


もしかして、C子が部屋に入れておきたくなくてここに?


私が自分で?

とりあえず、私は手紙魔だったことを再認識した。
(それだけかいっ!)

さすがに今回は廃棄。
ちょっと中を読みたい衝動はあったが。T子は字が上手だったな。
(つか、T子って誰さ!?)




気にするな。

ラッシングが何本も。
覚えが無い。義父のもの?
まああっても困らないだろ。

ここにある2本の棚は、引越業をしていた時、お客さんが不要だと言ったものを貰ったやつ。
私の勿体ない根性の遺産だ。
いいよな、使ってるし。

そういえばゲーセンで使う50インチのプロジェクションテレビも貰ってきたな。C子と一緒に担ぎ込んだっけ。
夫婦、してたんだよな…



最初だけは。

一生懸命だったC子の姿を思い浮かべる。

もう二度と見る事の無い姿を…