昨日の帰り道のことです…
駅までの道をぐんぐん早足で歩いていると、
小走りのお兄さんがわたしの横をするりと抜けていきました。
「ほほう…このわたしを追い抜かすとは…」
と、何故か闘争本能に火が付いたわたしは、
少年漫画に出てくる老師のような台詞を頭に思い浮かべながら更に加速。
そして最終的には左右にある大きな階段を
それぞれ全力疾走で駆け上がり、
ほぼ同時に自動改札にミナピタをタッチしました。
まさかの同着。
しかし不思議と心は達成感で満ち溢れ、
じわじわ湧き出る汗も爽やかで開放的でした。
ところが、そんなスッキリしたわたしが電車の席に座ると、
何故かさっきのお兄さんが真隣りの席へ。
え???!
たじろぐわたしの顔を覗き込んで、お兄さんはにっこりと微笑みました。
「お疲れ様」
そう……わたしが勝手に意味不明なデッドヒートをしていたことを、
彼は全て知っていたのです。
ちょっとした怖い話でした。